特別1


慶次政宗幸村元親元就

かすが、捏造脇役が少し。就の出番、少なし。

年が明け、新学期〜

全員(政→幸) 慶+幸 親+幸

とにかく会話が多く、場面切り替わりまくりの、激しい乱文散文ですm(__)m

次の展開への道って感じで、ゴチャゴチャしとります。


では、お目汚しへどうぞ↓













(…やばい。すっげぇ緊張してきた)


慶次は、まだ人もまばらな通学路を、外には出さぬようソワソワしながら歩いていた。


──今学年、最後の学期の初日。


幸村とは、元旦に新年の挨拶メールをしたきり、何の連絡も交わしていない。

佐助に、どのように告げられたのか。どう思ったのか。
…もしかすると、この約一週間の間に、進展したかも知れない。

などと、他にも色々な考えが浮かんでは、複雑過ぎる感情に頭や胸をもたげていた。

結果、いつもより遥かに早く、家を出てしまったというわけである。


「Morning」
「ぉおっ…はよう」

後ろから政宗に肩を叩かれ、少々声を上ずらせてしまう慶次。

「Ha、何ビビってやがる。えれぇ早ぇし…。──だったら、さっさと聞いてりゃ良いのによ」

すっかりお見通しらしく、政宗は苦笑する。
そこには、慶次のような動揺は一つも見られない。


「…もしかして、もう聞いたとか?」

「いーやぁ?でも、お前みてーに避けたりはしてなかったぜ?だいたい、腫れ物扱いし過ぎなんだよ、お前もあいつらも」

「別に避けたりなんか…──え、で、何か話したの?なぁ」
「知らねぇ〜」


(えー…)


政宗のどこか楽しむような笑みに、焦りが沸く。



「おはようございまする、お二人とも!」


「「!!」」

そのボリュームにも驚いたが、声の主に、ビクッと振り返る二人。


「おお…はよう、幸」
「Oh、相変わらずデケー声だな。耳壊れるわ、バカ」

「今年は、昨年よりも上を目指しまするぞ!」
「そりゃ退化だろ?ちったぁ、年相応に控えめになれっての…」

耳を押さえ、迷惑そうに睨む政宗に、幸村は明るく笑い、


「申し訳ござらぬ。冗談でございまする」

「Haー?全然面白くねぇし。お前は、いつも通りで充分変わりモンなんだ、無理してすることねー」

「政宗殿には言われとうない…」
「Ah〜?」

政宗が気色ばむと、「嘘でござる!」と、笑ったまま逃げる幸村。

その後を、政宗がすぐに追いかける。
恐らく、教室で何かの勝負が勃発するに違いない。
いつも通りの光景で、周りにいた同じ学年の生徒が、呆れたように笑う。

お陰で、緊張は嘘のように消え去った。
だが…


(──何だ、あれ…)


慶次は眉をひそめ、小さな不安が広がるのを感じていた。









「てっきり、皆にも言っているものと…。しかし、何しろ急な話だったようですからなぁ」

「小十郎の奴も昨日知ったとかで、説明する間がなかったってよ。まぁ、別にどうでもいーけど」

「…信じらんねぇ」
「それほどに強いのか、あやつの父親は」

元親と元就が、まだ驚いたようにもらす。


(あいつが、幸村から長期間離れるなんて…)


──それが、全員の共通する戸惑いである。


「『旦那とこんなに離れるとか、寂し過ぎるよ…』つって、シクシクしてただろ、あいつ」

元親の言葉に、「はい」と笑って答える幸村。

「『政宗と二人になっちゃ絶対ダメだよ!?誰かと帰るときは、親ちゃん(オカン代理)を必ず携帯すること!』…なども?」

珍しく物真似をする元就に、幸村は心からおかしそうに笑い、再び頷く。


「Shit…。──ま、良いぜ。この機会に、愛を深めといてやる。な、幸村?」
「そうですなぁ」

「へ!?」

ギョッと、皆が一斉に目を向けると、

「…っ、い、いや…!なな何を申されるか、政宗殿!」

真っ赤になり、幸村はいつもの反応を示す。


「某、飲み物買って来まする!」

と、勢い良く教室から出て行った。


「………」

残されたメンバーは、一瞬シンとなっていたが、


「どうもあいつ…まだ、告れてねぇみてーだな」

「ああ。あんなに意気込んでおったというのに。──気を利かすのではなかった」

元親が言うと、元就が顔をしかめて応える。


「ったく。あいつのボケは、心臓に悪ィぜ。…てか、マジでchanceかも知れねぇ」

政宗が、半ば本気の目で呟くので、元親たちは反応に詰まってしまった。

そんな中、


「…慶次?」

さっきからずっと黙っている彼を、元就が訝しげに窺う。


「あ──。…本当にびっくりだな、いきなり…。寂しいな、何か」


「「「いや、全然?」」」


三人が同時に口にし、慶次は、ようやくいつものように笑った。













新学期が始まり、数日が経ち──

幸村と帰路をともにするのは、主に政宗と元親になっていた。

慶次はバイト、元就は生徒会で忙しく…


「あっ、おはようございまする、慶次殿」
「おう、今日も早ぇじゃねーか」

「はよー。てか、元親こそ」

慶次が教室に入ると、すぐに気付いた幸村と元親。


「職員室に行って来まする」

日直である幸村が立ち、二人は見送った。


「佐助の奴なら、ついてってたな。…てかよ、あいつ、帰り幸村ん家まで送ってたんだな。知ってたか?」

呆れたように、元親は鼻で笑う。

「知ってたよ。ただ一緒にいたいからだと思うけど。──で、元親も送ってやってんの?」

「まさか!ちゃんと、分かれ道でバイバイしてんよ。変な誤解すんなって」

慌てて否定する元親だったが、

「あ、いや…んなつもりじゃ」

と、慶次は苦笑した。


「幸、何て?さっき、何か聞かれてたろ?」
「…さすが、目ざといことで」

元親も、苦笑いで返した。

「あいつからメール来たか?ってよ。俺より先にお前んとこに来るだろ、って言った」
「ああ…」

「忙しんだろな。前んときも、結局、一度も連絡寄越さなかったしよ」
「………」

慶次は、思案顔になり、


「…本当にそうなのかなぁ」

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