懐旧1
佐助
、
信玄
、
かすが
、
慶次
、
元親
、
政宗
、
幸村
、
鶴姫
、(捏造含)脇役少し
前回の後〜数日。
佐+信
佐+かす
佐・慶・親・政
佐→幸
全員(信玄以外)
慶(→)+幸
バラバラな上、会話三昧です。お暇なときに読んで下さい; 疲れて眠くなりそうm(__)m
何を浸ってやがる、という内容です(-ω-)
不快にさせたくない気持ちで一杯なんですが、無理かも知れないです(;_;) 幸村が不安定な感じで。彼は真面目に一生懸命なのですが、私のせいで表せてない(泣)
(………)
幸村のマンションを出た後、佐助は足を止めてケータイを手にする。
話は数分で終わり、自宅への道から回れ右をした──
慶次と話をしたときに比べ、重圧はケタ違いだった。
頭では分かっていても、再び胸に痛みや哀しみが浮かぶ。
そして、懺悔…
「前田のは、相変わらずの風来坊よのう」
信玄は笑い、
「儂の役目を取りよった。儂から言ってやることは、もう残っておらぬな」
「そんな…」
佐助は、顔を歪めた。
額を地に着けねばならぬことは、数え切れないほどにある。…しかし、謝罪の言葉で済まされる軽さではない。
「──佐助、今を生きよ」
(え…)
見上げれば、学園で見て来た、いつもの笑顔。
幸村と殴り合いを交わす際の、心から楽しげな。
「お主の父上にお会いしたぞ。冬休み中、学園へ内密にいらっしゃってな」
「──マジすか」
「温かな家族に恵まれたのだな、と本当に…」
「………」
言葉を詰まらせる信玄に、佐助も何も発せなくなってしまう。
「お主が謝るとするなら、儂の方こそが、お主らにそうせねばならん。そのような思いをさせたのは、結局はこの…」
「お館様」
佐助が、切るように遮った。
「…ならば、お主も謝るな。そのような行為は一切無意味。今のお主は当然、昔のお主にもその必要はない。だが、それでも苦しむようであれば」
信玄は一息つき、
「儂が『赦す』。…もう逃げず、闇に飲まれず、思うままに生きよ。
お主が業の罰を受けねばならぬというのなら、他の誰もが同じ目に遭っておるわ。
血にまみれた道を築いていたのは、何もお主一人だけではない。…であるのに、また世に生を受けた」
「──…」
「誰もが、どこかで強く願っていたことであるから…なのでは、と思うのだ。いや、勝手な思い込みだがの。もしくは、天の気紛れか。…どちらにせよ、これほどの幸運はないであろう?」
佐助は声もたてず、少しだけ視線を落とし、耳を傾けている。
「今の世に、陰は似合わぬ。…己の望むままに生き、幸せになれ。存分に愛せば良い、そうしたい全てのものを。
儂は、お主らとまた逢えて幸せじゃ。記憶がなかろうと、そう思っておった」
(…俺様ってば、本当に…)
幸せだった、…んだな。
昔も、今も…
眉は下がり、口元には微苦笑が浮かんだ。
「佐助、──励めよ」
懐かしい響きに、唇から小さな息が抜ける。
「御意。…大将」
今度は信玄を懐旧させ、佐助は今の自分の素顔にて、頷いた。
「おい」
「…あ、来てたんだ」
信玄宅の玄関から出ようとしていると、かすがが後から追って来た。
これから家に戻ると言うので、途中まで一緒に帰る話に。
「お前が来ると聞いたんで、留守にしてやった」
「あ、そー…ありがと。…あ、紅茶美味かったよ。まぁ、旦那チョイスのしか飲んでないけど」
「羨ましいだろう」
「は?」
かすがは、フフンと笑うと、
「もう、ずーっと一緒に生活していたのだぞ。小さい頃のあいつは、本当に可愛かった…今もだけど」
「………」
まさか、こんな切り出し方をされるとは思ってもいなかった佐助は、唖然としてしまう。
が、すぐに苦笑し、
「──だよなぁ。お前も『今』のお前なんだな。…うん、羨ましいよ」
「気安く呼ぶな。幸村が思い出すまでは、今まで通り呼べ。私もそうする」
「へいへい、厳しいこって。その辺は変わってねーよな、ホント」
「余計な世話だ。…全く、やっと思い出したか。別に、忘れたままで良かったんだがな」
「ひーでぇ。俺様、あんなにかすがちゃんのこと、大事にしてたのにぃ」
「…覚えがないな」
とは言うものの、かすがの表情は柔らかい。
大昔では同郷の間柄で、しかも想いを寄せた相手。懐かしさ以上のものが沸き、今の彼女を取り巻く環境に、胸が熱くなる。
──幸せに、と切に願った。
あの頃も、きっとそうあっただろうが、今の彼女はさらに輝いている。
「ホント羨ましい。普通だったら、俺様と旦那が兄弟じゃね?って感じなんだけど。また、変わった巡り合わせだったね」
「…まぁ、そうだな。ある意味、運命的だな」
かすがは微笑むと、「始めからそうではなかったし」
「え?」
何のこと?と、瞬時に思えば、
「私たち、血の繋がらない兄妹なんだ。幸村の両親が亡くなった後、施設で会った。私の方が新米で、…あいつが、『きょうだいになりたい』と」
「へ……は、あ…っ?マジ…!?」
「そこへ行くまでは、真っ当な人間の目の届かない、薄暗い場所で育った。親はいなくて、その辺の大人が面倒見てくれていたが──名字もない始末でな。…で、あいつが『真田が良い!』とか叫んでさ…」
思い出したのか、吹き出すかすが。
「施設の人が、上手くやってくれたみたいで。…なぁ、自覚がないだけで、もしかすると私かも知れないぞ?あいつの初恋」
完全に、佐助をからかおうとしている。
(マジかよ…)
幸村から、そんな話は一度も聞いたことがない。…元就は、知っていたのだろうか?
様々な衝撃に、呆然とする。
そんな大事な話を、何故自分に教えてくれなかったのか…
「…勝手に落ち込むな。毛利も知らないよ。言う必要などないと思っているからだろ」
「?」
「関係ないから、そんなの。…私たち、今や『学園一のラブラブ兄妹カップル』──なのだろう?」
「あ…」
そのままの表情で、かすがは笑む。…幸村が隣にいるときに、よく見られる…
「お前はお前で、良い両親を持てたみたいで、…まぁ、羨ましくなどないけどな。私だって、相当幸せだろう?」
夕陽を浴びた彼女の眩しさに、佐助は目を細めた。
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