一致5
…どうして、気付かなかったんだろう。
分かった今、全てにおいて合点がいく。
今、自分がしている行動も…
(…そうだ、あのとき…)
慶次の想いを疑ったのは、彼が幸村に同じことをすると聞いたから、だった。
自分もしていたくせに、何故そのときに、同様だと分からなかったのだろう。
…馬鹿にも、ほどがある。
(だから──なんだ……)
こうして、その身体を腕にしたくなるのは。
誰彼構わず、嫉妬するのは。
慶次にも政宗にも、他のどんな奴にだって、触れさせたくなく──渡したくないのは。
可愛いところも綺麗なところも、自分だけにしか見せないで欲しいのは…
(同じ…だったんだ…)
「俺様も……さらに旦那のこと、好きになっちゃった…」
照れたように笑い、佐助は幸村から離れた。
「そ、そうか?…変わっておるな、お前は…」
幸村も、眉を下げて笑う。
「そりゃ、こっちの台詞。…ホントに変なお人だよ、アンタって…」
(…こんな奴のために、必死になっちゃって)
良いことなんて、、、
…絶対、あげるつもりだけど。
(あーホント…。すっげぇシンプルだわ)
だから、あの漫画の彼に共感しまくってたってわけだ。
温かくて、嬉しい。
切なくて、痛い。
全部欲しくて、…全てを捧げたい。
(ホント馬鹿だったなー…。政宗よりも、こんなに遅れをとるなんて)
──あ、でも…
自分が同じことをすれば、…幸村の悩みは二倍に。
(旦那が俺様に、同じ気持ちを持ってくれれば…)
であれば、悩ませることもなく…
(やべ…。俺様、んなのしたことないから、分かんないや…)
女の子なら、簡単な話。…特に何もせずとも、ずっと見ていたり、優しく笑ったり、何か褒めたりするだけで、すぐ好きになってくれる。
しかし相手は、そのようなものを恋愛的な意味に捉えてくれるはずもない、この旦那…
──結局、政宗がやったことが、一番の方法であるように思える。
「佐助…?」
唸っていたせいで、幸村の表情が曇り出した。
佐助は慌てて、
「あ、いや何でもない!…そーだ」
ふと思い付き、「良かったら、アルバム見る?俺様の、昔の…」
幸村は顔を輝かせ、「良いのかっ?」
「そんな、面白いもんでもないけどね〜」
笑って、佐助は冊子をテーブルに置いた。
「これが父親で──こっちが母親…」
「佐助、小さいな」
「当たり前じゃん」
思わず吹き出す。
「これは……」
幸村が、ある一枚を示した。
「あー、これね…」
佐助は顔を歪め、
「二人とも、まぁ俺様の親だけあって、変わっててさぁ…。俺様とお揃いだとか言って、髪染めて。これで、幼稚園の運動会来るんだぜー…たまんなかったよ、ホント」
「………」
その数ページ後に、佐助の作った目玉焼きと、感激する母親の写真などが載っていた。
…見終わるまでずっと、幸村は微笑んだままだった。
「──佐助」
「ん?」
「佐助はどうだ?…楽しくて幸せか…?」
「………」
その質問に驚く佐助だったが、すぐに同じように笑みを返し、
「──当たり前…」
それから、海外にいる父親のパソコンへ電話をかけ、佐助は幸村を紹介した。
話はしていたのだが、名前を言っていなかったため、てっきり女の子だと思っていたらしい。
…その理由も、今ならよく理解できる。
「良い父上だなっ。お前にそっくりで」
「まぁ…似てるのは、もう随分前に諦めついてたからね…」
その言葉に、笑う幸村。
(……それを、俺だけに……)
幸村を見る佐助の瞳は、たった数刻前とは全く違う、
…静かに燃える、小さな炎を宿すものへと変わっていた。
‐2011.9.28 up‐
あとがき
ここまで読んで下さり、ありがとうございます!
何度も謝りますが、展開遅くて申し訳ない!
やっと、自覚した…。
そんなことで!?って感じかも知れませんが…(;^_^A
佐助が結構アッサリしてるのは、薄々勘づいてたからなのかな、多分…←
佐助も慶次も、政宗に比べると、かなりのヘタレですね(--;)
すみません、全て自分の嗜好のせい。
またまた捏造、佐助の過去話(@_@;)(謝)
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