とりあえずの終息6
元就は、フフッと笑い、
「どうだろうな。…ただ、勇気も自信も、ないだけなのではないか」
「んなことないよ。なぁ?」
「ああ。その何分の一かで良いから、俺にも優しさを与えて欲しいもんだぜ」
元親が両手を上げると、慶次も元就も吹き出してしまった。
「…俺も、元就みたいな想いが根底にはあるんだけど…」
慶次は困った顔で笑い、
「どうしても…抑えられないんだ。──でも、今言えば、幸こんがらがっちゃうだろ」
「それは、まぁ……なぁ」
「けど…政宗のことが落ち着いたのなら、俺も色々考えないとな」
決然と言った慶次に、元親は、力が抜けたかのように椅子にもたれた。
「え、どうしたんだ?」
「いや…だってよ」
元親は苦笑いしながら、「内心、不安だったんだよ。お前、政宗のこと、すげぇショック受けてたみてーだったから」
「毎日毎日、それはもう、鬱陶しかったのだぞ?『なぁ、あいつ幸村のこと、諦めちまったのかな?違うよな?』と。それなら、直に聞けば良かろう、と何度も言うのに、一人では無理だとか、わけの分からぬことを抜かして」
「しょーがねーだろっ。俺は、お前らのことを」
「元親…」
慶次はびっくりしたように、「心配してくれてたんだ」
「いや、ってゆーか…何だ」
「…ありがとう」
「別に、心配とかじゃ…」
慶次は微笑むと、
「てか、さっき言ったのに。『好きな人いるから』って、断ってるって」
「…あー…。もしかして、何も言わずに諦めちまうのかと思ってよ」
「それは絶対にないよ。…ま、あの日、かなり弱気になっちまったのは、認めるけどさ。政宗、強敵になっちゃってるし、いつの間にか」
「ああ…。全てが、不意打ちであったな。我も驚いた。あやつが、あそこまで幸村に深入りしていたとは、正直思っていなかった」
「確かに…普段がちゃらんぽらんだったからな、あいつ」
元親は、思い出したように、
「ちゃらんぽらんと言えば、佐助も手強いぜ?あいつ、未だに分かってねーみてぇだけど、これを期に、さらに幸村に近付こうとしてるよ。
…早く、自覚しちまえば良いのにな。そっちの方が、幸村にも分かりやすいと思うしよ」
「うん…。あくまで『友達として』って言ってんだもんな」
「どこまでも鈍い奴だな、あやつは…」
「でも、それならそれで都合良いかもな。…俺ももう、さっけを待つとか、悠長なこと考えらんなくなった」
「てか、あいつは自覚してなくても、相当なモンだ。これからは、もっと邪魔してくるだろな。──頑張れよ、お前」
「すっげぇ心強いわ。ありがとな、二人とも」
「別に、我は誰の味方でもないぞ」
「──そうでした。…じゃ、見ててくれよ。絶対、幸を振り向かせるから。そんで、大事に……必ず、幸せにするよ」
「…今の顔見たら、幸村は絶対惚れてるぜ」
冗談っぽく言った元親に、元就はいつものように、鼻で笑い──
…慶次は、「サンキュー」と真に受けることにしたのだった。
*2010.冬〜下書き、2011.9.22 up
(当サイト開設・公開‥2011.6.19〜)
あとがき
ここまで読んで下さり、ありがとうございます!
クサぁぁぁ(@_@;)
最後の方とか、会話続きで、本当にすみません…!
政宗の奇行、お許しを; きっと、単なる少女漫画ではないんですよ(汗)
キザな台詞で、それ渡すか…。本当にすげぇ政宗。 全部、私のせいですが(--;)
私が甘やかしたいゆえに、こんなことに。
幸村が、しょんぼりし続けるのは嫌で…
(´;ω;`)
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