とりあえずの終息1


鶴姫孫市かすが佐助幸村政宗官兵衛元親慶次元就

文化祭後の休み明け〜一週間

相変わらず、色んな意味でクサい;
それぞれの気持ちと、会話が主です(--;)
展開、ほぼなし;

鶴/かす/孫/佐/幸/政 官/幸

政→幸 佐/政 慶/親/就

という、見事なバラバラっぷり(@_@;)













休み明けの学園は、文化祭の話でもちきりだった。

特に、女装・男装コンテストについては、ひっきりなしで──幸村と孫市への視線は、爆発的に増えていた。


「何だか、中学時代を思い出しますねっ、孫市姉さま!」

鶴姫の言葉に、


「まさかここに来てまで、姫以外に『お姉様』と呼ばれようとはな…」

と、苦笑で返す孫市。


「女に戻っても、この反響…。すごいな」

かすがは、そう言いながらも、「まぁ、美しいものを好む気持ちは、分かるけど」

──さすが、だてに『謙信様命』をやってはいない。


「私はまだ良いが、真田は大変だな。女の子からだけじゃなく…」

「シッ!…いくら幸村でも、落ち込むだろ。それに、あいつらに聞かれたら面倒臭い」

「あはは、確かに。でも、本当に可愛らしかったですもの!戻っても、女の子ファンが増えたんですから、さすがですっ」

「もしかすると、本当に告白する子も出てくるかもな」

孫市が言うと、かすがは少し顔をしかめ、


「いたとしても、恐らくあいつが…」
「あ…」

ちょうど良く、幸村が教室に入って来た。横には、いつものことだが佐助がいる。

…かすがは、どうしても眉間に皺が寄ってしまう。


「すげーねぇ、ちょっと外出るだけで、捕まる捕まる。ここが一番だね」


「大丈夫だったか?」

孫市が尋ねると、「は、はい」と、何故か幸村は赤面して頷く。

「……?」


佐助は吹き出すと、

「あのさ、しきりに聞かれんのよ。『孫市さんと、付き合ってるんですか?』ってさ」

「ささささ佐助ぇ!!」

「いーじゃん、ちゃんと否定してあげたでしょ?旦那、真っ赤になって固まるもんだから。あれじゃ〜、すぐに誤解されちゃうって」

「別に私は構わないぞ?」
「え」

「What!?どういうこった、孫市!」

──いつの間にいたのか、政宗が横から入ってきた。


(ま、政宗殿…)

幸村に緊張が走る。


「お前まさか、マジで──」
「あーもう、落ち着きなって。冗談に決まってんじゃん」

佐助が、不穏げになる政宗をなだめるのだが、孫市は意味深に微笑むばかり。


「孫市…わざわざことを荒立てるなよ」

かすがは溜め息をつくが、


「でも…お似合いのお二人ですからねぇ」

鶴姫はどこまで本気なのか、ニコニコと笑っている。


「お前をそこまで焦らすなんて、私もなかなか捨てたものじゃないな」

フフ、と孫市は笑い、「それとも、真田が相手だからか」と、耳打ちする。


政宗は、グッと詰まり、

「…たりめーだ。──お前は…女だ」


小声の呟きだったが、かすがや佐助の耳には、ハッキリ入った。


「な、かすが?…結構可愛いだろう、こいつも」
「…そうだな。素直なところは、認めてやる」
「えっ、かすがちゃん何で?俺様より、コレのが上なわけ?」
「誰もそんなことは言ってない」
「Hey孫市、答え聞いてねーぞ、結局。どーなんだ」

「…?」

そんな四人のやり取りを、不思議そうに見る幸村。


鶴姫が、チラリと幸村を見上げ、

「髪、切ったんですね?」
「ああ、佐助に…」
「えっ、すごい」

もともと大きい目を、さらに開く。


「…人って、恋をすると変わるらしいですけど、恋をされてもそうらしいですよ?」
「えっ…?」

面食らう幸村に、鶴姫はニッコリと、

「想うパワーは、すごいんです!だから、そのエネルギーを与えられる側も、知らず知らずに輝くんですって。…今の、孫市姉さまや真田さんみたいに」

「そ、某…!?」


「とーっても素敵になってますよ?騒ぐコたちの気持ち、分かりますっ」


幸村は、しばらく言葉を失う。


(では…それは…)



チラリと、政宗を窺った。


…本当に、いつも通りに接してくる彼。
自分もそうしなければ、と努めているのだが──できているのかどうか、全くもって疑わしい。

元就や慶次たちも、人気ランキング上位というのが起因しているのか、何だか教室にいないことが多い。元親も、二人についているのか、姿をあまり見ない…。

突然降りかかった非日常に、幸村の頭は、ぼぅっと揺らめいていた。
佐助が傍にいてくれるのが、相当助かっている。


──早く治まって欲しい…。


人知れず、つい小さく溜め息をついてしまう幸村。
そのような悩ましげな表情すらも、周りから注目される要素の一つであることに、気付いていない。

こうして、彼にとっての悪循環は、どんどん積もっていくのだった。

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