変身1
※幸村、佐助、元就、慶次、元親、政宗、光秀、かすが に、鶴姫と家康が少し登場。
※長いです…!!すみません;
いよいよ、文化祭の準備が始まり…という展開。女装注意。
※下品なネタありですm(__)m
最終ページは、慶+親で、ほぼ会話です、眠くなるかも(@_@;)
しかもほとんどが慶次の気持ち、です。
クサいです(--;)
十月の中間試験も終わると、翌月に開催される文化祭の準備が、少しずつ行われるようになり、イベント内容についても発表があった。
案の定、一大イベント『女装・男装コンテスト』の優勝賞品には誰もが驚いていたが、
「どうせなら、扱いやすいものにしてくれりゃ良いのに…」
という意見も、少なくはない。
しかし、セレブ家庭が多いとは言えど、タダ旅行かつクラスの友人と行けるというのは、なかなか魅力的。生徒の多くが、優勝を目指して異様な情熱を燃やしていた。
もちろん、二年一組も例外ではなく――
「じょ、女装ぅぅぅッ!?」
(…あ、やっぱり)
クラス全員が同じ感想を抱いたことは、黒板の前に立つ元就と鶴姫には、よく理解できた。
ロングホームルームの時間、あんなにも他の生徒が沸いているのにも関わらず初耳だったらしい幸村は、開口一番そう叫んだのだった。
「女装とは――つまり…」
「男が女の格好をすることだね」
幸村の後ろの席である佐助が、説明してやった。
(何度目かの席替えを経て、佐助は奇跡的なこの位置を獲得していたのだ)
「そ……」
幸村は、目も口も丸く開けたまま、固まってしまう。
「真田!優勝すれば、スキーだぞ?スノボだぞ!?それもタダで!」
家康が、ウキウキと叫ぶ。
大金持ちの彼に言われてもいまいち説得力に欠けるが、そんな嫌味を感じさせない性格は天性のものであり、多くの友人から好かれている理由でもある。
「そうそう!それに、出るのは代表者二人だけだし」
「選ばれし勇者だよ!その二人に、運命がかかってる」
「女装、男装を極めたいんじゃない!スキーに行きたいんだ!」
「そのためには、本気で極めるつもりでやらないと――」
やんややんやと、クラスメイトたちからの熱いやる気が飛び交う。
幸村が、そういう雰囲気に丸っきり弱く、また乗せられやすいというのは、もうここにいる全員がよく知る事実である。
「み、皆…!何と熱い思い――!」
「とりあえず座ってくれ、幸村」
元就が言い、佐助が「どうどう」と馬を静めるように幸村を座らせる。
「まず、ルールの説明だが…」
コンテストは生徒全員が集まれる講堂で行われ、審査員は教師や来賓者たち、さらには一般客の中で参加資格を希望した者。
ファッションショーか何かかと思うほど、毎年華々しい演出がなされる。
「男装の方は…」
――満場一致で、孫市に決定。
顔と言い身長の高さと言い、文句なしのハマり役。
女子からの歓声が上がる。
しかし、あの胸はどうにかしないと…。
これは、いわゆる『サラシ』の出番――?
…男子生徒のほとんどが、孫市のサラシを巻いた姿を想像し、夢心地になっていた。
孫市がヒールのある靴を履けば、ほとんどの男子と並んでも見劣りしない。
――だが、さすがに慶次と元親、家康はやめておこうという話になった。
この三人は、彼女がどう頑張っても、それより華奢には見えないだろう…。
「実は、凄腕のメーキャップアーティスト(?)を雇えることになったので、これから放課後もそのまま使い、女装の代表者を決めようと思う」
「えーと…部活は…」
「やむを得ん、休んでもらう。男子は全員メイク強制、女子は手伝い。最後は評決」
女子は、きゃあきゃあとさざめき始めた。
ケータイを手に、ネタとしても笑えるだろう写真を撮る気満々である。
「全員って、毛利くんも?」
「――当然」
再び起こる歓声。
幸村も、「も、元就殿…」と、大人しくなった。
「それでは皆さん!荷物を持って、今回の協力者さんのいらっしゃる教室へ、移動しましょうっ」
明るく言う鶴姫に、「え?」となる面々だったが、元就が続けて、
「ここでやっていれば、他のクラスにすぐバレてしまうだろう?当日まで、誰がどのようにやるのかは、伏せておかなければ」
あ、そっかー!と頷く一同。
「他のとこがどんな衣装やるのかは、俺様が情報集めときま〜す」
佐助がいつもの調子で言うと、
「頼むぞー、闇の諜報人!」
などと、揶揄する声が上がる。
元々その名を馳せていた佐助だが、元親と自分のカップル説や、幸村の一年ファンの話を聞いてからは、さらなる情報通へと進化を遂げていた。
…そして、クラスの足の運び先は、視聴覚室。
黒いカーテンもあるし、正にうってつけの場所。
「お待ちしていましたよ…ククク」
中にいたその人物を見た途端、最前列にいた生徒によって、ドアはピシャリと閉められたが、
「まま、気持ちは分かるけど!」
佐助がなだめるように、全員を導き入れる。
男子は顔面蒼白だが、
「明智先生にそんな特技があったなんて、意外〜」
「私もビジュアル系好きなんですよー。どういうの聴かれるんですか〜?」
キャイキャイと、被害のない女子は抵抗なく、むしろ面白過ぎるこの展開をすんなり受け入れていた。
女子の手伝いも要領良く入り、光秀はチャッチャとメイクを施していく。ウィッグまでいくつか用意されており、終わった生徒たちは被ったり外したり、友人の変身具合に、笑ったり感心したり――
だが、元の顔などまるきり無視する勢いの腕前に、本当に誰が出ても優勝イケるんじゃないか?という空気にもなっていた。
「慶次殿たちは、良いですなぁ…」
少し恨みがましい目で見る幸村に、
「まーまー、しょうがねーじゃん!俺、結構似合うと思うけどさ〜、ゴッツい女になっちゃうの見え見えだろ?」
「そーだぜ、狙うは優勝なんだからよ!」
と、元親もケラケラ笑う。
慶次は、女子に混ざって手伝いまでやったりと、実に楽しそうにしていた。
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