エントリー6
『俺、さっき幸村にコクったわ。たまたま二人になれたもんでよ、こんなチャンスはねぇと思ってさ。言わねーと意識もしてもらえねぇし。
でもアイツ、当然だけどすっげービビってて。お前らにも絶対言えずに悩みそうだから、もう俺からぶっちゃけようと思ってな。ま、悩ませてんのは俺なんだけどよ。
そういうわけだから、優しく接してやってくれ。』
「う……あ」
幸村の顔が、真っ赤に染まる。
「へぇ。あいつ、案外やるな」
「それで様子がおかしかったのか」
元親は驚き、元就は納得したように、幸村を見た。
「あ、あの…元就殿も元親殿も、…知って、」
「ん?──ああ、政宗のことか?悪ィけど、とっくの昔から知ってたぜ?知らなかったのは、お前だけ」
「そ…」
硬直する幸村だったが、
「気にするな、幸村。気付かなくて当然だ。それに、お前が我らの立場であっても、黙って知らぬ振りをするだろう?」
「あ…」
それはそうだ…と、思った。
「あー…もしかして。俺様の部屋で、さっき…?」
いつもより低音になる佐助の声に、幸村は、詰まりながらも、
「す…まぬ。…政宗殿に、『話がある』と…」
「旦那は悪くないから良いよ。──ただ…」
佐助はニッコリと笑い、
「聞かせて?…政宗に何て言われたのか、どんな風な状況で──事細かく。ついさっきのことなんだから、言えるよね?あと、旦那がどう思ったのかも、全部」
「う──しかし…」
「ん、何?…言えないようなことでも、あったの」
「え…」
「ちょっと、さっけ」
「慶ちゃん黙ってて。…旦那、何で話してくんないの?そんなに言いたくないの?──政宗のため?
…何で、そんな顔してんの?普通、そこはびっくりするとこでしょ。てか、引くでしょ、普通は?
ねぇ、もしかして…嬉しかった?
…あいつのこと、好きになっちゃった…?」
「おい…」
「さっけ!」
「だってさぁ…!ね、旦那、おかしいじゃん!何でそんな顔して──」
「──るさい」
「え?」
幸村は、真っ赤な顔のまま身体を震わせ、
「俺は、どうせおかしいんだろう…!言われなくても分かってる!──わけが分からなかったが、引いたりなぞ、しなかった。できるわけがない!
…あんな真剣な…っ。どうすれば、嫌だと思えるっ?そう思えない俺は、やはり変なんだな?
だが、もうそれでも良い。…そんな風に嫌悪するなんて、絶対に不可能だ。…政宗殿は、大切な友達なのに。
──佐助は、こんな俺を嫌うのだろうが…ッ」
言っている途中から、幸村は涙目になっていた。声も、振り絞るような悲痛なものへと。
…しばらくの間、誰も口を開こうとせず、時計の音だけが響いた。
「…親ちゃん」
「ん?」
「殴って。──俺様のこと」
「は…」
元親だけでなく、幸村も唖然とすると、
ガッ──!
「佐助!」
幸村が、慌てて佐助に駆け寄る。
「…サンキュー…就ちゃん。てか、ホント強いよね。親ちゃんより効いたかも」
「ふん。…これくらいでは足りぬわ」
「も、元就殿…」
「はは、ごもっとも」
佐助は頬をさすり、
「ごめんなさい、旦那」
と、頭を下げてきた。
「えっ…?」
幸村が、目をしばたかせると、
「俺様、ひでぇこと言った。つい、カッとなっちゃって──。俺様の部屋で二人で…とか、何で、すぐ相談してくんなかったんだよ、…とかさ。勝手な話なんだけど」
「あ、あ…それは…」
「旦那の性格から、そんなの無理って分かってんのにさ。…政宗から、いちいち言われなくても。なのに──本当にごめん。
旦那はおかしくなんかない。
…優しいんだ。誰より優しいから」
「佐助…」
「ごめん…アレ本心じゃないから。…政宗の気持ちも…真剣だって知ってる。俺様が、一人でワガママ言ってただけっていうか。旦那を嫌うとか…あり得ないし」
「…俺の方こそ、すまぬ…」
幸村は、佐助の頬に優しく手を触れた。
佐助は微笑み、
「──だけど、聞かせてね?まーくんの告白と、その他諸々」
さらにニッコリと、…今度は見せかけのものではない笑顔に、幸村も、釣られたように頷く。
「……政宗も、さっけも──…」
ポソリと呟かれた声に、元親は、その主に視線をやるが。
「……」
俯いて被さった前髪のせいで、慶次がどんな顔をしているのか、全く窺うことができなかった。
*2010.冬〜下書き、2011.9.1 up
(当サイト開設・公開‥2011.6.19〜)
あとがき
ここまで読んで下さり、ありがとうございます!
本当に、ほとんどがクサくて、すみませんでしたぁぁ(@_@;) 最終ページも、告白シーンとはまた違うクサさで;;
脳が溶けてて、申し訳ない…!
言い訳があり過ぎてパンクしそうです。
とりあえず、政宗に、あんな台詞を吐かせてしまい、ごめんなさい。
妄想暴走ごめんなさい。
政宗の気持ちを、気付かせないままにはしたくないなぁ…というのは、書く前から思ってたことでして…。
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