二日目A-5
「てかさー、人気ランキングもほとんど二年生…つーか、ウチのクラスが、男女で上位かなり占めてるの、スゴいよね」
「だよなぁー…。お前らも、もーちっと素行良くしときゃ、優勝だって狙えたろーにな」
「…元親ァ、お前は何だかんだ言って、俺のこと、リすペくトしてんだよなぁー…」
「まーくんだけじゃなくて、俺様のこともね。てか、何?いつも以上に、発音おかしなことになってっけど」
「あー…こりゃ、大分イッちゃってんなぁ。元就が、どんどん飲ますから」
「政宗殿、眠そうでござる。布団に入られまするか?」
「バカ、まだ始まったばっかだろぉ?──んや、やっぱ眠ィかも…」
「某が、布団まで」
「んなことしなくていーって、旦那。一人で行けるよね?バ…さむね」
「おぅおぅ、ノーぷロぶれム!お前は座ってろ」
「…今、バカムネって言おうとしたな、あいつ」
「普段は頭の中で、そう変換されてんだろうね…」
「大丈夫でござるか…?」
「オケーおっけー。
…ここで、寝るからなぁ!」
ガバッと政宗は床に横になり、幸村の膝の上へ、頭を乗せた。
「──へ?」
「テメ、こッるぁぁあ!!」
「さ、さすけ…」
政宗の奇行よりも、佐助の形相に戦く幸村である。
「今すぐ離れ……重ッ!ちょっと親ちゃん、慶ちゃん!」
「あーん?放っとけ放っとけぇ。寝てたら、そいつでも無害だろ」
「でも幸が重いよな。しゃーない、俺が」
「いや、頭だけであるし…。某は、平気ですが」
「あー…さすが鍛えてんな〜この外もも!かってぇかってぇ。んでも、固過ぎねーとこがお前よく分かってんな。筋肉成長させ過ぎんの、あんま良くねーからな。うん、引き締まり具合がイイ。
―そんで、この内もも…やーらけぇぇ」
「政宗殿、くすぐったいでござ」
「はい、おしま〜い」
慶次が、笑顔で政宗を持ち上げる。
「てめコラ、ふざ」
「政宗殿、猫みたいでござるな…」
幸村が苦笑すると、
「バカ、俺がネコなわけねーだろ。そりゃおまぇ…」
「何、言おーとしてんのかなぁ、まーくんんん?」
「何って。お前もそう思うよなァ、慶次ィ」
「政宗は、英語がホンット得意だよなぁ!俺、お前が言ってること、全然分かんねーや」
「そうかそうか。仕方ねーな、教えてやるよ。あのな、ネコっつーのは」
「就ちゃ〜ん、コレよろしく」
「結局戻って来たか…フン」
「寝たら、もうその辺に転がしといて」
「オイ、聞ーてんのか?だからな…」
「政宗、それより元親も慶次も、まだまだやっておるぞ?もう寝るのは、早いのではないか?」
「おお、そーだったそーだった。あいつらに勝ったら、何くれるんだっけ元就」
「勝ったときのお楽しみよ」
政宗は、再び元就の隣で飲み始めた。
「大丈夫ですかな…」
「いーっていーって!就ちゃんに任せとこ」
「そうそう。…で、何の話だっけ」
「人気ランキング」
「ああ!…かすがちゃん、すごいよなぁ。幸も、鼻が高いだろ」
「そうですな…昔から綺麗でしたが、今は最も…」
「本当に仲良いなぁ、お前ら。普通、そんなに褒められねーぜ、家族のことなんざ」
「そうなのですか?」
「いーじゃん、いーじゃん!旦那とかすがちゃんは、それでいーんだよ」
(超羨ましいけどさ!)
「そうか。…さすがに恥ずかしくて、あまり本人には言えないが、…誰よりも綺麗だと思う」
と幸村は、酒のせいでもあるのかトロリと微笑み、
「ずっと……自慢の妹だ」
(かすがちゃぁぁん!本っ当に羨ましいぜ、くっそぉぉ!)
佐助と慶次は、それぞれ色んな意味で悶絶していた。
「でもよぉ、心配だったろ?そんだけ可愛がってて、あんな美人な妹ならよ」
「え?」
「ちょっかいかけてくる男が、多かったんじゃね?こーいう野郎どもがよぉ」
「ちょっと、人をそんなのの代表にしないでよ」
「ああ…片っ端から、断っておりましたなぁ」
「マジかっ。…え、もしかして…もしかしなくとも、あいつ…彼氏いなかったのか?今までずっと?」
「はぁ…、──と、思いまするが。中学までずっと、部活や勉強三昧でしたぞ。某の知る限りでは」
「勿体ないよねぇ…。いや、謙信の前じゃ言えねーけど」
「親ちゃん、かすがちゃんの好感度かなり上がったね?そーいうコ、めっちゃタイプだもんね」
「元親殿…かすがには、上杉先生という方が」
「知ってるわ!──びっくりしただけでぃ…ったく。…んでもよ、お前も大変だったろ?妹紹介しろとか言われまくってたんじゃねぇ?」
「…某、その度に『破廉恥!』と、叫んでおりましたからなぁ。某に頼めば、すぐに周りにバレてしまうので、その内誰も言って来なくなっておりました」
「あー…結果オーライ、か?」
「一度、どうしてもと頼まれて、かすがの『好み』を尋ねたのですが、『嫌いなタイプなら言える』と…」
「おっ、どんなの?」
「『下品、むさ苦しい、暑苦しい、美しくない、頭が悪い、害をなす。あと、生理的に受け付けないと思ったら、絶対ムリ』と」
「あっれぇ?俺様当てはまらないのに、なーんで嫌われてんだろ?」
「…俺は、どっからツッコみゃいーんだ?」
「生理的に、受け付けないんだろ」
ケケケ、と政宗が笑った。
「外野は黙ってて」
「某とお館様は、暑苦しいのもむさ苦しいのも、自負しておりましたからなぁ。それを聞いてしばらく控えておったのですが、三日目で知恵熱を出してしまい…二人して、かすがに大笑いされ申した。
『家族は別だ』と言われて、ホッとしたのを、よく覚えておりまするよ」
「旦那も先生も、かーわいいなぁ!」
「いい話(?)だねぇ」
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