一日目A-1


幸村元親元就鶴姫かすが孫市佐助慶次いつき蘭丸政宗

脇役で、小太郎、小十郎、光秀。

※再び、カオスです。[蘭いつ]が好きな方、すみません。その傾向が全くないです; その上、私の妄想赴くままに彼らを捏造しております(--;)
蘭丸に関しては、本当にごめんなさい; そうさせたかったんです、どうしても(^q^)
そして、二人の出番がやたら多い;

※小太郎、口調(←筆談;)捏造。

これまでで、一番長いです(泣)














「…政宗殿、驚かれるでしょうなぁ」

幸村が、申し訳なさそうに呟くと、


「いーんだよ、あれくらい。あーでもしねぇと、お前…」

そこからは、ハッキリと言えない元親である。


「よっぽど、虎が気に入ったのでしょうなぁ」
「あー…」

元親は、幸村をチラッと見た。

──狼の着ぐるみを着ているのだが、今は頭部を外して顔をさらしていた。

人通りが少ない場所なのと、あまりの暑さに耐えかねて。
頭は片手で抱え、額に汗が滲んでいる。


幸村は、ふっと元親を見上げると、突然彼に抱き付いてきた。


「な、なななッ!?」

普段の習慣からか、周りに彼ら──特に、オレンジ頭がいないかを確認してしまう元親。


「どしたッ?」
「──いえ…」

幸村は考えるように、「虎と、違いますかな?」


「へぁ…?」

思わず、世にもおかしな声になってしまう彼。


「政宗殿が、あそこまで虎をモフモフするのは…。やはり、あちらの方がフカフカだったのだろうか?…と」

「…あ、あー……」

力を抜き、元親は理解した顔になる。



(……中身の問題なんだよ……)



そう、幸村が言うように、初めは虎の着ぐるみを着ていた彼に対する政宗のスキンシップは、相当なものだったのだ。
邪魔者がいないのをいいことに、とにかくやりたい放題。
さらに、元就も着ぐるみで視界が悪いときている。

『こいつは本当に…』と、元親は呆れていたが、慶次には少しこういうとこも必要だな…、などとも思ってみたり。


体育館のイベント会場にて、政宗ファンに彼が囲まれたとき、ぐいっと服を掴まれ振り向くと──

…そこには、静かに怒りを燃やしている元就の顔があり、元親は情けなくも、小さな悲鳴を上げた。



『──交換、でござるか?』
『ああ。政宗に、ああもくっ付かれては、たまらんだろう?』

『ああ……某、暑がりなもので…』

はふ、と、幸村はパタパタ手で顔を扇ぐ。


体育館の更衣室で、幸村と元就は着ぐるみを脱ぎ、お互いのものと取り替えた。


『…すごい』


感動したように、幸村は狼姿を元就に見せる。──まだ、頭は被っていない。


『どうした?』

元就が不思議そうに尋ねると、


『ひんやりしていて、気持ち良い…!元就殿も、低温体質だったのですな!』
『ああ…。──も、とは?』

『佐助でござる。あやつも、汗一つかかぬでしょう?体温が低いからだ、と』
『……』

特に返す感想もないらしく、無言で虎の着ぐるみに着替えていく元就。


『…温かい』

ポツリと呟けば、

『ぬぁッ、すみませぬ!某は汗っかきで…!くっ、臭いかも…ッ?』

焦って顔を真っ赤にさせた幸村が、着ぐるみを掴んでくる。


『やはり止めませぬか!?某、虎のままで…っ』
『いや、臭くなど全くないが』

『し、しかし、汗で…』
『大丈夫、いくら何でも濡れてはいない。…低温には、ちょうど良い』

『元就殿…』

『むしろ…』

元就は、深く息を吸い込み、小さく吐いた。…身体に、その匂いをもっと取り込もうとするかのように。

『…昔は、日だまりの匂いだったのにな』
『日だまり…』

ああ、と元就は目を細め、


『天気の良い日に干した、ふかふかの布団──の』
『…今は?』

不安そうに見返す幸村に、


『自分では分からぬのか…?こんなに、良い匂いなのに』

と、元就は優しく微笑む。


『……?』

くんくん、と幸村は自身を嗅ぐが、首をひねるばかりである。


『お前の好きな、甘いものに似た…』
『──何と』

そんなイイものを嗅げず、幸村は、残念そうな顔をする。


『幸村』

元就は、幸村の腕を引き、自分の肩にその顔を寄せさせた。

『…どうだ?』


うーん…、と幸村は首を傾げ、やはりよく分からない顔をする。


『良い匂いは致しますが…』

幸村は元就の髪を指ですくい、顔を寄せた。


『……!』

『──どうやら、元就殿の髪から…元就殿?』

『い、いや!何でもない…!』

先に大胆なことを仕掛けたくせに、幸村の天然行動に、してやられている元就。



『…さっさと着替えろよな』


──実は最初からずっといた元親が、呆れ返ったように二人へ言った。



───………



(…ありゃあ完全に、俺の存在忘れてやがったな、元就の奴…)


「──元親殿?」

またも、無意識の上目遣い(元親が大きいので、仕方がないのもあるが)で覗き込んでくる幸村を見て、


(…佐助の夢じゃねぇが…。結局、こいつは現実でも奴らを振り回す天才…──まぁ男で、まさか、あいつらが自分にそんな想い寄せてるとは思ってもねぇだろうから、仕方ねぇけどよ…)


「いや…うん、まぁ……虎の方がフカフカかもな、うん」
「やはり、そうでござったか…」

やっと腑が落ちたように、幸村は元親から離れる。

…こっそり、ホッとする元親。


「──あ、あれは…風魔殿?」

幸村が目をやる方向に視線を向けると、なるほど、小太郎がポツンと一人突っ立っている。

いつものようにスーツでなく、ラフな私服姿。


「だな。今日は、北条のオッサンと一緒じゃねぇのか」

「風魔殿!」


幸村が大きく声を掛ければ、ペコリと頭を下げて二人に近寄った。


「今日は、お休みなのですか?」

幸村が聞くと、彼は、

『サラララッ』

──手帳に、ペンを滑らせる。


『はい、氏政様には別の秘書が。私は文化祭の様子見と、知り合いの案内をしていたのですが…はぐれてしまいまして』

別に、彼は声が出ないわけではないらしいのだが、これが日常になっているそうなのだ。

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