両家にて1
※幸村、かすが、政宗、小十郎
前回からはみ出てしまった、短いもの。
(2ページ)
幸+かす は、会話のみ。
政宗が、色々と爆弾発言してます(汗)
後書きで言い訳。
慶次と元親が電話で話していた頃の……
【真田家】
「幸村、今度またエステ行こう?」
「えっ、どうして」
「確実に優勝するため」
「はぁ……?」
「そういえば…幸村と孫市、身長差何センチなんだろう」
「……今日聞いたら、俺よりたった三センチ低いだけだった」
「孫市が高いだけだろ、そんな落ち込むな」
「本番では、向こうが…」
「うん、十センチ以上の履くとか言ってたな」
「………」
「何?孫市より低いと嫌なのか?…もしかして、彼女に惚れて」
「は、はぁー!?」
「冗談だよ……鼓膜破る気か」
「だッ――お前が…っ」
「ああ、それにしても、可愛かったな…(うっとり)。お前に、あんな素質があったなんてな。…知ってたら、小さいときに色々試したのに」
「何をだ…!?(ゾクリ)」
「…私…お前と会う前、一度だけ同じ年頃の女の子と遊んだことがあってな。ほら、これくらいの人形持ってさ」
「うん」
「その子、私と違って親もいてすごくお金持ちだったんだけど、いつも一人でさ。沢山ある人形の一つ貸してくれて…。
ふわふわの茶色い髪の毛で、パッチリした目のすっごく可愛いヤツで……今でもよく覚えてるよ」
「そう……か。――施設は、そういうのはなかったものな。お前は、いつも俺と外で遊んでくれて」
「まあ、私スポーツ万能だったろ?男の子の遊びの方が、性に合ってて楽しかったけどね。お前と遊ぶのが、一番」
「…そうか」
「ただ――何か、それだけは忘れられなくてな。その子、私のこの髪見て、人形みたいで好きって言ってくれた。その子が気に入ってた人形が、私に似てるって。
…で、彼女は、私に貸してくれた人形によく似てた…」
「…ああ…」
「驚いたよ。…お前が、まるであのときの人形みたいで。…あの子が大きくなったら、こんな風に――とか思ってしまって」
「…きっと、全然違うと思うぞ。比べものにならないくらい、綺麗になっているだろう。かすがみたいに、女らしい…」
「…っ!(――コイツという奴は…天然だから、始末が悪い)」
「俺の身長では、あんな服を着ても人形みたいになれないと思うんだがな…」
「そんなことない。モデルなんて、こんな身長ざらだよ?背が高い方が衣装も映えるし、何よりその長くて細い脚が生かせる!お前、ウエストもやたら細いし――」
「うおっ……おい、くすぐったいっ!」
「…そういえば、上の髪、結構伸びてるね。これ、もう少しで下の髪とまとめられそうだな、上の方で結べば…」
「ん?何が?」
「――よし。あっちの衣装は、地毛でやってもらおう!な?」
「地毛?」
「うん!…この天然栗毛、隠すの勿体無いよ。終わったら切れば良いんだから。絶対似合うと思う、あの人形みたいに…」
「……分かった。もう任せる」
「よし、その意気だぞ!」
「ああ。必ず優勝すると誓ったんだ、佐助に」
「――……猿飛?」
「俺がスキー喜ぶんじゃないか…一緒に行きたいと思ってくれていたらしくてな。その思いに、絶対応えたいんだ!だから、かすがにも……世話になるが」
「それはもちろんだ。…ただ、猿飛のためじゃなく、あくまでクラスのためが先だろ。そこ、訂正」
「あ、ああ」
(前から気になっていたが、何故かすがは、佐助のことを目の敵にしているのだろう…。そして、いつも聞ける隙すらないのだが)
「楽しみだな…(再び、うっとり)」
「……なあ?」
「ん?」
「『妹』でなく、すまなかったな……」
「――……」
「…かすが?」
「これだから…ッ、お前は、もう――…っ」
「うわっ?」
「お前以上の兄なんて!世界中探したって、絶対いない…!」
「う――あ……そう、か……?う、む……」
「…うん…」
(だから――『まだ、嫁に出したくない』のは、実は結構、冗談でもなかったりする……)
――周りから見ればズレていても、お互いへの思いはどこの家族にも負けない、そんな真田家の団らん(?)の一コマ。
愛情レベルの上がった音が、静かな夜空に鳴り響いた。
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