舞い、降りた1


慶次鶴姫幸村かすが孫市官兵衛三成吉継政宗元親元就佐助

慶/鶴/幸 幸/かす/孫/官/三/吉
慶(→)幸 メイン6人(短文)


舞や衣装等、無知がバッレバレですが、再びファンタジーとして見て下さい(´∀`)
素敵なイメージを添えて頂くとありがたや…。 無責任発言、土下座。

会話多しの乱雑文。本当に申し訳ない。
佐助の台詞、ほぼなし(TT)

↑後半は彼と幸村のやり取りを入れ、次回へ…という当初の目標が、達成できませんでした。
ので、今回はいつもより短いです。













「お兄ちゃん、本当に背が高いねぇ!」
「ホントよねぇ。この裾、もうちょっと引きずるはずなんだけど」

「えっ、そうなのかい?変かなぁ…」

「いーええ、ちっとも!むしろイイ感じよねぇ?シュッとして」
「うんうん」

「そう?良かった〜」

「ここだけの話、本物の踊り手さんより男前だよ〜?」
「確かにねぇ!」

「マジで〜?ありがとー!この道プロの姉さんたちから言われちゃあ、全面的に信じるっきゃねーよなぁ」

あははっ、と明るく響く笑い声。


その言葉に、周りのお姉様や、もう少し上の『お姉様』たちが、ドッと沸く。


彼女たちにレプリカの衣装を着付けてもらいながら、慶次は、ご機嫌な調子で愛想と愛嬌を振りまいていた。(自然体とも言う)

その心の中には、少しだけ重苦しい影が落ちていたが、それを薄めてくれたこの時間。
慶次が密かに感謝していることは、周りの誰一人とて知る由もない。


「前田さんは、どこに行かれても人気者ですねぇ」
「…のようですな」

幸村は、自分の前に座る鶴姫の手元を見たまま、呟いた。

先ほどから、声しか聞けていないのだが、見なくともその様子は伝わってくる。


慶次の着付けが先という順で、待っている間、

『私も、ちょっとだけお手伝いですっ』

と、鶴姫が始めたのは──


「もうすぐ乾きますからね。あと少しの辛抱です」

ニコッと、幸村の指から手を離す。

慶次たちの様子を見ることができないのは、幸村が背を向けて座らされているため。


(…アルバイトとはいえ…)


幸村は、眉を下げて自身の爪に目をやる。
…綺麗な桜色に染められた、十の。


『あの鮮やかな色なんですから、ここも飾ってあげないと、可哀想ですぅ〜』

と、ウルウルした目の前では、嫌だと言えるはずもない。
とりあえずは、目立たない色で良かった…と、ホッとした幸村だった。


「…終わったみたいですね。あ、もう動かして大丈夫ですよっ」

鶴姫が立ち上がり、幸村も後に続く。

そのまま振り返ると、


「どーお?二人とも。…似合ってっかな?」


──照れたように笑う顔。


「………」
「………」

幸村と鶴姫、しばしの間、同じように目を見開いていたが、


「──っ、すごい!すごいです、前田さん!すぅっごく似合います!素敵ですよぉっ?」

鶴姫の歓喜する声に、はっとし、再び慶次の姿を目に入れ直す幸村。


全体的には白い衣装で、下には足首辺りで絞られた穿き物に、上からは軽く羽織るような、裾の長い織物。腰には、緩やかに垂れた銀色の帯を締めている。

よく見てみれば、繊細な模様は銀糸で成されており、額にも白銀の冠。眉の上で、数個の飾りが揺れる。

長い髪は後ろの低い位置でまとめられ、綺麗な紐飾りと絡まるように、流されていた。


(………)

我には返ったものの、幸村の口からは何の言葉も出て来ない。


「ありがと、姫ちゃん!──幸…どう……かなぁ…?」

彼の反応に、いささか不安そうに尋ねる慶次。

幸村は、再び『あっ』と思い、


「お、お似合いでござる…」

たった一言、呟くようにもらした。


本当は、神というよりも、どこか異国の王のようだと──
…だが、そのような恥ずかしい台詞、幸村に言えるわけがなく。

思ったこと自体、顔が熱くなりそうなほどであるのに。


「良かったー…ありがとう」

しかし、慶次はそれだけで、最も嬉しそうに笑うのだった。

(もちろん、鶴姫はこっそり微笑んでいた)



「爪、どんな?見せて」
「え?」

幸村が反応する前に、慶次がその手をとる。


(うぅ…っ)

さらに情けなさに恥じ入る幸村だが、


「綺麗に塗ってもらったなぁ」

慶次は微笑し、


「いつもより、もっと綺麗に見える。あの衣装に似合うな、きっと」


(………!?)

幸村が唖然とすると、



「じゃあ、前田さんは、お先に持ち場近くで待機です〜。そちらで、説明を受けてて下さいね」

「了〜解。──じゃ、頑張ろうな?」

慶次は笑いかけ、神社の関係者に連れられ、部屋を出て行った。


──それからすぐに、幸村の着付けが始まる。…本人は、少々呆けたままだったが。


(何の冗談か…)


幸村は己の手に目を落とし、先ほどまでそれに触れていた、鶴姫の、白く華奢な指先を思い出す。
──普通は、ああいうものを、そう表現するのだろうに。


(…慶次殿は、いつも間違っておられる)


到底そんな風に見えない手指を、凝視する。

…しかし、何故か、さっきまで居心地が悪かった桜色が、少しだけ好ましく思えてきた。


(色に罪はないか…)


懸命に塗ってくれていた姿を思い出し、鶴姫を見ると、ニコニコと嬉しそうに笑う彼女。


「こっちのお兄ちゃんは、まぁ何て別嬪さんかね!」
「お嬢、本当に良い子を連れて来てくれたねぇ!腕が鳴るってもんだよ」

「でしょうっ?姉様たちに喜んでもらえて、私も嬉しいです〜」


(べ、べっ…!?)


幸村は、聞き間違いであろう、と強く思うことにしておいた。


「ハイ、ちょぉっと目ぇつぶっててね〜?」

若い女性がにこやかに間近に迫り、幸村は慌ててギュッと目を閉じる。

目の周りに軽く触れられる、この感じは…


「姫殿…もしや…」

目を開けた後、恐る恐る言うと、


「踊り手さんもするんですよ?男性の方ですけど。ほんの薄く付いてるだけですから、大丈夫ですっ」

「しかし、この衣装…」

裾の方を見てみれば、慶次のものとは少し仕様が違う。


鶴姫は、えへへ、と笑うと、

「うちは、『縁結びの神様』ですからね。でも、踊り手さんはどちらも男性なんです、昔から」


──どうやら、幸村の方は女性の神様であるらしい。

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