決別1


元就幸村政宗佐助慶次鶴姫元親

スキー研修からの数日後〜大晦日。

就(→)幸 政+就 佐(→)幸 全員
佐/慶/親 鶴/慶/幸

からは、短い会話程度が多いです。から幸村の影が薄い;

乱雑で、展開少なし。

ちょっと、キレの悪いところで終わってます…すみません(ノд〈。)゜。
続けると長くなるし、次に入れるのもちょっとなぁ…と悩んだ結果。













スキー研修から戻り、数日が経ち…


もうすぐ大晦日だというのに、元就は、相変わらず生徒会室に足を運んでいた。

居慣れた場所に、落ち着きでも感じるのか。…以前ならば、思いもしなかったことだろうが。
特に仕事がない日でも、勉強道具を片手に来てしまう。


ブブブ…とケータイが震え、手に取ると──


『三十一日は、よろしくお願いしますね!時間は…』


画面一杯に散らばる、チカチカと動く絵文字。鶴姫からのメールである。

彼女の家は大きな神社で、大晦日の夜に祭りが催されるのだが、その日だけのバイトを頼まれていた元就。
もちろん、人手は多ければ多いほど良い。彼だけでなく、他の友人たちも一緒にだ。
メールの宛先も、全メンバーの名が入っていた。

了解、と返信を済ませ、しばらくすると、


──コンコン


扉がノックされ、「どうぞ」と返事をする。
立って、こちらから開けるという習慣は、残念ながら彼には備わっていなかった。


「元就殿…」

「!幸村」

ゆっくりと開け、遠慮がちに顔を覗かせる幸村。

「どうしたのだ?まさか…一人か?」
「はい。…お邪魔では?」
「いや、大丈夫だ」

たとえ忙しかったとしても、元就は同じ台詞を言ったに違いない。


「お休みであるのに、大変ですなぁ。こちら、良ければ…」

と、お菓子の箱を差し出す。──いつもの、慶次のバイト先の店のものだ。

「先ほどまで、佐助と政宗殿と一緒でして」

あの、クリスマスパーティーの景品だった、新型ゲーム機を買いに行っていたのだという。


「あやつらは?」

よく幸村を一人にしたな、と元就は思うのだが、


「実は、元就殿と二人だけになりとうございましてな…。家に帰る途中から、また戻った次第で──元就殿?」


「…あ、いや…」

一瞬、固まっていたらしい。幸村が不思議そうな顔をしている。


「今日は、他の方は…」
「我のみよ。大した用事でもなかったのでな」

すぐに普段通りに戻った元就が、お茶を淹れた。
二人して、土産物のお菓子をパクつく。


(…政宗のことだろうか…?)


いつもの調子で美味しそうに食べているが、どことなく緊張しているような。
…相談事であろうことは、間違いない。

幸村は、お茶を飲み一息をつくと、


「元就殿…、最近は見られまするか?……あの、夢…」


──全くの、予想外だった。

かすがと謙信の出逢いの後から、その話は、めっきりしなくなっていたのだ。

…元就は、即答ができなかった。


「…何か、──見たのか?」

思い出したのか、と言おうとして止めた。
そのような感じは見受けられない。


「元就殿、『質問に質問で返すな』と、いつも言われまするのに…」

少し笑った目で、幸村が睨む。


「…あ…」

(だが…)


「すみませぬ、困らせて」

幸村は笑って頭を下げ、

「何となく、元就殿も、かすがたちと同じであるのでは…と、以前より感じておりました。しかし、かすがの態度から、あまり口外したくない話であるのかな…とも。…最近、特にそう思うようになりまして」


(…そう、であろうな。ともに暮らしていて、何も不思議に思わぬはずがない)


「答えられないものであれば、それ以上は聞きませぬので…。一つ、お尋ねしてみても?」

「…ああ」

幸村は、礼を言い、


「──元就殿の記憶の世界に、某は、おりましたのでしょうか…?」

かすがや元就と会った際に感じたもの。それは、相手も同様だった。…であれば、そう考えるのは自然だろう。
だが、元就は返答に詰まっていた。

頷けば、きっとその先を知りたくなるはずだ…


「…実は、昨晩見た夢に…、嘘ではありませぬぞ?──元就殿の、顔が」


(何…!?)

ピタリと止まり、少し目を開く元就。


「普通の夢ではなく、『あの夢』で。…顔がはっきり見えたのは、初めてでござった…」


(記憶は戻っておらぬのに、そのようなことが…?)

元就は、驚きの気持ちで一杯だった。


他の者の顔も、見えたのだろうか?
聞いてみたいところだが、それは、ルール違反に同等する行為。


「こんなことは、初めてでござる。元就殿以外は見えなかったが、お館様や、学園に入ってから、見る回数が増えた夢…。──もしや、皆とも…?と思いまして。…そうであれば、すごいことであるのに」

「………」

「…まぁ、思い出せば分かることですよな。これから、徐々に見えてくるのやも…」

無言のままの元就に、意外にも幸村は、スッキリしたような顔で言った。

元就は、しばらくそのままだったが、


「──思い出せると良いな」
「っ!…はい…!」

幸村は、たちまち顔を明るくする。


「…だが、我のことは思い出されとうないな…正直」

「え…っ」

曇らせてしまった表情に、元就は苦笑すると、

「我は、大層な傍若無人でな…。『嫌な目に遭ったのでは』と言ったが…それは、他人に対して、我が与えていたものだったのだ。お前も、軽蔑するに──いや、きっと、していたに違いない…」

「元就殿…」


「できれば、今の自分を……お前が、『大事だ』と言ってくれた、ここには他に誰もいない、お前の唯一の幼なじみ。…それだけを知っていてくれたら…」


元就の言葉は小さくなり、止まった。


──久し振りになされた、幸村の『癖』…

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