スキー研修A-1
※政宗、佐助、元親、幸村、元就、鶴姫、孫市、かすが、慶次、他、脇役数名。
やり取り三昧です。会話多し。
スキー描写、本当に少ない(--;)
前回のような、佐→幸←政…や、幸村モテモテ状態。色々、分からないことだらけの幸村。
会話で終わってしまう、(ごちそうは食べたはず;…の)クリスマスパーティー等。
長いし、カオスです。
宿泊するホテルはなかなかの造りで、生徒たちは贅沢にも、シングルの部屋をそれぞれに与えられていた。
一クラス分の人数であったからこそ、できたことなのだろう。
全室ダブルベッド搭載の、割と広めの空間。
どの生徒たちも、仲の良い者同士で一つの部屋に集まり、楽しんでいるようだった。
もちろん幸村たちも例外ではなかったが、翌朝も早いので、十二時前には解散した。
(幸村は、その後なかなか眠れず、苦労することになるのだが…)
「………」
政宗は部屋のテレビを消し、ベッドから立ち上がった。
ドアまで行くと、
『コンコンコン』
扉の向こうから、軽くノックする音。
(まさか…)
ふと頭に浮かび、急いで開ける──
![](//img.mobilerz.net/sozai/1645.gif)
「旦那とでも思った〜?」
「…うるせぇ」
「アラ、正直」
佐助は笑い、ベッドに腰を下ろした。
「何の用だよ」
「用なんてないよ。早く寝たら?」
「Ha〜?…って、何してんだテメー」
布団に入る佐助に、ギョッとなる政宗。
「そこで寝てくれても良いけど」
「Hey…何の真似だぁ?」
訳が分からないという風に、政宗は首をひねる。
佐助は笑顔で、
「さっきみたいな行動を、阻止するため」
「………」
「ど・こ・に、行こうとしてたのかなぁ〜?まーくんん…?」
お得意の、笑っていながら、目は冷たく恐ろしいという、器用な表情を見せ付ける。
「飲みモン買いに」
「嘘つけ」
吐き捨てるように言うと、佐助は本格的に寝転んだ。
「…見張んなら、外でやれよ。昨日は、やんなかったくせによー」
「いくらアンタが馬鹿でも、初っぱなからはないでしょ?良かったね、ちょっとは信用されてて」
最低ラインだけどね、と鼻で笑う。
「良いのか〜?お前、告るんだろ?んなことしてる暇ありゃ…」
「俺様、誰かと違って紳士ですんで。純粋無垢な相手に、ベッドの上で〜…なんて乱暴な告白、とてもとても」
「Ah〜?」
政宗は気色ばみ、「今頃気付くような、頭の弱ぇ奴にゃ言われたかねーな」
「それは正解だけど、アンタのあの行為は不正解」
「るせーな、人の勝手だろが」
「………」
「………」
政宗は、諦めたようにベッドの端へ腰かけ、
「…慶次は、放っといて良いのかよ?」
佐助は吹き出し、
「慶ちゃんに、そんなことできる勇気、あるわけないでしょ。…今の今まで、何もできなかった奴が」
「Oh〜、厳しいねぇ」
「だってそうじゃん、いつもなら手早いくせに──…まぁ、こっちとしては良かったけど」
政宗は苦笑して、
「相手が、アレだからだろ。俺だって色々考えて、何度も二の足踏んでたんだぜ?これでも」
「……へぇ」
(まぁ、分かってたけどさ…)
慶次が、何を思って今まで言おうとしなかったか、ということくらいは。
…自分よりも、他人を優先する彼である。
幸村を想い、長きに渡って留めて来たのだろう。
彼のことだから、卒業してから伝えようとでも、考えていたのではないか。
──であれば、あの笑顔を一度も曇らせることなく、自分も幸せに過ごせる。
「…つくづく甘いんだよ、慶ちゃんは。危機感ってのが足んない。だから彼女に振られんのよ、いつも。…優しいだけじゃダメっしょ、やっぱ」
「けどよー、俺が言ったのとお前が自覚したことで、さすがのあいつも決心すんじゃねーの。…良いのか?」
「俺様だって、言うからね」
そう言うと、佐助は意外にも穏やかに、
「慶ちゃんの気持ち初めて知ったとき、やっぱり俺様、分かってたんだわ。…『親友』は、それに敵う立場じゃないって。だから、アンタにああ言われて、ムカついたんだよね、きっと」
「…気持ち悪ィ。そっちこそ、何か素直じゃねーか」
戦く政宗に、「うるさいよ」と笑って睨む佐助。
「だから、自分も同じだって分かって、今度こそ吹っ切れた感じ。だったら、もう怖がることないじゃんって。…同じ武器で、戦える。──アンタらと」
「Haーn…。first love のくせに態度デケェよな、ホント」
佐助は明るく笑い、
「だよねぇ。…これまでも、旦那のこと大好きだったけど、自覚してから、全部がパワーアップしちゃってさぁ。も〜、常にニヤニヤしちゃうんだよねぇ。ぶっ通しで、ハイテンション。毎日嬉しくて楽しくて、参るわ〜。恋って、すげーね」
「Haーha…。てめーこそ、寝言は寝てからにしろや」
オェ、と吐く振りをし、政宗はベッドに倒れた。
「…この時間なら、さすがのアンタでも行かないか。旦那、もうぐっすりだね」
佐助はケータイを見て、ベッドから起き上がる。
「どうせ、無理だって思ってたからさ。今回で、二人きりになるのなんて。それに、せっかくの旅行中に、旦那に余計なもん抱えさせたくないし。これが終わってから言うつもりだったよ、元々」
「Huーm…」
「だから、とにかくアンタを見張っとこーと思ってさ。…良かった、そうしてホント」
「………」
政宗は舌打ちし、布団の中へ入った。
「明日も仲良くしよーねぇ。おやすみ〜」
佐助が半開きのドアの隙間から、笑顔で小さく手を振る。
ゆっくりと閉まる扉に、枕の一つが激突した…。
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