スキー研修@-1


佐助元親慶次政宗幸村元就
に、孫市/かすが/鶴姫 が少し。元就の出番、少ない。

前回から、数日後(前半)〜
スキー研修の初め(後半)

会話が多し…。捏造脇キャラが、出張ります。
スキー描写、雑ですみません;













あれから一週間ほどが経ち、期末試験は無事終了した。

十二月も半ば──
街は、クリスマスのイルミネーション一色に、すっかり彩られている。



「ちーかちゃん!一緒に帰りましょ〜」


妙なイントネーションで、ヘラヘラ寄って来る佐助。

元親は訝しげに、「幸村は?」

「かすがちゃんと帰るって。今日、お館様ん家に行くみたい」
「ふーん」

──そうしてやって来たのは、慶次のバイト先の店。


「おっ?珍しいねぇ」

スウィーツ側の扉から入ると、慶次が驚いた顔で出迎える。

「ご飯、ここで済ませようかなって。ちょっと早いけど」
「どーぞどーぞ。ゆっくりしてって」
「いや、食ったらさっさと出るぞ?」

「も〜、ツレないこと言わないのっ。──あ、そっか、早く二人きりになりたいん」
「じゃーな、慶次」

「まーまー、照れないで!オゴるっつったでしょ?…じゃ、慶ちゃん頑張ってね」

佐助は、にこやかに手を振り、嫌な顔全開の元親を強制連行していく。


(幸、いないんだ…)


少々残念に思いながら、慶次は仕事を再開した。









「そんな安いもんで、良かったの?」

佐助が、元親の前の軽食を指した。

「帰ってもどーせ食うからよ。…てか、怖ぇ。ぜってー何か裏がある」
「もー…まーくんも親ちゃんも、邪推し過ぎ」
「おめーだもんよ、しゃーねーだろが」
「心外だなぁー」

軽く笑って、

「実は、頼みがあるんだよね」

「頼み?」


佐助は、「うん」と頷き、

「あのねぇ、親ちゃんの言う通りだった」

「あ?」

食べる手を止め、見上げる元親。

佐助は、明るく、

「この前言ってた、旦那の話。…俺様、同じだった」


「………」

元親は無言で水を飲み、「──いつ…」

「ホントついこないだ。親ちゃんが旦那に昔の話した、次の日?」


(…マジか…)


元親は、ひたすら驚いていた。
政宗が幸村に告白したときもそうだったが、あれだけ鈍かった佐助が、突然…

──が、その後の二人のやり取りを聞かされると、頷ける気もした。

あの事件や母親のことで、彼がかなり重苦しいものを抱えているのは、よく知っていた。

以前、幸村に髪を褒められた際、泣きそうな顔で喜んでいた理由も…


「…やっぱ、そうだったろ?気付くの遅ぇよ、ったく…」
「だねー、自分でも思った」

あはは〜、と佐助はいつもの調子で笑う。


「分かったらさぁ、すげぇスッキリしたわ」
「…そりゃ良かった」

「──でもねぇ、あの日言ってたことは、変わんないよ?…俺様は、絶対『一番』になってみせるから」

「…おお。…ま、そーだよな…」
「うん」

佐助は、食べ終わった皿を端に寄せると、

「けど、それ以外にも分かったことがあってさ」
「ん?」

「…どーやら旦那は、思った以上に、俺様たちのことが好きみたい」
「──……」

呆れ顔になる元親を制し、

「『たち』ね。もちろん親ちゃん含め。…だから、本当は簡単なんだけど、するの止めとく」

「何を?」

「政宗と旦那を気まずくさせて、思い切り引き離すこととか」

「………」

「あのとき、チャンスだと思ったんだけどさ。…政宗と話した後の旦那見て、気付いた。あー、俺様だけじゃーダメなんだなぁって」

「…あいつは、そーいう奴だからよ」
「うん。だからライバルが多いんだよね」
「だろな」

佐助は苦笑し、

「んでね、お願いがあんの。──まーくんと慶ちゃんに、親ちゃんから言っといて」

「…って、良いのか?」

「あいつらに自分から言うなんて、絶対ムリ。頼むよ。…それのお礼」

と、皿を示す。


「…しゃーねぇな」

「あ、あとさ…これからは、旦那がウチに泊まるとき、親ちゃんか就ちゃんが絶対来てね。俺様が告るまで」

「元就にも言っとけってか。──つか、コクる!?」

元親は唖然と見返す。


「だって、すっごい考えたけど、それ以外なさそうだし…。最初は、旦那をあれ以上悩ませたくないなとも思ったんだけど」

「お、おお…。いや、賢明な判断だけどよ」


(こいつ…。初恋のくせして、バッサリしてやがんな…)


少しは初々しい姿の一つも、見せろってんだ…──と思ってしまう元親である。


「大丈夫。いつもの調子で、旦那を苦しませたりはしないから。…こうなると、旦那は、まーくんに絶対いかないと思うよ」

ふっふっふっ、と不敵な笑いをもらす佐助に、元親は顔をしかめた。


(…スゲェ自信。けど…)


あの夜見た、佐助の薄暗さ。…それが、今や全く感じられない。

相変わらずの盲目さではあるが、ずっと、真っ当と言うか…まともと言った方が良いか…

──それも、幸村の力によるもの…なのだろう。


「いつ告んの?」

「年内には」


(──スキー研修で、とか…?)


冬休みの初め。…クリスマスを含む、数日間。
一番近いイベントと言えば、まずそれしかない。


「んじゃ、ヨロシクね」

佐助はテーブルに金を置き、さっさと店を出て行った。


(結局、記憶は戻ってねぇのか…)


元親はケータイを取り出し、メール画面を開いた。

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