災難1


幸村佐助政宗慶次元親元就光秀

体育祭!…毎度のことで、スルーしちゃってます(^^; また、皆のやりとり。

光秀の、公式パロ設定ちょっと頂いてます。
これ、させたくて止められませんでした!
今までで一番ひどい、非現実的・展開!














待ちに待った、体育祭――






「み、な、ぎ、るぁぁー!」



「見ていて下され、お館様ぁ!!」



「やりましたぞ、お館様ぁぁぁー!!!」






…などと、常に咆哮を上げてグラウンドを駆け回る幸村を、佐助はいつでも視界から外さないよう気にかけていた。


(あー、もう…また怪我しなきゃ良いけど)



練習時にも熱くなり過ぎて、しょっちゅう擦り傷だらけになっていたのを、佐助が丁寧に手当てをする――そんな状況が日常となってしまい。

最近では、ポケットに忍ばせるものに、絆創膏やミニ救急セットまで増えてしまった彼である。


幸村や政宗たちは、ほとんどの競技に出ているので、佐助や元就は生徒控えのテント内で応援することが多かった。
佐助は、最後の要のリレーのアンカーを務めることが大仕事なくらいで、他に出る数は大したものではない。

クラスごとに色分けされ、三学年の同じクラス同士が一つの組となり競う。
幸村たち二年一組は、三年一組、一年一組と合同――といった風にだ。

三年一組の担任が信玄だったこともあり、幸村の炎は普通よりも燃え上がっている。
さらに、一組の色は彼の大好きな赤だったため、士気も上がるというもの。
額に結ばれた赤いハチマキは誰より似合っている、と佐助はこっそり思っていた。

昼休憩になり、天気も秋晴れ――彼らはテントの下でご飯を食べることにした。
今日は日曜なので、食堂は休み。皆、弁当持参である。


「…旦那、そんなに弁当持って来たの?」


幸村が、可愛らしい柄の布にくるまれたものを三つも置いたので、佐助に限らず他の皆も目をむく。


(かすがちゃん、どうせなら一つにまとめりゃ良いのに、何で…)


と、思っていると、


「いや、これはもらったんだ」
「もらった?……誰に?」

「えーと…」

これが誰々、こっちが誰々…と、幸村は説明していく。

――それは、全員同じ赤組の一年生の女の子の名前で。

中には、有名な仕出し屋の娘などもいて、内容は恐ろしく豪華で美味しそうである。
他の二つも、絶対シェフに作らせただろ、と思われるような立派なもの。


「準備中に親しくなったのだが、俺の昼が自分やかすがの手作り弁当や、食堂だったりという話になると、体育祭のときに差し入れしても良いかと言われてな。あまりに申し訳ないし断ったんだが、準備で世話になったからと熱心に言ってくれるので…」

最終、押し切られたというところだろう。
…彼女たちの真意を知らぬまま。


(――餌付けかよ)


チッ、と心の中で舌打ちする約四名。


「佐助の弁当も、いつもより大きくないか?」

そう覗き込んだ先には、彼女たちの豪華弁当ほどではないが、種類も豊富な、一人分にしては量も多いもの。


「あ、えーっと……」

佐助は気まずそうに、


「旦那、すっげー動くから、腹減るかなぁって思って……余分に」


途端、幸村の目が輝き始める。


「作って来てくれたのか!?俺にも?」
「う……ん、でもそんなにあるんじゃ――」
「大丈夫だ!全部食べる」
「いやいや、腹壊すでしょ、さすがに」

慌てて言うのを、

「Hey、そんなら俺らもそれ分けてもらっていーか?」

政宗が、助け舟か単なる女の子への嫉妬か、豪華弁当に手を出す。


「あっ、俺も食べた〜い!ダメ?」

慶次の、いつもの明るい調子で頼む声。――心の中では、きっと女の子たちへの悔しさで一杯になっているはずだろうが。


「幸にもこっち分けたげるからさー!ほら、まつ姉ちゃん特製、プチお重!」


「「「うおぉぉぉ……!」」」


幸村だけでなく、他の面子も引き寄せられる。


結局、幸村への貢ぎ物たちは、躍起になった政宗や慶次の胃袋に半分ほど収まり、幸村は全ての弁当をまんべんなく食べられて非常に満足そうだった。


「美味かった…!まつ先生の料理を毎日食べられる慶次殿は、幸せ者ですな」

後できちんとお礼を言っておきまする!と、幸村は慶次に頭を下げた。


「良かった良かった!まつ姉ちゃんも喜ぶよ」

それを見て幸せそうに頷く慶次。


「――あ、待て佐助っ」
「え?」

あらかた食べ終わったので、自分の弁当箱を片付けようとしていた佐助が、幸村を見返す。

幸村は、取り分け皿として使っていた蓋に、佐助の鶏の唐揚げを拾い上げた。


「最後の楽しみにとっておいたのだ!佐助の唐揚げは、本当に美味いから」


パクッと口に入れ、


「〜〜ッ、やっぱり美味い!今まで食べた中で、一番好きだ!」


放たれる笑顔は、甘味を食べたときに負けず劣らず……







――ギュウゥゥゥ……!





(いだだだ……!え、何で――?)


佐助は、またあの痛みに襲われ、内心疑問符だらけになってしまう。



(嫉妬するシーンじゃなかったのに……おかしいな)



しかし、とにかく――



「いやー、そう言ってもらえっと作り甲斐があるってもんだわ。嬉しいねえ」

幸村を安心させるため、こちらも精一杯優しい笑みで返す。

「また作ってあげるよ」


「本当か!?」

ますます嬉しそうに、「ありがとう!」と目を細める幸村だった。



「――おう、政宗。お前、ハチマキ交換頼まれたか?」

元親が、ニヤニヤと尋ねる。

「俺、一年の女子から何人か言われてよ〜、困ったもんだぜ」


「Ha!んなの、俺もとっくだ」

政宗も得意げに答えた。


「二人とも、一年生にはあまり素性を知られておらぬものな」

嘲るように元就が言うと、

「そういうお前も、何も知らねぇいたいけな一年生から、頼まれてたじゃねーか」

反撃とばかりに元親が返す。


「我は断った」

きっぱり、何の未練もなさそうな元就は、いつもの涼しい表情。

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