再会1


※タイトルのまんまです(^^;

登場するのは、
佐助慶次政宗元親幸村元就

あと、脇役で他キャラが数人。

※捏造が激しくなります。
キャラ同士の家族設定があります。読まれて嫌悪されたら申し訳ありません…!















あかい、あかい夢を見た。

――夕陽の?――炎の?



…それとも。





流れゆく、――の





初めは温かくて心地好くて、いつまでも目覚めたくない気分だったのだが。




……引きちぎられそう、だ。


――早く、…一秒でも早くこの夢から出してくれ…!


嫌だ……あんな思いをするのは、もう二度と…


だから――忘れるんだ。

自分を守る為だ。

……仕方ないことなんだ。




消えろ。



こんなに怖ろしい色は、消してしまえ――…





――――…………





佐助は、ゆっくりと眠りから意識を取り戻した。
ベッド脇の窓から、鳥の鳴く声が聞こえてくる。時計を見ると、朝の六時過ぎ。
身体が汗でベタついていた。

これは汗をかきにくい彼にとっては非常に稀なことである。

制服のブレザーとズボンはきちんとハンガーに掛けられており、本人はそのまま布団に入り込んだらしかった。
別に、Tシャツにパンツでも迷惑をかけることはない――佐助はこのマンションに一人住まいをしているので。
立派で建物自体もまだ新しく、部屋数も一人には不釣り合いなほど多くある。

母親を早くに亡くし、父親は仕事で海外。家どころか日本にさえロクに帰って来ない有り様。
しかし、今はインターネットやテレビ電話が充実しているため、長く顔を見ないという状況には陥っていなかった。

佐助自身も自由を愛する性分なので、父親に対して何ら不満を感じていない。さすがは親子だと心底思うほど、佐助と父親は性格や考え方がよく似ていた。

友人を招いて休日前を過ごすにはもってこいの場所を与えてくれたことに感謝するばかり。
それに、一人の時間をたっぷり満喫もできる。高校生としては、この上ない贅沢な身分だ。
元々手先が器用だったので家事で困ることもなく、今ではなかなかの腕前になったと自負しているほど。


…シャワーを浴びながら、佐助は昨日のことを思い出していた。

――家に帰ってベッドに入った記憶が全くない。
しかし、玄関の鍵はきちんとかかっていたし、制服も…


(…真田、幸村……って言ってたよな)


俺様、何でいきなり気分が悪くなっちゃったんだろ…
ケータイも交換しなかったし、もう会うこともないのかな。…慶ちゃんの店に来てくれたら、分かんないけど。

…考えてみれば、助けてもらっときながら、失礼な態度だったよな…



――よし



佐助は決心したように濡れた頭を振り、鏡の中の自分を覗き込んだ。


次に会えたときには、ちゃんとお礼を言って…

そうだ、慶ちゃんとこの店のオススメのやつを贈るとしよう。
あの律儀そうな感じから、一度は店に来てくれそうな気がする。


…来て……くれると、良いけど


珍しく、弱気な考えが頭を掠める。

昨日の体調の悪さのタイミングを、少々呪いたい気分にもなっていた…











「そんで、身体はもう平気なわけ?」

慶次が、案じるように佐助を窺う。
朝のホームルーム前、昨日の話を終えたところだった。

「うん、すっかり。何しろ約半日分も寝ちゃったし。自分でもびっくり」

あはは、と佐助はいつものユルい笑顔になる。

「まー、無理はすんなよ?お前、一人暮らしだからな。そういうときは遠慮せずに俺らに連絡しろな」

さすが、その兄貴肌で多くの者――特に男子――から慕われる元親は言うことが違う。

「親ちゃん優しい…!俺様、惚れちゃいそ」

ガバッと元親の背中に覆い被さる。

「重っ!――てか、キモッ」
「ひっどぉい、俺様の愛を」
「サル子、うざ」
「まーくん、鬼!良いよ、今度片倉先生に言いつけてやるから。政宗くんに苛められるんですぅって」
「…昨日、仲良いって言ってなかったっけ?」

慶次が苦笑いし、「まあ、大丈夫なら良かったよ」

「ありがと、ご心配おかけして。…で、慶ちゃん、あの子が来たらさー…」
「うん、連絡先聞いとくな。俺も、また会いてーし」

(…そんなにすげぇ奴なのか)

政宗と元親は、ほとんど同じことを考えていた。

例の少年のことを話す二人の興奮振りは、目を見張るほどで。


『すっ――…ごい強くて!すーっっっっごい格好良くってさ!!』

普段飄々としながらどこか冷めたところのある佐助が、ここまで力を込めるのだから、相当衝撃だったに違いない。

『そうそう、なのに見てくれは普通の――てより、かなりイケメンくんなんだ!目がこう…キラキラ〜ってしてて。なっ、さっけ?』

『………うん』

慶次の言葉に、複雑そうな顔をした佐助の真意はよく分からなかったが、そういう印象で間違いはないのだろう。

政宗も元親も、少なからず興味を抱き始めていた。

チャイムが鳴り、担任の教師が教室に入って来る。
左頬に傷があり、髪はオールバック。渋いが極めて強面の男性。決してそちらの方ではない。れっきとした教師で――名は片倉小十郎。
歳は二十代後半で、政宗の従兄弟という関係でもある。
昔から態度の大きい政宗だったが、彼だけには頭が上がらないらしい。

朝の挨拶を終えると、

「今日からうちのクラスに、新人が二人増えることになった。――おい、入って来い」

と、廊下に向かって声をかける。

(――えっ、昨日の今日じゃん、正に)

佐助も、他の三人も同時に思った。

静かに開くドアへ注目が集まる。

[ 6/83 ]

[*前へ] [次へ#]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -