砂浜編1
※幸村、佐助、元親、政宗、小十郎、元就、吉継、謙信、慶次、三成、
に、かすが、鶴姫、孫市は脇役。
最初は皆で、その後、
佐+幸、慶(→)+幸
海です♪
なのに、泳いでる描写とか少ない; 色々知識薄いのがバレバレ!
後書きで言い訳。
幸村は、紺色の水泳パンツを取り出した。
…転校前の学校の、指定の物。
学校のロゴが入っているが、普段でも充分使える、シンプルなデザイン。
さぁ、着替えるかと立ち上がると――
「旦那〜、ちょっとこっち来て?」
佐助の声に、振り返った。
![](//img.mobilerz.net/sozai/1645.gif)
「うん、眼福極めたり…」
佐助が溜め息混じりに言うと、政宗と元親も深く頷いた。
「親ちゃん、あの二人はただの幼なじみなんじゃなかった?」
「うるせー、それとこれとは話が別――つか、俺は真田妹を見てたんだ」
「上杉先生に叩っ斬られるよ」
「……今のは、冗談に決まってんだろ?――それより政宗、てめーという奴はホントに」
「Ah〜?お前の言う通り、こりゃ別だろー?俺は健康な男子なんだよ」
「…見境ないだけだろ」
――旅館から歩いて数分の海水浴場。
三人の視線の先には、水着に着替えたかすが、鶴姫、孫市らがビーチボールで楽しそうに遊ぶ姿があった。
全員ビキニで、予想通り――いや、それ以上にスタイル抜群である。
かすがは黒の、孫市は赤、鶴姫は白地にドット柄で下はミニスカート型という、それぞれのイメージにぴったりなものを選んでいる。
「姫ちゃん、細いなー」
佐助が感心したように言うと、
「お前はあーいうのも好み?」
と、元親。
「いや、一般的な感想」
「俺ァやっぱ姉さん系だな…」
ニヤニヤする政宗に、
「誰も聞いてね――あ」
早速そんな目立つ三人に声をかける男どもが現れたが、少し離れた場所にパラソルを立てていた小十郎が、すぐに彼らを散らした。
「あーあ、可哀想に」
佐助がおかしそうに笑い、「あの強面で来られたら、ホントすぐ逃げ出したくなるし」
「…やべ、小十郎こっち見てねーか?オメーら何してやがる、とか思ってんな、ありゃ」
「い、行こうぜ」
三人は急いで駆け、政宗と元親は女の子たちを誘い、海の中へ入って行った。
佐助はパラソルに入り、
「皆、遅いねー」
中には、小十郎の他に元就と吉継もいた。
「余計なもん買い込んでるんだろ、どうせ」
ここにはいない幸村、慶次、謙信、三成の四人は買い出しに行っている。
出店もあるのだが、飲み物は他で買った方が安いと、持参したクーラーボックスに詰めて来るとのこと。――人数が多いので、二つ分。
「上杉先生が、またすげぇ入れてんだろうな…。昨日も散々飲んでたくせに」
はあ、と小十郎が息をつく。
謙信は大変な酒好きで、今は杯を交わせられるのが小十郎しかいないため、昨晩はかなりの被害に遭ったらしい。
海に入る気はゼロらしく、動きやすい私服姿――小十郎も、ハナから諦めているようで同様だった。
「そういや、真田の水着…どうなったんだ?」
呆れた顔で、小十郎が尋ねた。
「ああ…」
佐助は苦笑し、「慶ちゃんの勝ちだったね、就ちゃん?」
「ああ、不本意だがな」
元就が面白くなさそうに答えた。
「ほお、…てことは」
「これは、毛利の選んだ物だったな」
と、吉継が自分の穿いている淡いグリーンのグラデーションの水着を見て言った。
「――ああ、なるほどな」
「就ちゃんらしくてキレイなやつだよね。大谷さん似合ってるよ」
「さようか」
吉継は小さく笑う。
「じゃあ、石田の分は――」
「まーくんが選んだやつ」
「…それは、意外だな」
「や、『刑部にはこれもこれも似合わん』とか言ってさ。俺様とまーくんの蹴散らして」
小十郎は、政宗が選んだという青ベースのスタイリッシュな水着を思い返していた。
確かに、そっちよりは元就の物の方が似合っている。
「何か、親ちゃんの水着見てたけど…」
「紫は、三成も好きな色なのでな」
「あ、それでか」
「……で、お前のは出番なしだったわけか?」
苦笑しつつ言う小十郎に、佐助は口を尖らせ、
「そーなんだよー。でも旦那が、この水着は自分より俺様のが絶対似合うって言うもんだからさ、結局自分で着ちゃった」
と、自らが穿いている深緑色のカモフラージュ柄の水着を見せた。
「そうか…」
小十郎はククッと笑うと、「お前ら、思い切り自分の趣味じゃねぇか。政宗様もそうだったが」
真田に似合う物――なんて、これっぽっちも考えてねぇな。
…てより、自分の色に染めてやる的な。
あいつに似合う色と言えば――
「……だーれだ?」
「――っ!」
突然、白い手が佐助の両目を覆った。
小十郎、元就も吉継も驚いたように、佐助の背後に付いた人物に目をやる。
「その涼やかな声は……孫ちゃんっ?」
くるっと振り返ると――、
「…!だんなぁ!?」
「ふはは、騙されたな佐助!いつぞやの仕返しだ!」
と、勝ち誇ったように笑う幸村の顔と、隣には同じように微笑む謙信の姿。
「あっ、先生の声だったのか!どうりで」
合点がいったような佐助だったが、「くっそ〜、騙された。だって…」
と、幸村の手を掴み、自分のもので確かめるように触り始める。
幸村よりも長く白い指で、手の平から一本一本爪の先まで。
「佐助…?」
「…ホントに旦那の手?何、このすべすべさは!これのせいで分かんなかったじゃんっ。これも岩盤浴のせいかなぁ…。……気持ち良い――」
さわさわさわさわ……
「――佐助、くすぐったくなってきた、そろそろ…」
「……何やってんだよ」
クーラーボックスを抱えた慶次と三成が声をかけ、佐助をハッとさせた。
「猿飛、貴様変態くさいぞ。真田、離れておけ」
「ひどッ」
「確かに、さっきの顔はひどかった」
吉継が、うんうんと頷く。
「おっ、俺様より、政宗のが数段気持ち悪いよ!ね、旦那!?」
「…聞き捨てならねぇな」
小十郎がジロッと佐助を睨む。
「今朝起きたら、政宗が幸村の布団に入って寝てたんです」
元就が無表情で言うと、
「政宗様…」
小十郎は頭を抱えた。
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