旅館編1
※元親、鶴姫、孫市、佐助、幸村、元就、吉継、三成、政宗、慶次、かすが
初めは皆のやりとりで、
幸+かす、
その後、佐・幸・慶・政・親・就
大分頭がわいてます。
楽しくさせたかったつもり(@_@;)
プチ旅行 お泊まり編
「しかしよー、おめーみてぇなガキじゃあ、ちーっと難しいんじゃねぇか?相手は、えー……いくつだ?」
「二十四歳ですけど、失礼なっ!人間、見た目じゃなく中身で勝負です!」
ぷう、と頬を膨らませた鶴姫が、元親に抗議の声を上げた。
「姫、そういうとこだよ…。だが、元親も言い過ぎ」
孫市が苦笑する。
「は〜い、孫市姉さまー」
女子校では普通のことだったらしいのだが、鶴姫は孫市のことをそのように呼ぶ。
「いや、でも姫ちゃんは可愛くて性格も良いんだから、今のままでも全然イケると思うなぁ〜。――ね、旦那?」
「そ、そうだな…!」
(佐助の奴、俺が言ったことをそのまま…)
顔が赤くなりそうな幸村だったが、何とか耐えた。
「そうそう、元親の言うことなど気にする必要はないぞ。むしろ初めから聞かなくて良い」
「猿飛さん、真田さん、毛利さん…っ」
鶴姫は感激したように、「聞きました?元親さん!何て良い方たちなんでしょうっ」
「節穴って言葉知ってっか?おめーのそのデケェ二つは機能してねーみてぇだな。あと、耳もおかしい。こいつらが良い方なら俺は天使だぜ」
「似合いません。…まあ、真田さんが嘘つきだって仰るんですか?」
「あああー違ぇ!違うぞ幸村!?」
慌てて否定する元親だったが、
「え?」…本人は、何も気付いてはいなかった。
「…相変わらず、仲が良いな」
くくっと、吉継が二人のやり取りを笑った。
「…大谷さん、視力落ちてませんか?」
「どこをどう見たらそうなる?コラ」
「貴様ら、刑部にその言い方…。斬滅するぞ」
ギロッと睨む三成に、
「え、ざん…?」
幸村は不思議そうに聞き返した。
「ざ・ん・め・つ。ミッチーの口癖みたいなもんだから、気にしちゃ駄目だよ?旦那」
「な、面白いだろ?こいつ」
元親が、三成の肩を叩いた。
「Hum…。なあ、アンタらは相手いねぇの?」
三成に大分慣れてきた様子の政宗が尋ねた。
「相手?」
「恋って良いよな〜って話してんだけど」
慶次が苦笑いする。
「――ああ」
「アンタ、お堅そうだもんなー。こないだもフッたって?厳しいよな」
「来る者拒まずよりは、ずっと良いと思うぞ」
「……」
孫市に微笑とともに言われてしまえば、政宗も佐助も黙るしかない。
「三成はこう見えてシャイなのよ」
「…刑部、頭でも打ったか。――私には必要ない話だ」
「え〜…」
慶次が、つまらなそうに唸った。
「何か良い番組やってねーかな」
元親がテレビのリモコンをランダムに変えていると、
「あっ、この映画」
「ん?」
鶴姫の声に、チャンネルをそこに留める。
「知ってんのか?」
「はい!」
鶴姫はうっとりと、「純愛ものなんですよ〜。すっごく切なくて」
「ほー…」
自然、皆の目が画面に集中する。
洋画で、やたら二枚目な俳優が二人出ている。
何やらシリアスなシーンらしく、張り詰めた雰囲気が伝わってくるが…
(……んん?――これって…)
幸村以外の人間が、もしや…と思い始めていたとき――
「!!」
――やはり。
(純愛って…。――そう、みたいだけど…)
――二人が近付いたかと思うと、画面の中は情熱的なキスシーンに。
全員が、恐る恐る幸村を見ると――思った通り、真っ白になっている。男女であれば、破廉恥騒ぎで終わったところだろうが…。
「…これは、一体…」
「――…」
幸村の呟きに、慶次は切なく眉を寄せた。
「だっ、旦那!あのねっ――」
自分でも、何がそうさせたのかは分からない。
戸惑いに固まってしまったその顔を、とにかくどうにかしてほぐしたかった。
――その瞳に、嫌悪の色を落としたくはなかった。
佐助は、素直で真面目な幸村ならば、いかにも納得するような、実に上手い説明を聞かせてやる。
本当に、こいつほど弁の立つ――と言うより、口の上手い奴はいない、と友たちは強く思っていた。
「な…る、ほど」
思った通り、ほとんど疑問点がなくなったらしい幸村。
「仕方ないって思わない?好きだーって思った相手に、恋人がいたとか結婚してたとか…同性でしたとか、分かったところでさ。きっと…簡単に止められないよ、その気持ちは」
「そう…なのだろうな」
コクコク、と幸村は腕を組んだまま頷く。
「さっけ、ありがとう…!」
(――ん?何で慶ちゃんが?)
首を傾げる佐助である。
「外国じゃあ珍しくねぇとこもあるもんな」
政宗はそう言い、「てか、姫と孫市の反応が普通なのがすげぇ」
「だって、これ本当に良い話なんですよ〜!すっごく心にギューって来ます!そんなの関係なくなってきますし、私も猿飛さんの考えと同じですっ」
「それに、私たちは女子校育ちなのでな…」
「侮れませんよ〜?」
ニコニコ笑う二人に、皆ごくりとなる。
その秘密めいた言葉の元となる逸話を聞きたいような、やめておいた方が良いような…。
「――ヌシらになら、打ち明けても良いかも知れぬな…」
ポツリと吉継が呟き、「え?」という風に全員が注目する。
「実は……我にも想う相手がおってなぁ…」
たちまち、どよよっとなる場。
「そうだったんですか!じゃあ、私と前田さんとお仲間ですっ」
慶次に片想いの相手がいるというのは、今や女子の間では知れ渡っている情報らしい。
「刑部…そうだったのか」
三成も、かなり驚いている様子。
「意外だな〜、大谷さんが(そんなのに体力を使うなんて)。…誰なの〜?」
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