賑やかな週末A-1


慶次幸村元就佐助政宗元親

で、前回の続きです。
前半は、キャラのやりとりが占めてます;

※佐助が相変わらずおかしいです。
(管理人の愛ゆえの崩壊です)

戦国と同じようなことがありまくりです;
やりたかったので…














――猿飛家の風呂は、本当に広かった。
大人二人で入っても余裕というほど。

六人いるので二人ずつ済ませることにし、今は幸村と元就が入っている最中。

明日、朝早くではないがバイトが午前中からある慶次は、政宗と一番風呂をもらっていた。…としたところで、どうせ皆と深夜まで起きていることだろうが。

歯磨きをするため、脱衣室の洗面所に失礼する。

別に声をかけることもないだろうと磨いていたが――


「…かすがの探していた人が見つかって…」


幸村のよく通る声が聞こえ、慶次は口をゆすぐ音を静かにした。


「――それで沈んでいたのか」

元就の、労るような声。


「嬉しいのは嘘ではないのです。…だが…」
「無理をするでない。お前たちはずっとともにいたのだ。――寂しくて当然であろう」

慰めるような、優しい声色。

「…ですが、それだけではなく――某は、羨ましかったのでござる」
「羨ましい?」
「はい。…かすがの、あのように幸せそうで綺麗な顔は…初めて見申した。…某も、早く会いたい。――思い出したいものだ、と」


(…思い出したい?)

一体、何の話だろう…

慶次は気になり始め、去ることができなくなる。


「夢は、まだ見ることがあるのか?」
「それが、元就殿と離れてからは全くでしたが、こちらに来てからまた、たまに…。ただ、ひどく雑多としておるのです。内容も霞んで」
「そうか…」


(夢…?)

慶次は、ひたすら首を傾げる。


「我がそうであれば、良かったのだがな…」

元就が苦笑した。

「!しかし元就殿は、そんなこととは関係なく、某の大事な――」
「分かった、分かった。…だから、そのように大声を上げるでない」

笑いを抑えるように幸村を落ち着かせているのが窺える。

「…元就殿は、いかがです?あれから何か…」
「そうだな…。この学園に入ってから、お前と同じように…夢はたまに見る」
「では…」

「しかし、我はどうも思い出したくない――と思っているような気がするのだ。必死で抵抗しているように感じる。お前と違い、何か嫌な思いでもしたのではないだろうか、と」

「嫌な…」

フフ、と元就は笑う。

「お前がそのような顔をせずとも。…今の我がした思いではないのだから」
「そう……でござるな」

幸村も、普段のような声を取り戻していた。

「…焦らずとも良いのではないか?そのようなことがあるのなら、いつかは見つかるはずだ。それに、既に会っておるかも知れぬぞ、向こうも忘れていて」

「…、なるほど…」

「何かの拍子に、思い出したりするのかも知れぬ」
「はい…」


ふぅ、と元就が息をついた。

「――そろそろ上がるか?」



(…やばっ)



慶次は急いで脱衣室から飛び出した。











慶次がリビングに戻ってみると、他の三人はゴロゴロしながら寛いでいた。

「慶ちゃん、明日の朝大丈夫?先寝てる?俺様のベッドで良けりゃ」
「いや、別に早いわけじゃないし平気。皆どうすんの?俺らここで寝てたけど」

ダブルサイズに変形するソファベッドが一つあるので、それと床に布団を敷いて…というのが恒例だったのだが。

「ここあるから」

と、佐助はリビングから続く畳スペースの戸を全開にする。
こちらと一繋ぎになり、さらに広い空間ができ上がる。

「おお、そっか。てか、布団あるの?」
「うん、何とか。旦那と就ちゃんにはちゃんとシングルで寝てもらって、後はダブルで二人ずつ寝りゃ良いっしょ」
「…お前、自分の部屋で寝ればいーじゃねーか」

政宗が言うが、

「やだ!皆ここで寝んのに、寂しいじゃん!」

(…俺らだけのときは、いつも一人で寝てたくせに…)

三人は同じ気持ちだったが、面倒なので出さない。

部屋は他にも沢山あるのだが、やはりあまり使ってないせいか空気が違う。
それを好まない佐助が、友人たちにも使わせたがらないのだ。

「俺も皆と一緒がいいなー。…あっちに幸と元就で、こっちが俺ら?」
「かなぁ」

「…幸村と元就ってよ、すげぇ早く寝てそうだよな…」

元親の呟きに、皆揃って頷いた。

「せめて、十二時過ぎくらいまでは頑張ってもらいてぇな」

時計を見ると、九時半過ぎ。

「親ちゃん、風呂速攻切り上げるよ?――あ、布団持って来んの手伝って。政宗たちはベッド作ってここ用意しといて」

早口で言うと、佐助は元親を引っ張り出て行く。痛ぇ痛ぇ、と抗議する声が遠のいていった。


「…えれぇ張り切ってんな」

政宗が呆れながらソファを組み変えようと目を向けると、

「――Ha?」

ものの何秒しか経っていなかったというのに、もうベッドになっていた。

「え?」その横で不思議そうに見る慶次。

「はや!――お前も佐助みてぇだな」
「ん?ほら、早くそっち持ってよ」

他のソファを端に寄せるため政宗を反対側に促す。

「…よし。これでオッケーだよな」

言われた通りに広げ終わると、ちょうど良く幸村と元就が入ってくる。

「良いお湯でござった!…おぉ」

すっかり変わったリビングの様子に驚く幸村。

「ここで皆で寝ま〜す。お二人はちゃんと向こうで一人ずつ…」

と慶次が和室を指すと、元親が両手に布団を抱えて戻った。

「ぬぁっ、すみませぬ!」

慌てて幸村が手を出そうとするが、

「いーのいーの、旦那は座ってて?すぐ用意するからね〜!親ちゃんが」

佐助が爽やかな笑顔で、こちらもいくつかの布団とともに、幸村へ優しく言う。

「喉渇いたっしょ?何飲む?」

布団を床に置き、幸村と元就をキッチンへ連れていく。

元親は、しぶしぶながらも大人しく布団を準備する。

「元親、家のことも手伝ってやれる良い旦那さんになれるよ」
「Ah〜、wifeの尻に敷かれたな。そっちのが家庭は円満なんだぜ」

「…誰と誰のことを言ってやがんのかなァァン?」

ギロッと二人を睨む元親だが、

「さっ、親ちゃん風呂行くよ!」

佐助の叱咤するような声に、即座に着替えを手に取り従うのだった。

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