賑やかな週末@-1


かすが
佐助元就幸村慶次政宗元親

脇役数名。 登場

※ますます好き勝手やっています。
皆で遊んでもらいたかった。

※佐助が壊れかけてます;かっこよくない…
(管理人は佐助が大好きです)

次章にも続くので長い一日であります(汗)














幸村とかすがが転入してから一ヶ月以上が経ち、時は五月の下旬に移っていた。

気の良いクラスメイトたちに恵まれ、二人は早くもこの学園に馴染めつつある。

昼休みののんびりムードの中、かすがはちょっとした冒険心で、あまり足を運ぶことのない校舎を歩いていた。
何せとにかく広いので、きちんと覚えられていない場所がまだまだある。

ここは音楽室や美術室など、授業数の少ない教室が集まっており、心許ないテリトリーだった。



――あ……この曲は……



何か音がしたと耳を澄ませば、かすがも知っているクラシックの名曲。繊細で美しい旋律を奏でるのは、間違いなく実際のピアノの音色。
しかし、プロの演奏ではないかというほど見事な腕前。


(どんな人が弾いているのだろう)


そう思い、こそっと引き戸を開け、覗いてみる。



…男……?…いや、女――か?



髪は肩よりやや上といったところだが、後ろ姿からは判断がつかない。

しばらくそのまま聴き惚れていると、曲は終わりを迎えていた。
思わず拍手でも贈りたくなったが、立ち聞き同然の身はかなり後ろめたい。

静かに立ち去ろうとしたが――



「そんなところに立っていないで。…お入りなさい」



どうやら気付かれていたらしく、笑みを含んだ声が言った。

少年のような中性的なそれに、かすがの足が止まる。



…この声――は……



ドクンと心臓が跳ね、鼓動が速くなっていく。



――もしかして……もしか…して、



背を向けていたその人が椅子から立ち上がり、かすがの方へと振り返る。





――あ、……あ、





かすがは声すら出せずに、部屋へ飛び込んでいった。














「チェーック」


ニコッと笑顔で、佐助が駒を置く。

前には、佐助の勝利で終わったチェス盤と、ほんの少し眉を寄せた元就の顔。

「これでチェスは三勝二敗。俺様、一歩リード!」

両手を上げて、ソファに背を預ける。

「……ふん、たかが一勝。次は負けぬわ」

言葉とは裏腹に悔しげな元就を、佐助はクスクス笑う。

「…何だ」
「いえいえ、何でもございません」
「すぐ分かる嘘はつかぬ方が良いぞ」
「え、バレちゃった?就ちゃん、大分俺様に心開いてくれてきたかなーって」
「……」

無視する元就だが、特に否定しないので佐助は笑顔を崩さずにいた。

――二人しかいない静かな生徒会室で、休み時間を使って続けていた勝負を終えたところである。

あれから、佐助は幸村と仲良くする片手間、元就にも熱烈なアプローチを毎日のように行っていた。

最初は、何だコイツはという目で見られていたものの、幸村の介入もあってか少しずつ近付くことができ、こうして二人でいる時間も今では珍しくない。

二人とも、お互い思っていたより合わない性格ではなかったというのが良かったのだろう。
元就は、感情の起伏を表にあまり出さないだけで結構人間らしく、佐助はこう見えて実は頭脳派で、冷静沈着。
割と嫌いではない者同士だと分かってからは、スムーズであった。

幸村と佐助を通じ、慶次たち三人と彼が絡むことも最近ではよく見られる。


「ね〜、勝ったんだからさ、また何か教えてよ」

佐助が、上目遣いでねだり始めた。

「…やめよ、気色悪いわ」

元就は冷めきった目を向け、自分の机に置いていたノートのようなものを佐助に手渡す。

「なになに?…アルバム?」

ペラッとめくると、「こっ、これは――!」

おおおッ!と、興奮したように元就と見比べ始めた。

「もしかして…」
「小学生のときの物だ。――面倒だから、それを見ながら聞きたいものに対して答えることにした。お前はいちいち細かく聞いてくるから敵わん」

溜め息をつく元就だったが、佐助の耳には全く入っていない様子で、

「ねえねえ、これ就ちゃんだよね?…んで、こっちが…」
「ああ、幸村だな。あいつは変わってな」









「かぁーわいーーい!!うーわ、何コレ!?コレも!!…ぐはッ、やば!」





元就の言葉は、佐助の嬉々とした――見聞きする角度によっては、変態じみた声に断絶される。


「――……」
「旦那、キッズモデルか何かすりゃ良かったのにね!――てか、やってた?」
「いや……していない、と思うが」
「そーなんだ〜…もったいな――いや、んなのしてたら今頃有名人…ここになんか来てなかっただろうから駄目だわ」
「……」

「ホンットに可愛いー…これなんかさぁ、もう天使じゃね?」

そう見せられたのは、確かに誰もが笑みをこぼしてしまいそうな、愛らしい満面の笑顔。

「…これは、我が撮った写真だな」
「そうなの?」

佐助は口を尖らせ、「いいなー、就ちゃんは」

「……」

元就は思ったことをすぐ口にするタイプではないので、佐助は自分の言葉が微妙におかしいことに気付いていない。

「――あ、就ちゃんも可愛いよ?…これとか、二人とも時代劇の子役みたい」

袴を穿いた二人の写真を指した。


(…取って付けたように言われてもな…)


苦笑する元就だったが、

「これは、何かの祭りで着たのだったな…」

と、懐かしそうに目を細める。


――何故、元就がアルバムを持って来たのかと言えば。

佐助が、幸村との小学校時代の話をうるさく…かつ、しつこく尋ねてくるからであった。
先ほどのように、勝負に勝った報酬に、というルールまで知らぬ間にできている。


「はぁー…旦那、可愛い。――就ちゃん、ありがとう」
「…おい、誰がやると言った」

そのまま持ち帰りそうな佐助の手からアルバムを奪い取る。


ちぇーと拗ねる佐助は、結構本気だったのかも知れない。

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