変化1
※幸村、佐助、元親、かすが、慶次、政宗、元就、光秀
前回からの続きで、惚れ薬編完結です。
その後の幸村の確認と、仕返しを!
(例によって、彼らの華麗な活躍振りは見事にスルー;)
佐助が、またおかしいことになっています。温かい目で見てあげて下さい…(^^;
すごく格好良くないです(^q^)
目を覚ますと、幸村は自室のベッドで横になっていた。
ケータイを見ると、――夜の七時過ぎ。
ぼうっとした頭でリビングに行くと、
「あっ、旦那!」
「幸村、大丈夫か?」
かすがはもちろんだが、何故か佐助や元親、政宗に元就までいたことに、軽く混乱してしまう。
「皆、どうして…」
「…旦那、えっと…ぼんやりする感じ?頭……」
「え……」
佐助の窺うような顔に、幸村は記憶をたぐり寄せる――
「――遊園地で……」
「……!?」
佐助たちはサッと青ざめるが、幸村は気付かない。
「観覧車…に乗ったのだ、慶次殿と。……?――それから……どうしたのだろう…」
「旦那…覚えてんの?今日――ってか、昨日の体育祭が終わってからのこと」
「昨日……?――おお、そうだ!赤組が優勝したのだったな!何故か、一瞬記憶が遠くなっておった!」
「う、うん。そっか、起きたばっかだから」
「それで、皆でカラオケに行って…風呂に入って、佐助の家に泊まって……。――何やら……ボーッとする。佐助、俺は…」
「――旦那」
と佐助は、元親を幸村の至近距離に連れて来たが、
「…ん?何だ?元親殿が、何か…」
――その様子は変わらない。
「幸村、観覧車に乗る前に俺とした話…覚えてるか?」
元親が、恐る恐るといった風に尋ねる。
「元親殿と…。――はい、覚えておりまする」
しかし、幸村は嬉しそうである。
「…どんな話?」
「え?どんなって……色々だ」
「あ、あれなっ!転校前の話とか、佐助と政宗の犬猿さとか」
「はい」
相変わらず笑顔の幸村を、
「旦那、ちょっと――」
と、佐助は彼の部屋まで連れ出し、
「俺様と今朝話したことはっ?覚えてる…?」
「?――ああ」
「……マジで」
呆然としてしまう佐助を、幸い幸村は全く妙に思っていないようである。
「お前のアドバイス通り、元親殿にお伝えしたのだ。えーっと…」
……あれ?と、幸村は首を傾げる。
「あ、あれかな……親ちゃんに、す、好き――とか…」
「おお!そう、そうだった!」
「…!(うっそー……)」
「――しかし、…何故俺は、そんなことをわざわざ相談したのだろう……」
「え、えーっとぉ!それは……っ――てか、ちなみにその好きっつーのは…」
「…?…お前も、俺に言ってくれたであろう?夏休みに。それで、俺も…」
と言いつつ、少し腑に落ちない顔をした。
(…恋愛感情だったことだけ、消えてるみたい)
振られたことは、上手く捏造されてるとか?
俺様との話も…ただの相談、みたいな?
――てことは、被害は無し……?
佐助は、とりあえず安堵し、
「そ、そっか〜…。んで、親ちゃんは何て?」
「ああ、喜んで下さった!俺のことを褒めてくれたし、政宗殿と俺をライバル同士だと」
「――そう」
つーか、政宗とライバルで何がそんなに嬉しいっつーのよ。
そんだけ、あいつのこと認めてるってこと?
あんっな……
「佐助と政宗殿は、似た者同士らしいな?」
そうそう。あんな、俺様に似た……
「ちょっ、やめて旦那っ!あんな奴なんかと同じにしないで!!」
そりゃ、ちょっとそういうとこがあるのは認めるけど、似てるってな、冗談で言ってただけで!
本当は全然違うっつーか、絶対ごめんだし!
旦那にだけは、あいつと同じような人間だなんて、一ミリでも思われたくねぇぇ!!
「元親殿の話によると…」
「いい!言わなくて良いって!それ、間違いだから!親ちゃんの勘違い!」
「…そうか、お前聞いていたのだったな」
「――いッ!?」
慶次から聞いた話を幸村がすると、佐助は憐れなほど謝罪を繰り返し、許しを請う。
だが、幸村が怒ってはいない上に、
「心配してくれていたからであろう?」
と、澄んだ目を向けると、何故か多大なダメージを受けたような顔になり、彼を不思議がらせた。
どうやら幸村には、良心の呵責を助長させる力が備わっているらしい。――佐助に対しては、特に。
「――しかし」
と、幸村は再び考え込んで、「何故、元親殿だけに…」
「……旦那?」
第六感というものだろうか、佐助は、嫌な予感が瞬時にしてよぎるのを感じた。
「よし、佐助!」
決然とした様子で、
「政宗殿と元就殿にも、伝えて来ようと思」
「ダメェー!!」
佐助は、ぐわしっと幸村を羽交い締めにした。
「なっ?佐助!?」
「旦那、それだけはやめて!お願いだから!!」
「ど、どうしたのだ?」
「後生だから!言うなら、全員いる場で――てか、俺様がいるときにして!絶っ対、二人きりにならないでぇ!」
幸村は、何のことだかさっぱり分からず、ただ目を丸くし、
「では、今ならお前がいるから…」
「…今日はやめとこ?さすがに、どしたの急にって思われるよ」
「元親殿とは、二人であったのに…」
「親ちゃんは特別。…じゃねぇ、ただの別枠だから」
「?」
「…てゆーかさ」
佐助は、ぶすっとなり、
「…俺様だって言われてないのに、旦那に。何で政宗なんかに、先越されなきゃなんねーの…」
あくまで呟きに近いものだったが、
「――え?」
「や、何でも……」
「そう……であったか。――すまぬ」
「えっ?」
幸村はニコッと笑い、
「佐助、いつも世話になっておるな。ありがとう。…大好きだ」
「―――!?」
「…俺は、お前といるときが一番落ち着く。これからも、よろしく頼む」
(な――なななな……ッッ)
…ポーカーフェイスって……何――…!?
この人、恋愛とか抜きなら、こんっなハッキリ言えちゃうわけ!?
――男前過ぎでしょーがぁぁ!!
唖然としたままの佐助を、幸村は不安げに、
「あ、いや…その。俺は、嬉しかったのだ……お前に、そう言われて。だから、俺も…思ったままを…。やはり、俺のは…変な言い方だったか…」
「ち、違う!まさか!そんな!」
「いや、正直に言ってくれて」
「違う違う違う!う、嬉しくて!びっくりしたんだよ!そんなこと言ってもらえるなんて、思っ……」
「……そうか。――良かった」
幸村は、それこそ嬉しそうに微笑を浮かべた。
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