想像以上のダメージ2
元親は、政宗宅に上がり込むと(ツテがある)、部屋にいた二人に大股で近寄り、
「おうおう、てめぇら!よくもやってくれたな?勝手な勘違いで、幸村をヘコませやがってよ…!」
「え……なになになにっ?」
「なんだよ」
彼の登場を予想していたのか、政宗は堂々としたもので、
「べんきょうしてんだから、じゃますんなよな」
「あー?小一が何抜かす」
「しゅくだいじゃねぇ。おれら、※※がくえんにへん入するんだ。な、けいじ」
「う、うん…」
「※※学園だぁ?」
進学校で有名な学校である。確か全学年全寮制で、かなり厳しい教育方針。卒業生は、社会でのお偉方が多い…
「…なんだよそりゃ?お前らみてーなのが、何でまた急に」
「うっせーな、かんけいねーだろ。早く出てけよ、じゃま…」
が、政宗の言葉は途切れる。
…幸村が、元親の後ろに立っていた。
「ゆきちゃ…」
「…ゆきむら、なんで…」
「今の話は、本当なので?」
寂しげな顔と声に二人は詰まるが、政宗はキッと顔付きを直し、
「ほんとうだよ。もうすぐ二人でじゅくもかようんだ、だからもうあそばねぇ」
「……そうなのですか…」
年上だというのに、幸村はしおしおと小さくなる。
「──ゆきちゃぁん……」
「けいじ、きめただろ」
「…うっ…」
だが、慶次は持っていた鉛筆を置くと、
「もうやだよぉぉ…!ゆきちゃんとあそびたいし、あいたいし、やっぱりできねぇよおれっ、…えっぅ」
うわぁぁぁーん!
慶次は豪快に泣き出し、天井を仰ぎわんわん咽び始める。
幸村と元親は、唖然とするが、
「なんで……やくそくしたじゃねーか…」
政宗は顔を歪め言うものの、彼の左目もまた滲んでいき、
「うかるまで、あわねぇって……おれだって、がまんしてたのに──」
そう言うや否や、政宗も同じくわぁわぁ泣き始めた。
部屋の中は、二人の大合唱で大変なことに。
「じゃねえと、ゆきぅらは…っ」
「うわぁあん、だっえぇ…!」
「二人とも…!!」
そして、理由も分かっていないくせに、二人の涙に釣られる幸村。
(……いや。何だってんだよ、マジで)
全くもって意味不明。
だが元親は口を挟まず、三人が落ち着くのを待ち、また仕切り直すことにした。
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「──まぁとにかく、幸村が男だから嫌いになった…わけじゃねーってことか?」
「Haah!?なんだよそれ!」
「きらうわけねーじゃん、すきだよ!だいすき!!」
「…ッッ!!」
幸村は喜びを顔と身体で表し、バッと二人を両腕で抱いた。膝を着いた状態で、抱き付いたようなものだが。
「ゆき、む、ら…」
「…ぅわぁぁ」
「………」
二人の顔は、どう見ても普通の照れとは違い、『…マジだこいつら』と悟る元親。
「…んで?※※学園に行くのは、こいつと何か関係あんのか?」
「それは……おれら、ゆきむら女だとおもってたからよ」
「どうしようって、ほんとにかなしくてさ」
(まーなぁ……そうなるわな)
元親の同情は戻ってくるが、それで何故に進学校なのか。忘れるためか?いやいや、ガキがそんな…
などと考えていると、
「「男じゃ、けっこんできねぇから」」
「……ぁア?」
「は…」
またもお兄さん組は唖然、しかし小学生組は、悩める大人のような表情で、
「だから、えらいやつになろうとおもったんだ。そうり大じんとか」
「そしたら、男でもけっこんできるようにかえようって…」
「………」
「………」
二人は、しばらく絶句してしまった。
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