想像以上のダメージ1


政+慶→幸、親。(前二人は小1、後ろ二人は高校生)

前々から書きたかったけど、まとまらんくて諦めてたもの。2つのネタを混ぜてキャラ減・短縮したら、何とか…。
アニキはこじゅにしようか悩んだけど、政宗がいるんでイマイチなーと。

ほのぼの。今回は、少しは子供らしくできたかなぁ…台詞だけは; 乱文すみません


(全3ページ)‥2ページ強














(ん…?)


夕方、元親は放課後遊びからの帰り道で、知った姿を発見する。
友人の彼は、河川敷の土手で一人ポツンと座り、どことなく背に哀愁が漂っていた。


「よう、どした?んなとこで」

「元親殿…」
「……元気ねぇな」

振り返った顔に、元親は眉をひそめる。「どうしたんだよ」と隣に座り込む彼に、友人──幸村は、

「ここで、某が小学生と戯れていたのを、知っておりましょう?」
「あんの生意気な二人か。そういや、最近見かけねーな」
「…どうやら、嫌われてしまったようで」

「はっ、そりゃねえって」

元親は笑い飛ばすが、幸村は首を振り、

「もう、一週間以上も姿を見せぬのです」
「へー……ケンカでもしたんか?」
「ケンカというか…」



〜ここから回想〜


【出会い】


幸村は帰宅部で、夕方は外ランニングが日課。ある日、途中で休憩した際に、河川敷の広場で遊ぶ小学生二人組を目にした。

男女かと思いきや、一人はそう見えるポニーテールなだけで、元気で明るい男の子。片方の子は品のある大人びた風貌だが、こちらもまた活発で、態度は相棒以上だった。

幼い割には野球やサッカーの腕前が良く、幸村はつい見入ってしまう。二人も、そんな彼をたまにチラチラ窺っていた。


「二人とも上手ですなぁ。良ければ、某も混ぜて下さらぬか?」

「「えっ…!」」

二人は声を上げるが、

「い、いいよ!」
「Ahー?…なんで、こんなやつと…」
「まぁそう言わず」

幸村はその辺の小石を拾うと、川に沿って腕を振る。──小石は勢い良く飛び、かなり離れた場所で水に落下した。

「すっ……げぇー…!!」
「サッカーも得意でござるぞ?」
「…あっ、あれくらい!おれだって!」

そんな風に打ち解け、それから毎日のように遊ぶようになる。

親分の方は政宗、ポニーテールが慶次。親しくなると、小生意気だが二人とも本当に可愛らしい。弟ができたようで、幸村は日々嬉しく思っていた。








「ねーねーゆきちゃん、すきな人いる?」

「おお、沢山いますぞ」
「えー!!」
「なんだよそれ!」

二人は愕然とするが、

「父上に母上、兄上、友人──…」

「…Ahー…」
「ほ、ほかは?いない?いないよな?」
「他は…」

「「……」」

少し詰まる幸村を、緊張の面持ちで見上げる彼ら。二人のそれに、幸村は観念したよう苦笑し、

「政宗殿と慶次殿も、好きにござる……が」


((……!!))


期待していたものではなかったが、思いもしない言葉に二人はまたもや驚いた。けれど、両人ともすぐに頬を染め、

「おれもゆきちゃんすき!一ばんすきだよ!」
「うるせーよ、けいじ!」
「イテッ!…まさむねもゆきちゃんすきじゃんっ、なんでおこるんだよ!」
「うるせー!うるせー!」

「あああ、ケンカは…」

と言いながら、幸村は口元を緩めていた自身を恥じる。

だが、よもやこんな反応が返るとは。ケンカは治められたものの、幸村の頬は緩みっぱなしだった。


「……」
「……」


(へへ…よかったな)

(……オゥ)


それを見た二人も顔を見合わせ、同じ思いを噛み締めていた。













……で、それはそうと。
何故、二人が現れなくなったのかというと、


「先週は帰りが遅くなり、学校からそのまま寄ったのですが…」



『こんにちは、二人とも』

『………』
『………』

だが二人は目を見開き、幸村を呆然と見つめる。幸村は、『ああそうか』と笑って、

『制服姿は、初めてでしたな。幸村にござるよ』


『ゆき、ちゃん……』

『…あんた──』



“オトコだったの(か)…!?”




──────………




「…という訳でござる」

「……あー……」

何とも切ない展開に、元親は全員に同情した。あの二人は、幸村を『お姉さん』だと思っていたわけだ。あの年頃なら、年上の女に憧れるケースが多い。

相当なショックだったろう。


(なんだってそんな風に──まぁでも、しゃーねぇか…)


幸村の外見もそうだが、彼らの親戚や知人には、言葉遣いが変わった男勝りな女が二人いるのだ。幸村も、それと同類だと思ったのだろう。


「政宗殿は『それで男かよ』と顔をしかめ、慶次殿も『嘘だろ』と……二人とも、最後は目も合わせてくれず。口も…」

「幸村……」

膝の間に顔を埋める彼を、痛ましげに見る元親。その姿に、あの二人への同情はほぼ消えた。


「ガキでも、んな男らしくねぇのは好かねーな。俺が、ビシッと言ってやろうじゃねぇか」

「……え!?」
「どーせ、片割れん家にでもいんだろ。どっちも知ってっからよ」
「そうなのでっ?…あでも、それはしかし──」

幸村の引き留めは敵わず、元親はズンズン土手を登っていった。

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