甘く溶けきった思考回路1


官兵衛・佐助(大学生)、幸村(幼児)、脇役少し

小話にするつもりだったので、ぶつ切りな話の塊…読みにくいかも(;_;)
※とても下らない、下ネタなオチ。
遠回しな表現なので、きっとピュアな方には「?」です…

官+幸→ほのぼの
佐幸?→見た目はほのぼの・中身は残念。

biondino】様よりお題拝借、感謝^^


(全3ページ)













軽快なチャイム音が鳴り、玄関のドアを開けると、


「や。急にごめんね」
「…お前さんかい」

訪問客は、猿飛佐助。官兵衛と同じ大学で、学科も同様の同窓生。
彼は官兵衛と違い華々しい環境(豊かな友人関係・オシャレな風貌)にいるのだが、何故だか気に入られたらしく、度々ちょっかいをかけてくる。


「実は、お願いがあってさ。こないだの代返とノート、それでチャラにするから」
「何だ?金なら、貸してやりたくともないぞ」

期待してないよ、と佐助は笑うと、

「今日バイト夜勤なんだけど、急に大将が出張になっちゃってさぁ。どうしても休めなくて、お隣サンも旅行中でね〜?」
「はぁ。…で?」

「うちの子が一人ぼっちになっちゃうわけ。で、明日の朝まで預かってもらいたいんだよね」

「…なに!?」

官兵衛は目をむき、佐助の隣にちまっと立つ少年の姿に唖然とする。
佐助に、歳の離れた弟(肉親ではないらしい)がいるのは知っていたが、直接の面識はなかった。

性格等は聞き及んでいたので、「さなだゆきむらでござる!よろしくおねがいもうす!」という口調や態度には驚かなかったものの、


「よりにもよって、小生に子守りだぁっ?お前さん、もっと他に頼れるのがいるだろう!伊達とか長曾我部とか……ああ、子供なら女の方が」
「あいつら余計なこと教えそーだし、女の子は絶対甘やかすでしょ?だから、子供に興味ない黒ちゃんが一番だなって」

「ただ一緒にいるだけで良いからさ」と、佐助は幸村(六歳)を玄関に上げると、


「旦那、お兄さんの言うことよぉく聞いて、良い子で待ってるんだよ?」
「うむっ!さすけも、おつとめがんばるのだぞ!」

「………」

しゃがんだ佐助がそう諭せば、幸村は張り切り顔で彼の頭を撫で返す。

テレビドラマのような、ほのぼのムード──
官兵衛が寒気をもよおしている隙に、佐助はとっとと出勤していった。











「こりゃあ、何だ?」
「!!」

紙一杯大量に描かれた真っ赤な三角形に、つい官兵衛がツッコんでしまうと、

「いちごでござる!」

話しかけられたのが嬉しかったのか、幸村は喜色満面で彼を見上げた。
その顔に、官兵衛は少し考えを巡らせる。


「…ちょいと、外に出てみるか」
「!はいっ!!」

絵を描くのは好きなようだが、それよりも上回るものがありそうである。その腕前から悟り、官兵衛は苦笑気味に提案した。



……………………………



「くろだどのー!はやく、はやくでござる!」
「そう急かしなさんなって」

ダーッと駆けていったかと思うと止まって官兵衛を振り返り、待てないらしく、また走って戻ってくる。その姿には自然と笑みが湧いたし、改めて見ると子供のくせに実に整った顔をしていた。

これが育ちゃ、猿飛のように華やかな人生を送ることになるのだろう。自分と同じ人間には思えないね全く…と、幾分やっかみも浮かんでしまったが。

あまりにうるさいので肩車をしてやると、嫌がるどころか大層喜ばれた。


「三成なら、これで大人しくなったもんだがなぁ」
「みつ…?だれでござるかっ?」
「いでッ!こら、首を締めるな!──小生の、親戚みたいなもんだ。みつなりといってな」

佐助と幸村のように歳が離れていると言えば、幸村は目を輝かせ、

「みつなりどのも、ろくさいなのでっ?」
「いや、昔の話さ。もうすぐ中学生だ」

それでも仲間意識が芽生えたのか、幸村は彼の話を聞きたがった。
幼い三成も今よりかは可愛げがあったが、これに比べると全然だ。子供というのは、やはりこういうのが常識だろう。

公園で、見知らぬ子供ともすぐに打ち解け、皆と一緒に駆け回る。
官兵衛はその様子を見守りながら、『たまには良いかもな』と密かに癒しを感じていた。

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