さてこれから…
佐←幸 (幸村、ちょい病み) 高校生。
単なる○○話です。暗い…かも。お題は、最後に全文載せています。
次タイトルに続きます。(この話は短め)
こちらは幸村サイド、次の話が佐助サイド、のような。
乱文です(;_;)
幼なじみの佐助は、異性からとても人気がある。
特別に親しい女性や、恋人といった方々は、昔から尽きることがない。
しかも短期間で相手が変わるので、もう驚きもしなくなっていた。
「──そういやね、昨日別れてさ。新しい彼女できた」
「そうか。学校の方か?」
「んーん、社会人。だから、夜忙しくなるかも。用あったら、先に言って?」
「分かった」
頷き、至って普通な様子の佐助を見る。
「どのような方なのだ?」
「ああ、また紹介するけど…ほら、去年の秋から冬に付き合ってたさ、髪がこのくらいの」
「○○殿か?」
「そうそう。旦那、よく覚えてんねー」
と彼は笑って、「その子に似た感じ」
「…そうか」
自分も、微笑みで返す。
佐助の恋人が変わる度、必ずする質問。
そして、答えも毎回変わりばえしない。
佐助を好む女性は、外見まではそうでなくても、雰囲気や性格にどこかしら共通点がある。
それは、彼と一番付き合いの長い自分だからこそ、分かったことなのだが。
欠かさずこれを尋ねる理由は、数年前に、自分の中で理解できていた。
『前の誰々に似た感じの──』
それを聞く度、笑みが湧く。
“ああ、良かったなぁ”と、祝福する思いで。
…望む未来が、目をつぶっていても見えるようだから。
「来週の土日にでも、一緒に遊ぼうよ。ね?」
「そうだな。よろしくお伝えしておいてくれ」
きっと前と同様で、会うのはその一回きりになるのだろうが。
A色にB色を混ぜると、C色になる。
その法則が決まっていれば、何度やっても、結果は変わるはずがない。
そんな簡単なことが何故分からないのかは、不思議でならなかったが、
(…それで良い)
一生、分からないままで。
また、出来上がるのはC色だ。
長かろうと短かろうと、結果は見えている。
だから、微笑んだ。…その度に。
その度祝福する。
──自分、に。
この繰り返し行為の度、幸福を噛み締める。
分からぬままの彼を、傍で眺め笑み続ける。
それがどんなものより快感で、これ以外の先などは、考えたことがなかった。
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あれから一月もしない内に、佐助とその恋人は別れた。
だが驚いたことに、今回は次の相手がいない。
初めての事態に、どうして、と尋ねると、
「旦那は…」
「俺?」
何だ、と窺ったが、佐助はそれきり口にはせず、
「ねぇ、今日遊び行っても良い?…てか、泊まっちゃ駄目?」
「何…?」
子供の頃は頻繁だったが、大きくなってからは、ほとんどやってはいなかった。
「やっぱ駄目…?」
こちらに合わせようとしないが、彼の目が暗く沈んでいることは、表情や声で分かる。
「そんなわけないだろう。久し振りだ、母上も喜ぶ」
「…本当?」
罰を赦された子供のような目で、自分を見返してきた。
──それはそれで、こちらの視線を捉えて離さない。
あの快感に似たような感情が、じわじわと湧き上がってくる。
「妙な奴だな。今さら、しても意味のない遠慮をするなぞ」
どうしたのだ?と笑ってみせると、固くなっていた相手の身体が、大分緩んだ気がした。
「…何でもない」
巧くない笑みを浮かべたが、いつも通りの彼には戻る。
それから、佐助は毎日自分に構い、昼夜問わず傍にいるようになった。
戸惑いながらも、…嬉しさの方がどうしても勝る。
そんな日常が過ぎていったが、半月後、再び彼に恋人ができた。
![](//img.mobilerz.net/sozai/1645.gif)
「は、初めまして──…」
「あっ、はい!某は、真田幸村と申しまする」
向こうの緊張が伝わり、自分も顔を赤くして名乗った。
「…ちょっとちょっと。何か、二人のがカップルみてーじゃん。お見合い?」
佐助が笑いを堪えながら、彼女を肘でつつく。
彼女は、「そんなっ」と慌て、頬はさらに染まった。
「冗談だって」
と佐助は苦笑し、自分にもその顔を向ける。
(──…)
新しい彼女は、外見からして今までの方たちとは違っていた。
背は低く、こだわりのなさそうな髪型。化粧などもしておらず、日焼けも気にしないのか、素肌のまま。
服装も、良く言えばシンプル…といったようなもの。
だが、外見よりも内面の方がもっと違うと、話している内に思い知らされる。
…佐助との出会いについては、他のことを考えていて、耳に入らなかった。
────……
「…良い方だな」
ポツリ言うと、佐助は嬉しそうに、
「でしょ?俺様、本当に幸運だったよ」
「──…」
「きっと、運命の人なんだ。あの人が、俺様を救ってくれる…」
「運命…」
まさか、佐助の口からそんな言葉が出るとは。
つい、呆然と見上げてしまう。
「旦那、見ててね?俺様、絶対あの人をずっと愛すから。あの人だけを、一生」
確固たる想いに、瞳を燦然と輝かす。
…そのような顔、初めて目にした。
BでもCでもない新しい色
Aと混ざるとどんな色に、
「…旦那?」
「、ああ…」
どうしたの?と、佐助が覗き込んでくる。
どうともしていなかったのだが、
「──どうしようか、と思って」
「?…何を?」
怪訝というよりは、少し心配そうに見てくる顔。
その周りに黒い靄が漂い、彼を塗り潰していく。
「…佐助、本当に彼女を好いておるのだなぁ」
「!」
佐助は驚いたように、だが、「分かってくれた?」と、鼻の下を指でかく。
二人が並んで座るのを前にしたときから、浮かんでは消えなかった言葉。
それが込み上げ、最後の力を振り絞る。
からかうような調子で、
「もし、彼女がいなくなってしまったら、どうなるのだ?」
…直後、靄は完全に全てを覆う。
「死んじゃうと思う。せっかく見つけた、運命の相手なのに。彼女がいないと無理なんだ。…でも、死ぬのが向こうでも自分でも、俺様は彼女をずっと愛するよ」
…では
──どうしたら
靄のせいで、彼の顔も描いていたものも、何もかもが見えなくなった。
さてこれからどうしよう
欲しい未来は砕けて散った
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‐2012.2.7 up‐
お題は、【
(パレード)】様から拝借、感謝^^
単なる失恋話ですね、すみません;
次タイトルに続きます。次は、佐助サイドみたいな。
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