をわらない、絶望
※死ネタ的な描写あり。
佐幸前提、幸村総受け。(高校生)
他、家・政・慶・親・就・三、が登場。
(台詞の数は、まちまち)
トンデモ背景に、おかしい内容。
佐幸好き様には、不快に思われる気が致します; (管理人は、佐幸が大好き)
佐幸以外、皆病み〜狂。
いつもの如く、幸村には甘いです、皆。
後味悪いかもですm(__)m
乱文散文、お目汚し、すみません。
『質問です。
○人しか残れないとしたら、あなたは誰を選びますか?
三人の場合
二人の場合
一人の場合
それぞれ記入したら、覚めます。
結果は、後ほど』
妙な夢だ、と思いつつ幸村はペンを取る。
上から順に、
佐助・幸村・信玄
佐助・幸村
佐助
と記入。
信玄には心が痛んだが、夢なのだからバレることもないだろう。
幸村は、早々に現実へ浮上していった。
![](//img.mobilerz.net/sozai/1645.gif)
「…という夢を見たのだ」
「旦那ぁぁ!!」
佐助が、幸村に抱き付く。
家にいるときは他人の目もないので、幸村も頬を色付かせるくらいで済む。
「俺様、大感激!そんなに俺様のこと思ってくれてるなんて」
「と…当然であろう」
「俺様も、一人の場合以外は、旦那と同じ答えだよ。もちろん、そこは旦那。俺様たちって、本当最強カップルだね!」
「ああ、そうだな…」
「──旦那、今日はもう休んじゃおう。しょうがないよ」
「!?どこか悪いのかっ?」
「うん、熱あるみたい。元気になり過ぎちゃって」
「!!ささ佐助ぇぇっ」
「看病、頼むね」
「そっ──…」
拒否も抵抗も認めない、瞬時の口付け。
固まる幸村を良いことに、さらに縛り付ける。何度体験しても慣れない、極上の。
──二つの舌が、融け合う。
「…旦那も、熱あるみたいよ?」
「ばかもの…」
蕩けた表情で、こちらの理知を壊す。
同じ効果を発揮しているとは露知らず、幸村は艶めいた瞳を無意識に魅せた。
心も身体も、深く繋がっている。
二人は、言葉以上に最強の恋人同士であった。
![](//img.mobilerz.net/sozai/1645.gif)
幸村と佐助の関係は、他の誰にも話していなかった。
佐助がそうしてくれと頼んだのだが、純情の塊のような幸村にとっては、願ってもいないことである。
仲の良い友人が六人おり、彼らに秘密を持つのは心苦しくもあったが。
(──手紙?)
宛名のない一通が、幸村の下駄箱から落ちた。何だろう、と教室で開いてみれば、
(こ、れは、佐助への…)
二人は同じクラスで、出席番号が前後していたため、間違えられたのだろう。
放課後、どこどこの教室で待っている、と間違いなく想いを寄せる女生徒からのメッセージ。
「旦那?どしたの?」
「っ!」
(『すまぬ、俺宛かと──』)
しかし、幸村の口から出て来たのは、
「…何でもない」
そのまま隠し、「運動部の自主練に誘われたので、放課後は先に帰っていてくれ」と自然な嘘までこぼれた。
佐助も付き合うと言ったが、夕飯に手間のかかる好物を請うと、仕方なく頷く。
幸村が楽しみにしている、と笑えば、佐助の機嫌は普通以上に良くなった。
「おお、幸村!来てくれたな」
「家康殿?…皆も」
「Hi、久し振りだよな、放課後会うの」
「だよね〜。すぐ二人で帰っちゃうんだもん」
「やっぱ、この作戦で上手くいったな」
政宗、慶次、元親の言葉に、幸村は戸惑う顔になる。
「手紙だ。あれは、我が書いたものぞ」
「わざとお前のところへ入れた」
元就、三成が悪びれもなく言うのに、ますます驚く。
「こうでもしなきゃ、あいつなしで話ができないと思ってな」
「話…?」
「最近、変な夢見なかったか?」
「あ、」
幸村は、あの妙な質問をすぐに思い出した。
「あれな、夢じゃないぞ。ほら、この間皆で遊んだだろう?ワシの家で。そのとき、腕の良い者を呼んでいてな。『催眠術』ってやつだ」
「はぁ…」
楽しそうに喋る顔と、話の内容が噛み合わない。
家康は、ポカンとしたままの幸村を教壇へ上がらせると、
「ここにいる全員、あのアンケートに答え済みだ。すまないが、お前が開票してくれないか?公平さを保つため」
と、用紙を渡す。
一体何なのだ、と未だに混乱していたが、六人のどこか有無を言わせぬ雰囲気に、抗えなかった。
三人の場合から開け、最後に一人の場合を確認して欲しい、と。
それぞれの答えは、下が見えないよう付箋で隠されていた。
一枚一枚めくり、黒板に書き込む。
結果は、
佐助 六票
幸村 六票
六人それぞれの名に、一票ずつ。
(何と…)
「あ〜、これじゃダメだね」
慶次が苦笑すると、
「Ha、予想通りの結果だぜ」
「…貴様らと同レベルとはな」
政宗と三成が、唾を吐きかねない様子で洩らす。
「幸村、喜んでおるのか?」
「あ…」
元就に尋ねられ、
「驚きまして…。皆が、このように思ってくれておったとは」
と、柔らかく微笑む。
──その甘い表情に、全員が見惚れていた。
「たりめーだろ。お前の横には、あいつがいねぇと」
元親が笑い、「じゃねーと、壊れちまうからな」
(え?)
何が、と思ったのだが、「じゃあ、次の開票に移ってくれ」と家康に促される。
二人の場合の結果は、
佐助 六票
六人それぞれの名に、一票ずつ。
「………」
先ほどの喜びから、一挙に転落する気分だった。
──つまり、皆は佐助のことを。
自分たちが恋人同士であることを知ったら、まず自分はただじゃ済まされない気が。…幸村でも、理解ができた。
「家康殿…。これは、何のためのアンケートなのですか?」
「ん?」
家康は、「ああ、言ってなかったな」と笑い、
「皆で話し合ったんだ。それでな、一致した結果が多いものを選んで、『実施』しようと思ってな」
「実施…?」
「あーあ。これも、てんでバラバラだなぁ。最後の結果にかけるしかないね」
「だなー」
他の五人は、互いに頷き合っている。
「ここにいる全員、お前たちの『秘密』を知ってる。で、色々パターン考えたんだが、まとまらなかったから、多数決にすることにしたんだ」
幸村は硬直した。
──既に、知られている。
友人たちの目が違う何かに見え始め、それが狂気であることに行き着いた。
彼らは、愉しそうに刃物を撫でている。
「大丈夫だ、鍛練は積んだ。痛みなど少しも感じない」
「しかもよ、家康ん家で作らせた特注品だぜ?スゲー渋いだろ?」
三成が微笑し、元親が明るく笑う。
前者の表情は稀であったので、逆に恐怖が急増した。
出入口は塞がれ、刻は黄昏。
カーテンを引かれ、外界と遮断される。
堅い密室でもないのに、幸村は動くことができない。
「某を、殺すので…?」
震える声で言うと、
「そんなひどいこと、するわけないじゃん!一緒に行くだけだよ、幸」
「お前なら、分かってくれるであろう?我らの気持ちを」
「慶次殿、元就殿…」
優しい彼らを、自分が歪ませた。
そう思うと、胸に激痛が走った。
「すみませぬ、皆の想いを知らず…佐助を、奪って」
ポツリと言い、項垂れると、
「Hey…笑わせてくれんなよ」
「幸ってば、天然過ぎ!まぁ、そこが良いとこだけど」
全員が、腹を抱えて笑っている。
「いやぁ…さすがは幸村。──そうじゃない、ワシたちが皆惹かれているのは、お前だよ」
「…………え?」
「鈍感が〜。長年付き合ってこうだもんな。ま、可愛いけどよ」
「「黙れカス」」
いつものように元就、三成から暴言を受ける元親。…本当に、いつもと何も変わらない。
「で、は…、何故、」
(三人にも二人にも、佐助の名があるのだ?)
「Ha、簡単な話だろ?俺らはお前と一緒に在りてぇ。だが、お前はあいつがいなけりゃ、どっかへ往っちまう。だからだ。マジ狂っちまいそうだったぜ、本当はあいつを消したくてたまんねーのに」
「奴と二人も、またとない世界よ。何度も何度も繰り返し、我らが受けた痛みを与え続けてやれる。お前もおらぬし、遠慮することもない」
「恐らく、三人のみ残ったとしても、いずれは二人だろう」
政宗、元就の言葉に、三成が続く。
「さぁ、最後の開票をしてくれ、幸村。もしバラつきがあれば、幸村の投票したもので決める」
「あ…、ぅあ…」
手は震え、足許がふらつく。
慶次が素早く支え、
「幸、無理そうだよ。皆で開けちゃお?もう、出て行けもできないだろうしさ」
「そうすっか」
出口を固めていた二人も集まり、わいわい言いながら、開票する。
「幸の、見るまでもなかったな」
ニコッと笑い、慶次が示した先には、
“佐助──六票”
「これで、皆一緒だな!…大丈夫。向こうでは、こちらで抱える寂しさも哀しみも憎しみも妬みも悪意もない。あるのは、幸福のみだ。だから、あいつがいなくともお前は大丈夫なんだよ」
家康が、ハツラツと幸村の背を叩いた。
「こちらでは、その逆だ…。──ああ、お前も望んでいたのではないか、幸村」
元就が、幸村の投票用紙を見せた。
「良かったな、幸。あいつは残れるよ、ずっと。追ったりしないように、片倉さんと本多さんに頼んどいてやるから。あの人ら、政宗と家康の命令には、絶対服従だからさ」
「さぁ、目を瞑れ。再び開ければ、もうその悲痛の影は消えている」
三成の冷たい指が、伝う涙を拭う。
(佐助)
手紙を渡していれば…?と思った。
きっと、彼が同じ立場になることはなかったであろうし。
しかし、決行日を遅らせるくらいの力にしかならなかったろう。
尽きる代わりに何か叶うのであれば、彼の正気の喪失を、と強く願った。
この絶望を彼に遺すことだけは、せめて
をわらない、絶望
(僕はきっと地獄逝き)
![](//img.mobilerz.net/sozai/160_w.gif)
‐2011.12.16 up‐
お題は、【
(パレード)】様から拝借。(どちらも)
ありがとうございました^^
佐助と佐幸好きの方、本当にすみませんでした。私もバリバリそうなんですが、かなり不快にさせてしまったかと;
またまたトンデモ背景・内容、申し訳ない。
白幸村でして、全部自分が悪いと絶望したようです。
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