をわらない、絶望


※死ネタ的な描写あり。


佐幸前提、幸村総受け。(高校生)
他、家・政・慶・親・就・三、が登場。
(台詞の数は、まちまち)


トンデモ背景に、おかしい内容。
佐幸好き様には、不快に思われる気が致します; (管理人は、佐幸が大好き)

佐幸以外、皆病み〜狂。
いつもの如く、幸村には甘いです、皆。

後味悪いかもですm(__)m

乱文散文、お目汚し、すみません。














『質問です。

○人しか残れないとしたら、あなたは誰を選びますか?

三人の場合
二人の場合
一人の場合

それぞれ記入したら、覚めます。
結果は、後ほど』


妙な夢だ、と思いつつ幸村はペンを取る。

上から順に、

佐助・幸村・信玄
佐助・幸村
佐助

と記入。

信玄には心が痛んだが、夢なのだからバレることもないだろう。


幸村は、早々に現実へ浮上していった。







「…という夢を見たのだ」
「旦那ぁぁ!!」

佐助が、幸村に抱き付く。

家にいるときは他人の目もないので、幸村も頬を色付かせるくらいで済む。


「俺様、大感激!そんなに俺様のこと思ってくれてるなんて」
「と…当然であろう」

「俺様も、一人の場合以外は、旦那と同じ答えだよ。もちろん、そこは旦那。俺様たちって、本当最強カップルだね!」
「ああ、そうだな…」


「──旦那、今日はもう休んじゃおう。しょうがないよ」
「!?どこか悪いのかっ?」

「うん、熱あるみたい。元気になり過ぎちゃって」
「!!ささ佐助ぇぇっ」
「看病、頼むね」
「そっ──…」

拒否も抵抗も認めない、瞬時の口付け。

固まる幸村を良いことに、さらに縛り付ける。何度体験しても慣れない、極上の。

──二つの舌が、融け合う。


「…旦那も、熱あるみたいよ?」
「ばかもの…」

蕩けた表情で、こちらの理知を壊す。

同じ効果を発揮しているとは露知らず、幸村は艶めいた瞳を無意識に魅せた。

心も身体も、深く繋がっている。

二人は、言葉以上に最強の恋人同士であった。









幸村と佐助の関係は、他の誰にも話していなかった。
佐助がそうしてくれと頼んだのだが、純情の塊のような幸村にとっては、願ってもいないことである。

仲の良い友人が六人おり、彼らに秘密を持つのは心苦しくもあったが。


(──手紙?)


宛名のない一通が、幸村の下駄箱から落ちた。何だろう、と教室で開いてみれば、


(こ、れは、佐助への…)


二人は同じクラスで、出席番号が前後していたため、間違えられたのだろう。

放課後、どこどこの教室で待っている、と間違いなく想いを寄せる女生徒からのメッセージ。


「旦那?どしたの?」
「っ!」

(『すまぬ、俺宛かと──』)


しかし、幸村の口から出て来たのは、


「…何でもない」


そのまま隠し、「運動部の自主練に誘われたので、放課後は先に帰っていてくれ」と自然な嘘までこぼれた。

佐助も付き合うと言ったが、夕飯に手間のかかる好物を請うと、仕方なく頷く。

幸村が楽しみにしている、と笑えば、佐助の機嫌は普通以上に良くなった。














「おお、幸村!来てくれたな」
「家康殿?…皆も」

「Hi、久し振りだよな、放課後会うの」
「だよね〜。すぐ二人で帰っちゃうんだもん」
「やっぱ、この作戦で上手くいったな」

政宗、慶次、元親の言葉に、幸村は戸惑う顔になる。

「手紙だ。あれは、我が書いたものぞ」
「わざとお前のところへ入れた」

元就、三成が悪びれもなく言うのに、ますます驚く。


「こうでもしなきゃ、あいつなしで話ができないと思ってな」
「話…?」

「最近、変な夢見なかったか?」
「あ、」

幸村は、あの妙な質問をすぐに思い出した。


「あれな、夢じゃないぞ。ほら、この間皆で遊んだだろう?ワシの家で。そのとき、腕の良い者を呼んでいてな。『催眠術』ってやつだ」
「はぁ…」

楽しそうに喋る顔と、話の内容が噛み合わない。
家康は、ポカンとしたままの幸村を教壇へ上がらせると、


「ここにいる全員、あのアンケートに答え済みだ。すまないが、お前が開票してくれないか?公平さを保つため」

と、用紙を渡す。

一体何なのだ、と未だに混乱していたが、六人のどこか有無を言わせぬ雰囲気に、抗えなかった。

三人の場合から開け、最後に一人の場合を確認して欲しい、と。
それぞれの答えは、下が見えないよう付箋で隠されていた。

一枚一枚めくり、黒板に書き込む。

結果は、


佐助 六票
幸村 六票
六人それぞれの名に、一票ずつ。


(何と…)


「あ〜、これじゃダメだね」

慶次が苦笑すると、

「Ha、予想通りの結果だぜ」
「…貴様らと同レベルとはな」

政宗と三成が、唾を吐きかねない様子で洩らす。

「幸村、喜んでおるのか?」
「あ…」

元就に尋ねられ、


「驚きまして…。皆が、このように思ってくれておったとは」

と、柔らかく微笑む。

──その甘い表情に、全員が見惚れていた。


「たりめーだろ。お前の横には、あいつがいねぇと」

元親が笑い、「じゃねーと、壊れちまうからな」


(え?)


何が、と思ったのだが、「じゃあ、次の開票に移ってくれ」と家康に促される。

二人の場合の結果は、


佐助 六票
六人それぞれの名に、一票ずつ。


「………」

先ほどの喜びから、一挙に転落する気分だった。


──つまり、皆は佐助のことを。


自分たちが恋人同士であることを知ったら、まず自分はただじゃ済まされない気が。…幸村でも、理解ができた。


「家康殿…。これは、何のためのアンケートなのですか?」
「ん?」

家康は、「ああ、言ってなかったな」と笑い、

「皆で話し合ったんだ。それでな、一致した結果が多いものを選んで、『実施』しようと思ってな」

「実施…?」


「あーあ。これも、てんでバラバラだなぁ。最後の結果にかけるしかないね」
「だなー」

他の五人は、互いに頷き合っている。


「ここにいる全員、お前たちの『秘密』を知ってる。で、色々パターン考えたんだが、まとまらなかったから、多数決にすることにしたんだ」

幸村は硬直した。


──既に、知られている。


友人たちの目が違う何かに見え始め、それが狂気であることに行き着いた。

彼らは、愉しそうに刃物を撫でている。


「大丈夫だ、鍛練は積んだ。痛みなど少しも感じない」
「しかもよ、家康ん家で作らせた特注品だぜ?スゲー渋いだろ?」

三成が微笑し、元親が明るく笑う。
前者の表情は稀であったので、逆に恐怖が急増した。

出入口は塞がれ、刻は黄昏。
カーテンを引かれ、外界と遮断される。

堅い密室でもないのに、幸村は動くことができない。


「某を、殺すので…?」

震える声で言うと、


「そんなひどいこと、するわけないじゃん!一緒に行くだけだよ、幸」
「お前なら、分かってくれるであろう?我らの気持ちを」

「慶次殿、元就殿…」


優しい彼らを、自分が歪ませた。

そう思うと、胸に激痛が走った。



「すみませぬ、皆の想いを知らず…佐助を、奪って」

ポツリと言い、項垂れると、



「Hey…笑わせてくれんなよ」
「幸ってば、天然過ぎ!まぁ、そこが良いとこだけど」

全員が、腹を抱えて笑っている。


「いやぁ…さすがは幸村。──そうじゃない、ワシたちが皆惹かれているのは、お前だよ」


「…………え?」


「鈍感が〜。長年付き合ってこうだもんな。ま、可愛いけどよ」

「「黙れカス」」

いつものように元就、三成から暴言を受ける元親。…本当に、いつもと何も変わらない。


「で、は…、何故、」

(三人にも二人にも、佐助の名があるのだ?)


「Ha、簡単な話だろ?俺らはお前と一緒に在りてぇ。だが、お前はあいつがいなけりゃ、どっかへ往っちまう。だからだ。マジ狂っちまいそうだったぜ、本当はあいつを消したくてたまんねーのに」

「奴と二人も、またとない世界よ。何度も何度も繰り返し、我らが受けた痛みを与え続けてやれる。お前もおらぬし、遠慮することもない」

「恐らく、三人のみ残ったとしても、いずれは二人だろう」

政宗、元就の言葉に、三成が続く。


「さぁ、最後の開票をしてくれ、幸村。もしバラつきがあれば、幸村の投票したもので決める」

「あ…、ぅあ…」

手は震え、足許がふらつく。


慶次が素早く支え、

「幸、無理そうだよ。皆で開けちゃお?もう、出て行けもできないだろうしさ」

「そうすっか」

出口を固めていた二人も集まり、わいわい言いながら、開票する。


「幸の、見るまでもなかったな」

ニコッと笑い、慶次が示した先には、




“佐助──六票”




「これで、皆一緒だな!…大丈夫。向こうでは、こちらで抱える寂しさも哀しみも憎しみも妬みも悪意もない。あるのは、幸福のみだ。だから、あいつがいなくともお前は大丈夫なんだよ」

家康が、ハツラツと幸村の背を叩いた。


「こちらでは、その逆だ…。──ああ、お前も望んでいたのではないか、幸村」

元就が、幸村の投票用紙を見せた。


「良かったな、幸。あいつは残れるよ、ずっと。追ったりしないように、片倉さんと本多さんに頼んどいてやるから。あの人ら、政宗と家康の命令には、絶対服従だからさ」

「さぁ、目を瞑れ。再び開ければ、もうその悲痛の影は消えている」

三成の冷たい指が、伝う涙を拭う。



(佐助)



手紙を渡していれば…?と思った。
きっと、彼が同じ立場になることはなかったであろうし。

しかし、決行日を遅らせるくらいの力にしかならなかったろう。


尽きる代わりに何か叶うのであれば、彼の正気の喪失を、と強く願った。


この絶望を彼に遺すことだけは、せめて





をわらない、

(僕はきっと地獄逝き)






‐2011.12.16 up‐

お題は、【(パレード)】様から拝借。(どちらも)
ありがとうございました^^

佐助と佐幸好きの方、本当にすみませんでした。私もバリバリそうなんですが、かなり不快にさせてしまったかと;

またまたトンデモ背景・内容、申し訳ない。

白幸村でして、全部自分が悪いと絶望したようです。

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