完成した僕のパズル


※色々痛い話です。

不快に思われる可能性大m(__)m
暴力的描写、死ネタあり。

自分的にはキャラを喜ばせた終わり方のつもりなんですが、うーん…。


主に慶次で、慶+佐→幸。(幼児〜高校生)
佐助は、年上社会人から登場。

皆、病み〜狂ってます(当サイト比で)
最後は、慶幸風味。
(取り合い話ではないです)


幼児のひらがな言葉使いが、すごい適当ですが、気にしないで下さい;
(簡単な漢字がひらがなだったり、その逆だったりめちゃくちゃ;)













女の子は、皆かわいい。


まさむねやもとちかたちは、絶対違うって言うけど、おれには本当にそう見える。

ふわふわで、良いにおいがするし。
皆、おれのこと好きって言ってくれる。
何だか嬉しいし、おれも皆大好きだ。

いっしょに遊ぶのも楽しい。
おままごとや、お店やさんごっこ、他にも色々やってくれる。

それに…


「けいじどの!ともに、おにごっこをやりませぬか?」
「ゆきむら…」

同じ組の、いつも元気が良い友達。
後ろには、まさむねやもとちか、他の男の子たちもいた。


「けいじは、女と遊ぶ方が良いんだろ。女好きだからな〜」
「行くぜ、ゆきむら。もー、いっつも同じことすんなよ」

二人や、周りの皆がゆきむらを引っ張っていく。
ゆきむらは何か言いかけたけど、そのまま行っちゃった。


(…今日も、『けいじどの』って)


おれは、女の子たちに気付かれないよう、くふくふ笑う。

女の子と遊んでると、ゆきむらは絶対話しかけてくれる。
くりくりとした目で見られると、しんぞうがどきどきする。

女の子たちはかわいいはずなのに、ゆきむらが来ると皆同じ顔に見えるんだ。

初めはびっくりしたけど、もうなれてきた。
きっと、ゆきむらにはそういうパワーがあるんだろうな。
本人も周りも、気付かないだけで。

おれだけが知ってる。


(『ゆき』って、呼びたいなぁ…)


女の子と仲良くすればするほど、ゆきむらは沢山来てくれる。

それが一番嬉しくて、ほいくえんは一回も休んだことがなかった。









外は雨で、いつの間にか教室には二人だけしか残っていなかった。


「けいじどの、今日はどうして?」
「まつねーちゃん、おくれるんだって」

見たいテレビは見逃しちゃったけど、ゆきむらと二人で遊べるなんて夢みたいだ。


「そうなのですか。それがし、いつも一人なので、うれしゅうござる!」

にっこーと笑う顔ばっか見てたら、「とぉ!」って、柔らかいオモチャの棒で頭を打たれた。
そのまま打ち合いになって、お腹が痛くなるくらい笑う。


「ゆきむらのお父さんたち、いそがしいんだな〜」
「そうなのです。それがし、ほいくえんにいるときが、一番たのしゅうござる」
「あ、それはおれもいっしょ。──あれ?これ、なに?」

ゆきむらの服がめくれてお腹の横が見えたんだけど、むらさき色になってる。


「…生まれたときからある、あざでござる」
「ふぅん…痛くない?」

ゆきむらは、ブンブンと顔を振った。

「…きもちわるうござるか?」
「?どうして?おれ、元気だけど?」
「そうではなく…」

ゆきむらはあざを見せ、「きたない…?」って、下を向く。


──しんぞうのどきどきがとまって、今度はすっごく痛くなった。


「きたなくないよ!」って、つい叫んだら、すぐに元気になってくれた。

良かったぁ…


「けいじどのは、いつも女子の皆と遊んでおりまするな」
「うん、楽しいよ!皆大好き」
「……」

ふしぎそうな顔をするから、おれは教えてあげようと、

「女の子は、皆かわいいんだ。だから好き。ゆきむらもいっしょに遊んだら、分かるよ?」
「そうなのですか…?」
「うん」

何だか知りたそうにしてくれて、おれは得意げになった。

もしかしたら、いっしょに女の子たちと遊んでくれるようになるかなぁ?とか、ワクワクもした。


(…あ、『ゆき』って呼んで良いか、聞けば良かった…)


まぁ、また明日にすれば良いか〜と思いながら、お迎えの車から、ゆきむらに手を振った。


だけど、それは叶わなかった。



ゆきむらは、その日の夜、死んじゃった。

階段から落ちて、頭を打ったんだって。



…それを知ったとき、何かが落ちる音が、確かに聴こえた。
多分大事なものだ、って分かってたみたいで、慌てて探したんだけど。

結局見つからなくて、今も欠けたまま。


──気付けば、あれから十年が過ぎていた。














「君が、保育園では最後に遊んだんだよね?一緒に」
「…はい」

──目の前で、窺うよう尋ねてくる青年。

彼は、十年も経った今、幸村の死について調べているらしい。
事故ではなく殺人だ、と疑っているようだ。

俺らより十歳上で、当時は外国にいたとのこと。幸村の、親戚なんだとか。


「絶対口外しないでね?俺様は、虐待されてたんじゃないかと思ってんの。…何か、それらしいもの見なかった?」
「(虐待…)」

猿飛さんの射抜くような視線に威圧感を受けながらも、俺は、ずっと引っ掛かっていたことを口にした。


「脇腹に痣?…あの子に、そんなものはなかったよ」
「………」

その疑念が、もし正解であれば…


──あのときの俺が、今の俺なら。…きっと、救ってやれたはずなのに。


到底不可能な考えが浮かび、外れであることを強く願った。

だけど、またもや叶うこともなく。


…数日後、幸村の両親が亡くなった。


事故らしいけど、心中じゃないかって噂が立っていた。
遺書があって、幸村への虐待のことが書かれてたとか何とか。


(…今頃になって)


そう思うと、どうしても猿飛さんの顔が浮かんだ。
──あの、昏く冷たい瞳。

想像だけど、彼に事実を突き付けられて、両親はそれに到ったのかも知れない…



「慶ちゃん、一緒に帰らない?」
「あ、ごめん。今日は」

本当は何もなかったけど、そんな気になれなかった。

保育園のときから同じ学校の女の子だから、どうしても思い出してしまいそうだ。
いや、忘れたことなんてないけど。

ずっと薄めた状態で置いてたのに、最近全部がそれに囚われてる。


「そっか。…あ、忘れてたぁ、私も人と約束してたんだ」
「へぇ?」

これは気を遣ったとかじゃなく、俺の興味を引くため。自惚れじゃないよ?もう何年もの付き合いなんだから。
女の子たちの、そういうとこも可愛いとは思うんだけど…

あの日から、俺は彼の『パワー』に当てられたままだ。
彼女たちの顔が、皆同じに見える。

昔みたいに、幸村がすぐ傍に来てるような気がして、密かに嬉しかったりする。


「結構カッコいい人なんだ。…内緒だよ?幸村くんの、親戚のお兄さんなんだって」
「えっ…」


(猿飛さんが、どうして)


女の子は、俺が怪訝な顔をしたのを妬いたんだと思ったようで、


「オトナ〜って感じでさ。どんなとこ連れてってくれるのか、超楽しみ〜」

と、ひけらかすように笑って、校舎を出て行く。
(一度家に帰って、着替えるつもりらしい)


──俺は、無意識に彼女の後を追っていた。














「やっぱり、あいつらやってたよ。昔から変だと思ってたんだ、笑う顔があの子と全然違うって。当然だよね、親なんかじゃなく怪物だったんだから」

と笑って、彼はそれを俺の前に放った。


艶消しの黒に変わった瞳が、笑う彼のものと似ている。
ついさっきまで動いてたのに、こんなにも簡単に。


(…良いなぁ)


この子、これから同じとこに行けるんだ。

羨ましげに見てたら、いつの間にか、猿飛さんがすぐ近くに来ていた。


「でも、どうして?」

何故こんなことをしたのか、とにかく不思議だった。幸村の両親よりも、残忍な手口で。

猿飛さんは、ずっと笑っている。


「ついキレちゃってね…これだから俺様は。それで、十年前もあの子から引き離されたんだ。ホント、ムカつくよ。自分が一番」

彼は、彼女だったモノを冷たい目で見下げ、


「こいつのせいだったんだよ、あの子が死んだのは。あいつらから聞き出した。本当は、階段から落ちてなんかいなかったって…」


──彼の話によると、彼女はあの晩、幸村の家に来ていたらしい。
親同士が喋っている間、二人も仲良く遊んでいた。

幸村は彼らが帰った後、


『それがし、女子になりまする』


と、嬉しそうに笑っていたと──…



「信じられる?六才の子が、自分のここ切っちゃうなんて」
「──……」

猿飛さんが、俺の股間を示した。


「一人っ子で、女の怪物の方はあの子と一緒に風呂にも入らなかった。だから、知らなかったみたいでね。…そいつが、余計なこと教えたせいでさ。
しかもね、馬鹿にしたように笑ってたらしいよ?『幸村くんは男の子でしょ。絶対私には勝てないよ』って」


(──まさか)


背中が凍り、全てが戦慄する。

心臓は痛いほど脈打ち、本当に口から飛び出てきそうだった。


「何で、そんな…」

たった一言洩らすのも、やっとだ。


「うん、そこが重要なのにね。聞き出す前にやっちゃってさ…本当駄目な奴だわ、俺様」

彼は溜め息をつき、

「早く調べなきゃ、あの子を惑わせた悪魔をさ。全く、子供の振りして近付くなんてね」



──幸村は、その悪魔のために。


女の子になって好かれたかった、から…?




「君、知ってる?悪魔のこと」

首を振ると、猿飛さんは苦笑して、


「ああ、やっぱりね。君は、あの子とそう親しくなかったみたいだし。…悪いけどさ、そいつを捕まえるまでは、俺様も捕まるわけにはいかないんだ」

と、近付いてくる。




「──何笑ってんの?」

「…どうしようもないときって、逆にそうなりません?」

「あ、確かにね」

猿飛さんがクスクス笑う。


怪しまれなくて良かった。


…さらに近付く彼の手の中には、彼女を動かなくしたアレが。

そうできる内は、ずっと笑っていたい。

もう、それしか思い付かない。



──この歓びを噛み締める術は。



全身が戦き胸の動悸が止まぬのは、多大な熱のせい。

停まるまでは、この感激にどっぷり浸かっていたい。


あの日落とした欠片を、取り戻した。

これで、ようやく動くことができる。


(会ってまず聞きたいのは、やっぱり、)



──“『ゆき』って呼んでも良い?”──



それから、俺もなんだよって言わなきゃ。

幸村、どんな顔するかな?喜んでくれるかな?また、あのくりくりした目で、見てくれるのかな?


彼はとても手際が良くて、少しチクッとしただけで済んだ。

これもお土産話にしようと決め、ふわふわ舞い上がる足取りで、そこへ向かった。





完成したのパズル

(解決は呆気なく一瞬)






‐2011.12.12 up‐

お題は、【biondino】様から拝借。(どちらも)
ありがとうございました^^

何もかも痛い話ですみません;

十年経ってやっと分かった自分の初恋と、彼の気持ち。嬉しさで無敵状態に。

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