「明日僕を…」
短文。
佐助の想いと願い。切なめ。
お題は、最後に全文載せてます。
(稚拙文にて、せめて;)
“真紅”
旦那のイメージといえば、やっぱりこれをおいて他はないだろう。
…だから、まさかこんなに似合うだなんて思いもよらなかった。
「どうだ?」
「──似合うよ、すっごく…」
「そう、か?…良かった」
「想像以上だよ」
俺様は、旦那に嘘をつかない。
…と向こうは思ってくれてるから、本当に嬉しそうに微笑んだ。
「さすがに赤はないよね。小物はともかく」
俺様が苦笑すると、旦那も同じように頷く。
旦那は、白いタキシード姿。
(さすがに赤は──でしょ?)
「お前も似合うぞ、黒」
「同じ白にしても良かったんだけどさ」
まぁ、それも何だかアレだし、やめておいた。
旦那ならウェディングドレスでもイケそうだとは思うんだけど、別に俺様は花嫁が欲しいわけじゃない。旦那が欲しいんだ。
…そう。
明日は、いよいよ──『結婚式』
(色々おかしいことは、重々承知だが)
受ける祝福は少ないけれど、何かしらの形というか、節目を作りたかったので…
「しかし、前日にわざわざ…」
「明日、俺様感動で号泣しちゃうかも知んないからさ。今の内にきちんと見ときたいな〜って。あと、旦那も泣きそうじゃん?だから、俺様の色男っぷりを、しっかりとホラ」
「そのような…」
おちゃらけて言ったのに、旦那は既に泣きそうだ。
(…全く、これだからたまらない)
もうから心の内に、幸せという名の花びらが舞う。
「佐助のお陰だ。明日が迎えられるのも…」
「そんなことない。二人の力、…でしょ」
そう笑むと、旦那の瞳に潤いと輝きが増す。
確かに、俺様は明日への実現のために、何年も尽力してきた。
目の前の存在の幸せ、ただそれだけを確立するために…
「旦那、幸せになろうね。絶対だよ?──大好きだよ、これからも一生」
旦那は驚いたように俺様を見上げる。
(…実は、こんなに真面目に愛を囁いたのは初めてだったり)
「ああ、俺もだ。本当にありがとう、佐助。これからも、ずっとよろしくな…」
最後の方は涙声になって、よく聞き取れなかったけど。
…その顔は、絶対に忘れまいと頭と胸に深く刻んだ。
![](//img.mobilerz.net/sozai/1645.gif)
(旦那、本当に眩しいなぁ…)
二人で撮った写真を眺めながら、ソファに転がった。
服も着替え、今は自宅に戻っている。
(とうとう明日なんだな…)
これまでの数年を振り返る。
決心してから、何度も彼と一緒に両親を説得しに行った。
二人が、どれだけ想い合っているのか。
どれほど大切にし合い、愛し合い、幸せであるのか。
(…まさか、許されるなんて思ってなかったよ)
幸運の力をナメていた。
世の中、何が起こるか分からない。
やはり、旦那は天にも愛されている。
招待状を手に取った。
そういうことが得意な俺様の、手作りだ。
緑と赤のワンポイントを使ったのは、クリスマスシーズンだからという理由だけじゃない。
そこに印字されてる新郎の名は、ただ一人。
…明日は、結婚式。
(──旦那と『彼女』の。)
俺様たちがそうなることよりも難しく、決して実現しないと思っていた未来。
きっと最後には俺様、だと信じて疑わなかった。…のに。
(バチが当たったのかな。ずっと嘘ついてたから…)
──もうすぐ、明日になる。
俺様の願いは、たった一つ。
神様、どうか
「明日僕を殺して下さい」
![](//img.mobilerz.net/sozai/160_w.gif)
‐2011.12.12 up‐
お題は、【
(パレード)】様から拝借。
ありがとうございました^^
分かりやすいオチ;
せめて、お題を一部コッソリ隠し;
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