愛した君は籠の中


?→幸←佐、佐幸オチのつもり

※ストーカー・軟禁・やや暴力的・微々破廉恥、な描写あり。
?キャラはご自由に。嗜好によっては後味悪し

尊敬する相互様に捧……恥さらしすみません!勝手に書いてしまいました、最近狂った佐助が…と仰ってたのと、相互様リクの企画文が、恐らくふざけたギャグ系になりそうなので、せめて何かをと。

でも、じぇんじぇん狂ってませぬ(;∀;) 病み止まり。よくありそうなネタだし、鼻で笑って下さい…


(全1ページ)













愛しい人があのマンションにいるので、このアパートを借りた。ベランダで双眼鏡を使うと、彼の顔がよく見えるからだ。
向こうのベランダには花や観葉植物が置かれていて、彼は毎晩それを愛でている。その表情に胸を熱くしながら、早く自分にも同じ眼差しを向けて欲しいと、この慕情も花のように育っていく。

だが、彼が穏やかな顔をするのは、その時間だけだ。あとは浮かない顔か、泣きそうな表情のどちらか。──あいつのせいで。

あいつの仕事は忙しいようで、いつも帰宅が遅い。帰るなり彼を部屋へ引っ張り入れ、乱暴にカーテンを閉める。買い物は休日中にあいつが全て済ませ、彼は一人で外出するのを禁じられている。電話やインターホンに出るのも。休日は部屋で過ごすか、外出の際は必ず車を使う。彼を他人に見せないために。

機嫌をとるため、あいつは土産を持ち帰ったり何かと語りかけたりするが、無理に笑ませていると何故分からないのか。
いや、分からなくて当然だ。あいつは、彼の恋人じゃない。無理やりあそこに閉じ込めて、自分のものにしたと勘違いしている、ただのDV野郎。けれど、周りは誰も気付いていない。


だから、自分がやらなければ

彼を救ってやれるのは、自分しかいないんだ











カチャ、カチャン、という音が耳に届き、幸村は急いでベランダの窓を閉めた。カーテンにも慌てて手をかけるが、


「ああ良いんだよ、急がなくて」
「──…!?」

同居人ではない相手に、びくりと固まる。次いでカーテンを握ったまま、窓に背からぶつかった。
それをなだめるように優しい笑みをたたえ、訪問者はゆっくりと幸村に歩み寄る。怯えで引きつる頬にそっと触れると、その瞳が忙しなく泳いだ。

「怖かったよね、あんな奴とずっといて。でももう大丈夫、俺様が助けに来たから」

「…な……」
「あいつの職場でここの鍵コピーしてさ、留守中にカメラ入れといたんだ」

あいつは全然駄目だね、アンタ──幸村にあんな顔ばかりさせて。自分の主張ばっか押し付けてさ。…他にも、幸村の同居人をことごとくこき下ろす。

その内容や口振りから、彼の意図と目的を理解した幸村は、

「…ち、が……──殿は、俺のために…俺が病持ちであるから、案じてくれてっ……申し訳なくて、俺がうまく笑えないだけ…で…」

間近に来た彼を避け、震える手で電話の受話器を取る。だが、彼は止めない。痛いほど感じる視線に、ボタンを押す指が小刻みに震える。──同居人のケータイには、通じなかった。

すぐに受話器を上げ直し警察にかけようとするも、その間に電話線を切られてしまう。『ズダン!』と激しい音を立てフローリングにめり込んだ出刃包丁に、幸村の手も震えも止まった。

訪問者は、にこりと微笑み、

「ゴメンゴメン、びっくりさせて。心配しなくて良いよ、あいつはもういないから。警察に聞かなくても……ほら」

「ッ──」

点けられたテレビの報道に頭を殴られ、幸村はその場に崩れた。両目からは涙があふれ、何も出なかったが、何度も何度もえずいた。
その背を彼が優しく撫でると、幸村はそれをはねのけ、

「…──殿は、そんな人じゃない……こんな俺でも良い、面倒を見させてくれと……優しい人だったのに!」

「幸村は騙されてたんだよ。あいつはそうやって、いつか…」
「やめろぉッ」

幸村は頭を抱え、現実から逃れるように床へ打ち付けた。


「…もうやめてくれ……っ──『佐助』!!」













逃げても逃げても追ってくる元恋人から、自分を匿ってくれていた、とても優しい人だったのに。

床の板目に、後悔と自責の涙が染みていく。


「幸村は優しいね…あんな奴に同情して。でもさ、早く俺様のこともちゃんと思い出してよ。幸村を助けるために、すごい頑張ったんだよ?洗脳される前に間に合わなかったのは、謝るけど」

「違うっ、洗脳じゃない!何度も言ったろう、俺はもう…!?」

「やっぱり、痩せてる」
「さッ…」

暴れる幸村をものともせず、佐助は彼を横抱きに抱え、廊下へ出た。部屋の一つに入りベッドへ下ろすと、柔らかくも強引に押し倒す。抵抗に泳ぐ手足は、佐助のそれらに絡められ、沈められた。

「全然食べてなかったもんね。あいつ、幸村の好きなもの何も知らねぇんだもん、ほんと最悪。これからは、また俺様が沢山作ってあげるからね。そうそう、良い家買ったんだ。面白い玩具も新しく用意してるし、あれなら毎日楽しくて、家にいるのもっと好きになるよ。仕事の休みも増えたしさ、前より二人でいられるよ?幸村が戻ったら、多分またすぐ昇進すると思う。幸村と、もっともっと幸せになりたいから」


「…ぅ…う…っ」

「ベランダでグリーン見てるとき、俺様のこと思ってたろ?言ってたもんね、『緑を見ると、佐助とともにいるようで落ち着く』って」

「っ……」

事実の指摘に、幸村の顔が歪む。だが、それは自分のことを乗り越えた佐助の、幸せな未来を願ってのものだった。自分といれば、彼はまともでなくなる、何度もそう突き放すのに、どうして…

佐助は自分の腰からベルトを引き抜き、幸村の両手首にくぐらせた。幸村はハッと意識を戻し、

「やっ、め!逃げぬゆえ、それはやめてくれっ…ここは、」
「あいつのベッドだから?幸村が抵抗しないなら、縛んないよ」
「せぬッ…せぬから、他の場所で!」
「それは駄目。最初から決めてたんだ、ここでって」

佐助は、くくっとおかしそうに笑うと、

「あいつ、毎晩一人で空しくヤってたよ。ビデオ、後で見せてあげよっか?幸村幸村って、うるさいのなんの」

「……ッ」
「一度、ここで迫られたのも見てたよ。幸村が断ったから、そうするしかなかったんだろうけど」

そこは蔑むように笑い、幸村には恍惚とした表情で、

「やっぱり、幸村は俺様じゃなきゃ嫌なんだよね。俺様嬉しくて、泣きそうだった。……けどさ、未遂でも傷は深くてねぇ…あの映像を塗り替えるためにも、ここで俺様を愛してよ。あんな奴より俺様が大事って、早く思い出して」

「んん…っ」

優しく落とされた口付けに、幸村がびくっと強張る。甘い声を貪るように深く入り込み、佐助は手と指で、幸村の悦びを引き出していく。
それでも抵抗を続ける彼の唇から離れると、指で摘まんだ小さなものを見せ示した。

「そんなに辛いなら、全部忘れて気持ちよくなれる薬飲む?」

「え──」

こんな状況下である、それは最上級の甘言に思えたが、


「自我を失った幸村が導く、俺様の末路は一つだけど。…それで良けりゃ、どうぞ」


「……っ…」


──止んだ抵抗と消えた希望に緩く笑み、佐助は薬を仕舞った。




(…この綺麗な顔と身体をぐちゃぐちゃにすれば、もう誰も見向きしないだろうな……)


とは毎回思うのだが、それは腕を縛る等の『お遊び』の範疇を越えてしまう。自分たちは恋人で家族だ、『暴力』などあってはならない。自分は、あいつとは違うのだから。

しかし、やはり幸村は自分を愛してくれているのだと、先の答えで再び確認できた。自分たちは、こんなにも通じ合っている。それをもっと思い出させ、刻み直してやろう。

その涙が愛欲に変わるまで、佐助は幾度も幸村の身と心を貫いた。





愛した君は籠の中






‐2013.8.21 up‐

お題は【biondino】より拝借・感謝^^

お目汚し、失礼しました。こんなのにお題借りてすみません><
自分のこと分からなくなった幸村にシクシク泣いて、無理心中でもするんじゃなかろうか。当サイト捏造佐助はドヘタレ。幸村は自分がどうなっても、佐助は死なせたくないと思っておられる。

ネタばればれだったかなと; やっぱりぬるい病み止まり…狂愛って難しいですね。佐助に悪気はないです、恋人誘拐された被害者だと思い込んでるので。
第三者は、家・三・こじゅ…辺りなイメージ。政宗様は佐助と互角に、就様は負けそうにない気がする。慶・親は、真っ向から佐助に挑んで、軽くあしらわれてそうな。

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