真夜中サーカス1

※幸村総受け、マッドでブラックな話(ハピエン寄りのつもり)です…注意書でOKそうな方は進まれてみて下さい(汗)

・捏造モブ登場
・キャラ全員、明るい狂。(原因がネタオチ)
・遠回し暴力・暴行/流血。当サイトにしては少しグロいかも。描写は淡々。
・小〜中学生(子供らしさ皆無)、ハロウィン仮装
・ファンタジー的、盲目/悲哀/病みほのぼの
・「〜杭ってのは迷信〜」前後の台詞内容は、捏造です。吸血鬼の。

名前は出ませんが、いつもの八人です。出番はまちまち、皆で仲良く狂。会話多し、おかしなネタ乱文(><)


(全3ページ)













月の光も遮られる鬱蒼とした森の中、二人の男が出会った。
両人とも酔い潰れでもしていたのか、そこに来るまでの記憶がなく、唯一見える光を頼りに道を進んでいく。

辿り着いたのは、テントを張った小さな見世物小屋で、中からは愉しげな声や音楽が漏れていた。


『Trick or treat!』


(……!?)


カーテンのように合わせられた入口を開けると、二人は劇場の客席に立っていた。
いつの間に?と見渡すが、壁の辺りは薄暗くぼやけ、出入口がどこなのかもよく分からない。

声の主は、舞台上に並ぶ複数の人影──恐らく小・中学生くらいの子供だろう──皆ハロウィンの衣装を着ており、そのほとんどの顔は隠れている。
見えるのは、右目に眼帯をした黒マントの悪魔と、左目を布で覆った、銀髪のバンパイア(赤や黒のタキシードやマント)の二人のみ。


「…生憎だな。菓子は持っていない、それより電話を」
「はーい、イタズラけって〜い」

「あ…っ?」

陽気なピエロが男の一人の腕を取り、舞台へと引き寄せる。
男は顔をしかめるが、髑髏の面を被ったスケルトン(のペイントがなされた衣装を着用)に、もう片方の腕を取られ、


「ここいらは夜が明けねぇと、車でも危険なんだ。それまで、俺らの芸で退屈させねーからさっ?」

明るく促す二人に流され、男は舞台の真ん中へ。
もう一方の男は、「楽しんでくれ」と、モンスターに席へ座らされた。おどろおどろしいメイクでリアルな怪物に見えるが、彼も妙に明るい。

残り二人は死神とミイラのようで、とても物静か。前者は真っ黒なローブとフードに面を被り、後者は全身巻かれた包帯の隙間から、切れ長の目がチラリと覗いた。ミイラの包帯はボロボロで、歩く度にスカートの裾のごとくヒラヒラ舞う。

衣装やメイクが凝っている分、明るい口調や照明と噛み合わない。男たちは戸惑いだけでなく、奇妙な違和感も覚えていた。

舞台に上がった方はA(=assistant)、客席に座った方をV(=viewer)とする。
司会進行は、ピエロが務めるらしい。


「Vさんはショーを、Aさんは彼が驚く顔を存分に楽しんで下さいなっと♪」

と同時に消灯、舞台はA一人だけに。
テンポの良い曲が流れ出し、Aにスポットライトが当たる。舞台袖からスケルトンがカクカク踊りながら登場、ライトは二つになった。


「さ、あんたも踊って踊って〜♪」
「な…!?」

Aの手足がふわっと動き、スケルトンと同じく踊り始めた。影絵のようにぴったり同じ動作で、カクカクカクカク…


(すごいな…)


まるで操り人形だ。
Vは、笑みとともに拍手を贈るが、


「ポキポキ、パキパキ、あそれ、ついでにペキペキ♪」
「…ッ…!…、…っ!?」

スケルトンの手首、腕、脚があり得ない方向にコキコキと曲がった。そして驚いたことに、Aの身体もやはり全く同様に捻れている。

どうなっているんだ?痛くないのか?
Aの声は一つもなく、Vは食い入るように彼に見入った。顔が青く見える気がしたが、捻れた四肢を目にすれば当然か…

スケルトンはご機嫌な様子で袖へ消え、あとには潰れた蛙のようにうずくまるAの姿。


「あーらら、こりゃ大変。救護班、お願いしま〜す」

BGMは、救急車のサイレンの音に。左右の舞台袖から、ミイラとバンパイアが現れた。

くるくる、しゅるしゅるとミイラの包帯が勝手に伸び、Aの身体をぐるぐる巻きに覆う。


『ゴキゴキ、バキャッ!』



(──何か、さっきよりひどい音が…)


その度にAの身体が大きく痙攣するので、Vはヒヤリとするのだが。
包帯が解けると、彼の手足は元に戻っていた。…が、ピクリとも動かない。


「あれあれ?これはいけない。彼の手当ては、行き過ぎるのが玉にキズでしてねぇ。そこで、彼の出番ってわけです」

「ッ!」

バンパイアに首元を咬まれ、Aの両目がカッと開く。解放されると、そこから血が流れていった。


「ご心配なく、すぐに止まるんで。これで、Aさんは俺様たちと同じ不死の身体だ。杭ってのは、ありゃ迷信だからね」

その証拠に、とピエロが言った刹那、


「…もー、まだ呼んでないってのに…」
「うっせー、tempo良く行けよ。チンタラしやがって」


『ズッ』


悪魔が持っていた槍の、鋭い刃先がAの腹から抜ける。…入った際は、目を掠めもしなかった。
一体全体、どういった仕掛けなのか。早業過ぎて、片鱗たりともタネを窺えない。
Aは確かに生きている。胸が大きく上下しているのが証拠だ。


「どうですかー?不思議でしょ?VさんもAさんも」

ピエロはけらけら笑い、

「あるいは、こんなことになったって平気なんですよ〜?」

出てきたのは、モンスターと死神。モンスターは、やはり明朗な口調で「やっと出番だな!」と拳同士を弾く。



メキ

ぎゅる

ビチャ


×××……




「アハハハハ!ねっ、すごいっしょ!?ほら、Aさんてばこんなになってんのに、スッゴい楽しそー!──俺様の華麗なジャグリングも見せてあげたかったけど、何かもう充分みたいだね?」

ピエロは笑いと拍手を納めると、死神に目配せした。
死神は浅く頷き、刃が三日月型をした大鎌を高々と構える。


Aの首筋に向かい弧を描いた瞬間、照明と音楽が消えた。

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