日記 | ナノ

徒然+リトル・シトロン(創作妄想話)(追記)
2012/09/13 00:31


舞台は全寮制の女子校(高等部)

理都(りと)‥可愛いと美人を両方合わせもった、人生勝ち組代表のような美少女。髪の毛なんか、人形みたいなふわふわロング。まさにお姫様。

小柚(こゆず)‥理都の親友。小・中もずっと同室。背がスラッと高く、中性的なハンサム少女。学校の王子様で、先生たちの間でも人気。



「今日も疲れたー…。もー、早く卒業したいよぉ…」
「またそれ?中等部んときに比べりゃ、全然マシだと思うけど」

苦笑する小柚だが、理都はベッドの上で頬杖をつきながら、

「こゆちゃんはいーよね、自然体でいられるんだもん。先生たちの目も甘いしさ。…確かに陰湿なのはなくなったけど、この猫かぶり超疲れる…」
「その顔に恵まれたんだから。それくらいの我慢はしても、バチ当たんないって」

容姿のせいで、昔からよくイジメに遭ってきた理都。見た目よりは強い気性であっても、長く続けば様々なことに絶望、うちひしがれるのは避けられない。しかし、諦め、色んな意味でキレる寸前で、小柚に必ず悟られ救われてきた。

彼女は、理都にとってヒーローかナイト同然なのだ。


「大学は、絶対共学に行く!で、即彼氏作る!」
「ハイハイ、好きにして」
「え〜、なにその反応。こゆちゃん、私に彼氏できても良いの?寂しくないのっ?」
「どーゆーことよ?彼氏欲しいんじゃないの?」
「欲しいけど、こゆちゃんみたいな…こゆちゃんよりかっこよくて、優しくて綺麗じゃないとヤだ。ついでに、こゆちゃんに彼氏できんのもイヤ」
「はぁー?なんだそれ」

小柚は呆れ笑うが、

「まぁ、私はそーいう柄じゃないしね…できるわけないよ。リトが結婚でもすりゃ、考えるかも知んないけど」
「そーだよね?こゆちゃんは、そんなの興味ないもんね?じゃあ、絶対同じ大学行こうねっ?で、アパートも同じとこ借りてさ?」
「何が『じゃあ』なのか分かんないけど…」

おかしそうに笑う小柚に、理都は大変満足げな顔。


(だって、こゆちゃん以上の人いないんだもん)


全寮制といっても、文化祭などの行事には一般の客も出入りができる。それに、長期休暇中は家に帰られるしで。

その短期間でも、理都に声をかけてくる者は多々いた。冒険心の強い彼女なので、当然試さない手はなく…
が、結局誰にもときめくことがなく、小柚の評価が上がる一方だったのだ。


(こゆちゃんが、男の子だったらな…)


ああ、でもそしたら出会えてないじゃんか。
そんな思いを繰り返し、早く卒業したいのも本当だが、今の状況も終わりたくない。自分でもよく分からない、実のところは不安定な気持ちでいる理都だった。

そんなある日の夜。



…………………………



『──ということで、お前の願いを叶えてあげましょう』


(えぇっ…!?)



…………………………



そんな変な夢を見て、朝起きてみると、


(…誰?これ)


「──(誰よ、この『おと…っ)」

叫ぼうとした口を塞がれ、理都は改めて目の前の人物を食らいつかんばかりに凝視する。

そこには、自分よりも小柚よりも、学校の生徒や先生たちよりも長身の、形容できないほどかっこよく美しい青年が立っていた。しかも、何故か上半身裸。


(なにこの芸術品!…まさか願いって、理想の『彼氏』を…!?)


といっても、この顔どこかで見覚えがあるような。どこだっけ、えーっと…


「…兄さんでしょ?」
「えっ?」

「似てるの当たり前だよ。…だって、兄妹なんだから」

理都は、その言葉よりも前に愕然と固まった。


…さっきの声は、一体誰の……


再度、恐る恐る目の前の鏡で状況を把握した後、後ろを振り返る。

いたのは、大好きな親友の姿。
だが、昨日までとは全然違う──


「ねぇリト、何でこんなことに…ッ?」


悲痛な声を上げる親友。
それは、自分の方が聞きたい。

何故、鏡の中に『己の』兄に似た男がいて、映るはずの自身の姿がどこにもいないのか──と。

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