02

 ──両親に事情を話して、一時的に預かることにした。


 ちょうど夕食の準備もできたとのことで、ご飯を共にすることに。
 だが、彼は空腹だと訴えた割には一口も食べようとはせずに、倒れてしまったのだ。


 どうしよう、どうしようと慌てふためく頼りない大人らを宥め、雛は自室のベッドに運び入れた。


(どうしたのかな……)
(空腹すぎて、倒れた……とか)


 つまり餓死寸前、ということだろうか。
 たとえそうだとすれば、ここは児童相談所に連絡して保護してもらう方が得策か。


 念のために額に触れてみるが、熱はない。
 だが、よく見れば、少年の顔色は明らかに悪い。
 目の下に濃いくまさえある、もしかしたらかなり重度のものかもしれない。


 心配になり、とりあえず母に相談しようかとベッドから離れようとした矢先、くぐもった声が聞こえる。
 少年が気がついたのである。


「あっ! ね、大丈夫!?」


「へい、き……」瞼が重いのだろう、目を閉じたまま言ったが、顔色は依然悪い。


「大丈夫じゃないよ! 今、救急車──」

「必要、ない……」

「え……。って……?」



 スマートフォンを取り出そうとするが、彼が拒否したため、驚いて少年を見ると……さらに驚く。
 なぜなら──


が……赤い?」


 その瞳は燃え盛る炎のように真っ赤だったからだ。


(何、これ……)


「きれい……」


(外国人でも赤い瞳なんていないし)
(カラコン……でもなさそう)


 それは見たことがない、宝石よりも眩しい見事な輝きだった。
 おそらく、どんなに原石を磨いても、拝むことのできないほどの──。


「なんで赤いの?」


 病気──の可能性もあるかもしれないが、それは違うような気もする。
 ならば、彼は一体、何者なのだろうか。

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