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 ………………

 有馬大将とともに沖田大尉たちが出動して、まもなく11時間が経とうとしていた。
 沖田大尉は本当に交渉が上手いし、有馬大将も頑固親父という面はあるものの、柔軟な思考をしている。
 交渉としてはあの二人のコンビならもう帰還してもいいはずなのに、まだ帰ってこないのは遅すぎるようにも思えた。

「久家軍曹!」

「はい!」


 沖田大尉についていけなかった第7部隊の部屋で帰還を待っていると、司令部の人間が声をかけてきた。


「只今より有馬大将殿たち帰還! しかし、隣国の策略により襲撃を受け、第7部隊が負傷! 至急、救護室に急行せよ!」

「はい、了解しました!」

 襲撃?
 どうして!


 私が急いで救護室に向かうと、救護室で有馬大将たちがベッドに伏せていた。


「失礼致します! 司令部により連絡承った第7部隊、久家菜月軍曹でございます!」

「久家軍曹! 突然に申し訳ない。今、奥のベッドで沖田大尉殿が伏せている。様子を見てくれ」

「分かりました」


 奥のベッドに向かうと、包帯を腕に巻かれた沖田大尉が横たわっていた。


「沖田大尉! 大丈夫ですか?」

「ああ……何とかな」

「何があったんですか?」

「ああ……。指定された場所が隣国と今、争っている国の国境にあってな……。交渉を切り出す前に襲撃されたんだ。どうやら、両方にはめられたみたいだな」

「そんな……」


 確かによくあることではあるが、全員が負傷して帰還するなど、よっぽど苛烈な戦いであったに違いない。


「何とか有馬大将殿は逃がすことができたが……。とんだ様だ」

「そんなことありません。沖田大尉はご自分の使命を全うされただけのことです」

「そう言ってもらえると、助かるよ。──はぁ、疲れた」

「お疲れ様でした」


 椅子に腰かけ、沖田大尉を見つめる。
 顔は傷だらけ、腕以外にも包帯は巻かれ、かなり痛々しい。


「帰還が遅いと心配してました……。ご無事で何よりです」

「何だ……心配、しててくれたのか?」

「あ、当たり前です……! ムカつく人ですけど、沖田大尉は私の憧れの上司なんですから。ムカつきますけど」

「お前、ムカつくを2回言ったな」

「だって、真実ですもん」

「はっ……。憧れてるって言うんだったら、癒しの言葉でもかけてくれ」

「たとえば、なんですか?」

「そうだな……。俺のことが好き、とか?」

「はぁ!? ありえません!」

「そんなに俺が嫌いか?」

「好き嫌いの問題じゃありません!」

「そうか……残念だな」

「え?」


 残念って言った?
 えっ……どういうこと!?

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