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「お疲れさまぁ、結ちゃん」

「真美さん。お疲れさまです」


 午前の講義を終え、お昼を済ませたあとにバイトに入った。


「どう? 忍田さんとの調子は?」

「え? ああ、えっと……普通ですよ、普通」

「えぇ〜? 怪しい〜。だって幸せオーラ溢れてるよ?」

「あ、溢れてますかっ?」

「うん、もうフェロモンみたいにダダ漏れな感じ?」

「ふぇ、フェロモンって……」

「いいなぁ、いいなぁ。幸せそうで」


 とか言いつつ、なんか真美さん、今日、お肌の調子がよさそうな気が……。


「もう、そんなこと言って〜。真美さんも新しい彼氏できたらしいじゃないですか?」


 もう1人のバイトの子が思わぬ情報を仕入れてきた。


「えっ、真美さん、彼氏できたんですか!?」

「私、見ちゃったんだよね〜。サラリーマンの男性と仲良く手繋いでるところ!」

「えぇ! そうなんですか!?」

「あちゃ〜見られちゃってたか〜」


 真美さんは天を仰ぎ、額を押さえる。
 どうしてか隠していたらしいけれど、見られていたのなら仕方ない。


「そうなんだよね。私のほうが一目惚れ? みたいな感じで……」

「ええ、じゃあここで出会っちゃったとかですか!?」

「うん、そうなんだよね〜」

「ええ〜! またしても、このカフェでカップル誕生!? すごくないですか!」

「もう興奮しすぎ〜」

「私もお会いしてます?」

「ん? ああ、柴田さんなら結ちゃんも知ってるじゃん〜」

「し、柴田さん?」

「やだなぁ、結ちゃんが連れてきたみたいなもんだよ?」


 柴田さん?
 いや……知らないけど……でも、私が連れてきたって……?
 いや、全然わかんない。


「もう、忍田さんの同僚の人だよ、結ちゃん」


 とうとう痺れを切らした真美さんが暴露。
 そして、真美さんの説明で停止していた思考が、あのときを導き出した。


「ああっ! あの人、柴田さんだったんですか!?」

「ええっ!? お隣だって聞いたけど!」

「ここのところマンションに帰れてないんです。それにしても……えぇ〜真美さんがあの人とですか?」


 忍田さんの同僚──柴田さんはこれといった特徴のない平凡の顔だ──失礼だけど──真美さんは自分でもイケメン好きと言っていたのに、すごい意外だ。