page - 04
「お疲れさまぁ、結ちゃん」
「真美さん。お疲れさまです」
午前の講義を終え、お昼を済ませたあとにバイトに入った。
「どう? 忍田さんとの調子は?」
「え? ああ、えっと……普通ですよ、普通」
「えぇ〜? 怪しい〜。だって幸せオーラ溢れてるよ?」
「あ、溢れてますかっ?」
「うん、もうフェロモンみたいにダダ漏れな感じ?」
「ふぇ、フェロモンって……」
「いいなぁ、いいなぁ。幸せそうで」
とか言いつつ、なんか真美さん、今日、お肌の調子がよさそうな気が……。
「もう、そんなこと言って〜。真美さんも新しい彼氏できたらしいじゃないですか?」
もう1人のバイトの子が思わぬ情報を仕入れてきた。
「えっ、真美さん、彼氏できたんですか!?」
「私、見ちゃったんだよね〜。サラリーマンの男性と仲良く手繋いでるところ!」
「えぇ! そうなんですか!?」
「あちゃ〜見られちゃってたか〜」
真美さんは天を仰ぎ、額を押さえる。
どうしてか隠していたらしいけれど、見られていたのなら仕方ない。
「そうなんだよね。私のほうが一目惚れ? みたいな感じで……」
「ええ、じゃあここで出会っちゃったとかですか!?」
「うん、そうなんだよね〜」
「ええ〜! またしても、このカフェでカップル誕生!? すごくないですか!」
「もう興奮しすぎ〜」
「私もお会いしてます?」
「ん? ああ、柴田さんなら結ちゃんも知ってるじゃん〜」
「し、柴田さん?」
「やだなぁ、結ちゃんが連れてきたみたいなもんだよ?」
柴田さん?
いや……知らないけど……でも、私が連れてきたって……?
いや、全然わかんない。
「もう、忍田さんの同僚の人だよ、結ちゃん」
とうとう痺れを切らした真美さんが暴露。
そして、真美さんの説明で停止していた思考が、あのときを導き出した。
「ああっ! あの人、柴田さんだったんですか!?」
「ええっ!? お隣だって聞いたけど!」
「ここのところマンションに帰れてないんです。それにしても……えぇ〜真美さんがあの人とですか?」
忍田さんの同僚──柴田さんはこれといった特徴のない平凡の顔だ──失礼だけど──真美さんは自分でもイケメン好きと言っていたのに、すごい意外だ。