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翌日のお昼、カフェテリアで学食のカルボナーラを食べながら、忍田さんの話をする。
絢未は目をキラキラと輝かせながら、カツ丼を食べる。
絢未はこう見えて大食いだ。
「へー! その忍田さんって人? よっぽど結のことが好きなんだねぇ〜」
「わかるの?」
「そりゃあねぇ〜。私も恋する乙女だしねっ」
「いや……忍田さん、恋する乙女じゃないし……」
「そんな細かいことはいいの! 2年も片想いなんて素敵じゃん、絶対にいい人だよ! おまけにイケメン!」
「イケメンは関係ないでしょ……」
「大いに関係あるんだよ、私には!」
「はいはい……。そういえば、絢未こそどうなの? 恋の進捗状況」
「えっ、それ今訊く!?」
「絢未にとっても重要な話でしょ?」
「ま、まあ……そうなんだけど……。あー、でも、無理だってば……。ラインだって交換できないし」
「もー。またうじうじと……」
「じゃあじゃあ、結から立花さんの連絡先教えてよ! それとなく私が知りたがってるって匂わせてさぁ!」
「それとなく匂わせるって……。そういう回りくどいの、私、できないよ……。面倒だし」
「面倒なだけ!? ひどくない、それ!?」
「そ、そんなに憤慨しなくても……。──もう、わかったわかった。そういうの私、ホントにできないから、直接メッセージ送っちゃうよ? 今日はシフト入ってないし……」
しぶしぶスマホを取り出して操作すると、本当に素直に《絢未が立花さんと連絡したいそうなんですけど、教えてもいいですか?》とメッセージを送った。
お昼だから、もしかしたらまだ連絡はないだろうけど……。
「あっ、うそ! もう来た!」
「えっ、もう!?」
「教えて大丈夫だって!」
「うっそ、ホント!? やったぁあああぁぁ!」
「はは、喜びすぎだって。──あ、ちょっと待って……えっと、なになに……『俺が教えるから、逆に教えて』って……」
「えっ、立花さんが直接!? やったぁ……っ、もうあたし、いつ死んでもいい……」
「大袈裟すぎ! じゃあ、絢未のライン教えちゃうよ?」
「うんうん! もう全然オッケー!」
というか、想像以上に返信が早くて驚いた……。
やっぱり、ちょっとチャンスあるんじゃない?
と思いながら、立花さんに絢未のラインを教えると『ありがとう』と返信され……。