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またそうやって──どうして、そんなにストレートなんですか……。
「忍田さんって、恥ずかしい人だったんですね……」
「えっ、何が?」
「あぁ〜……自覚がないなら、いいです」
「そ? ──それにしても、走ったからちょっと腹減ったな。疲れたし。ちょうど食事の階だし、何か食べようよ」
「え? いいです、けど……」
確かにお腹、空いたなぁ……。
「結ちゃんは何食べたい?」
「う〜ん、そうですねぇ……。オムライスとか食べたい気分です」
「オムライスか。いいね、じゃあ俺もそれにしよっかな」
オムライスと言えば、トネリコの樹というオムライス専門店が美味しい。
エスカレーターで降りてきたので、エレベーター側に行けばそのお店がある。
私たちはそこでオムライスを食べることにした。
「ここはビーフシチューのオムライスが美味しいんですよね〜」
「へぇ、そっかぁ。俺は昔ながらのオムライスが好きだけどね」
「あぁっ、ケチャップライスの! それもいいですよねっ」
「そうそう。ケチャップとか大量につけて、最後にはケチャップが足りないとか」
「うぅ〜んっ、すっごいわかります!」
「ははっ、そっかそっか」
オムライス専門店に着いたところで、二人ともブレることなく私はビーフシチューの、忍田さんは昔ながらのオムライスを注文した。
すぐそばのテーブルに腰を落ち着け、やっと休憩した気分を味わえた。
「それにしても、ホントに奇遇だね。こんなところで出会して、一緒にオムライスの話して、オムライス食べるの」
「そ、そうですね」
「ホントは……この前のこと気にしてたんだけど、結ちゃんを見かけたらやっぱり声をかけられずにいられなくて」
「え?」
「俺はやっぱり……結ちゃんのことが好きだから」
「あ……」
忍田──さん……。
気にしていない素振りを見せていただけで、本当は気にして……。
私があんなことを訊いたから……。
「あっ、できたみたいだよ。取りに行こっか」
「えっ──あっ、はい……」
注文した後にもらった機器が震えて、品ができたことを知らせてくれる。
忍田さんに促されて、一緒にオムライスを取りに行きテーブルに戻る。
「じゃ、食べよっか。──んっ、美味い。やっぱり食べ慣れた味が一番、安心するね」
「そ、そうですね。──私も、美味しい、です」