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「お待たせ、結ちゃん。──あれ、結ちゃん? どうした?」
「えっ?」
「ちょっと顔色が優れないけど……疲れてる?」
「えっ? あっ、いや……大丈夫です」
「そう? なら、よかった」
忍田さんはすぐにブレスレットが入っている包みを開け、私に見せる。
「ほら、これが欲しかったんだろう?」
「あ……ありがとうございます……」
「いいって。そうだ、ちょっと腕を伸ばしてみて」
「えっ? は、はい……」
言われるままに腕を伸ばすと、忍田さんはブレスレットのカニカンフックを外し……つけるまえにアクセサリにキスを落とした忍田さんは私の手首につけてくれた。
「え……」
「これ、俺のプレゼントっていう印ね?」
え……ええぇぇええええっ!?
声にならないどころか、心の中で大絶叫。
忍田さん……どれだけメンタルが強いんですかぁ!?
「さっきの、見た!?」
「見た見たっ! 何あれ、マジにかっこいいんだけどぉ〜!」
「顔もイケメンなら、やることもイケメンすぎる〜……」
はっ、ここ、お店の前……!
それに、ここは土曜日の駅ビルだし、人が多すぎる〜っ!
「あっ、あのっ、とにかくここから離れましょう!」
「えっ?」
「は、早くっ!」
すっかり注目の的になり、その視線と恥ずかしさに負けて、私は忍田さんを連れて一目散に逃げ出した。
「はぁああぁ……っ、ここまでならいいかな……」
行き着いた先は食事フロア。
とにかくあの場から逃げたい一心でエスカレーターを駆け下りてきたけれど、地下まで来てしまったらしい。
「忍田さんって大胆ですね……あんなところで急に、するなんて……っ」
「はは、ごめんごめん。でもさ、それは結ちゃんにも同じこと言えるけど?」
「えっ?」
はぁはぁと息を切らす私をよそに、忍田さんは平然と──それどころか笑顔で下を指差す。
なんだろうかと指の先を辿ると、私と忍田さんの手が……繋がって──
「う……うわわわ! ご、ごめんなさいっ」
いつの間にか手を繋いでいたことに今さらながら気がついて、私は大声を出して急いで手を離した。
「いいよいいよ、別に。俺としては、結ちゃんと手を繋げてラッキーだけどね」
「……っ!」