「こんな展開ですか!?」 - 01

「奏ちゃん! おはよー」

「芦屋君……」


 芦屋君と友達になってから数週間が過ぎた。
 あれから、芦屋君は毎日のように私の家で待ち伏せしている。


「いい加減、ストーカー被害出していいですか……?」

「あっははは! おもしろいこと言うなぁ」


 芦屋君はずかずかと私の日常を侵蝕し、おかげで少し遠慮というものを忘れることができるようになった。


「いいじゃん、俺たち友達なんだしさぁ」

「無理矢理だったじゃないですか……」

「あれ、そうだったかなぁ」


 歩き出すと、今度は背後から元気な朝の挨拶をしてくる、本当の友達が走ってやってきた。


「あらぁ、また芦屋がいるの!?」

「ずっとだよ……」

「懲りないねぇ」

「そりゃあまあ、ね」

「うわぁ、狙われてるねー!」

「笑い事じゃないです!」


 芦屋君は既に友達にカミングアウトしていて、もうすっかりセットで芦屋君がいると思い込んでいる。
 完全に芦屋君のペースに飲まれている。


「でも、ホントに奏のことが好きなんだねー。最近、ウワサ聞かないし!」

「そうなの?」

「だから、本気だって言ってるじゃん〜」

「だって、信用していいのか分からないし……」

「うわっ、手厳しいなぁ」


 ──芦屋君の登場により、山下君からのセクハラのような行為はなくなったものの、隣にいるからか、変に意識してしまう。
 それに、以前のこともあり、なんだか少し静かなことに不気味ささえ感じる……。


 芦屋君のことも理解できないけど、山下君のことはもっと分からないよ……。
- ナノ -