「俺かよ!?」 - 01

「ん〜……」


 どうしよう、これ……。


 自室にて、私は正座していた。
 目の前には私宛に届いた小包が置いてある。
 送り主はいつもお世話になっているオモチャメーカー。
 しかし、私は何も頼んでいないはずなのだ。
 これはどういうことなのか、と思案して、数分の時間が経っていた。


 ん〜、とりあえず開けてみようかな……。


 いまいち踏ん切りがつかずにいたが、ここは思い切って開けることにした。
 もし、間違って届いたものなら、クーリングオフも可能だし。


 開けてみると、手紙と、その下にはローションと謎のボトルが入っていた。
 手紙を読んでみて要約するに、現在、ご愛顧キャンペーンというものを開催しているとのこと。
 ランダムに選んだ利用者に、このキャンペーン限定の特別なものをお届けしている、とのことだった。
 そういえば、そんなキャンペーンがやっているとお知らせメールにあったような気もする。


「ん〜……」


 二つのボトルを両手にそれぞれ持ち、じーっと観察する。
 右手にあるローションは、デザインこそは特別仕様ではあるが、ローションの中で人気商品であるシリーズの一つのデザインに似ているし、きっちりと商品名が書いてある。
 けれども、左手にあるもうひとつ、ピンクゴールドの可愛らしいデザインのボトルには商品名が書かれていない。
 そして、成分表の名称には《ジュース》とだけ書かれている……。
 成分表と言っても、材料は《秘密》とだけ。


「うーん、分かんない……」


 オモチャメーカーが送ってきたものなのだから、そういう関係なんだろうけれど……。
 常温保存は可能だって書いてあるし、ここは隠しておこう……。


「奏ー!」

「わっ!」


 私は咄嗟にベッドの下に隠した。


「ん? なんか隠した?」

「えっ!? な、何も隠してないよ!?」

「え〜? 怪しいな……。さては山下君関連だなぁ?」

「ち、違うよ!」

「ふーん。じゃあ、そういうことにしてあげる! 今から買い物行くんだけど、どうする?」

「あっ、行く!」

「オッケー」


 またしても咄嗟にベッド下に隠してしまったボトルの存在は、すぐに私の頭の中から消えていった。
- ナノ -