「デートするぞ」 - 17

 まさかとは思うが、挿入れられたりしないよね──
 しばらくして、そんな私の考えは払拭され、山下君はゆっくりと胸に向かって顔を下ろして乳頭を口に含んだ。


「んっ……」


 優しく舌先で愛撫し、緩やかに奥が締まっていく感じがした。
 驚くほど優しかった舌が、だんだんスピードを持って、胸を揺らす。


「んんっ……!」そしてぶるぶると揺れる胸に山下君は掴んで、ふにふにと揉む。
 舌とは違った行為に困惑しつつも、快感は正直に私を襲う。


「んっ、んんっ……あ、ぁあ……っ」


 バイブとは違う、不規則に責めるその舌。
 オモチャとは違う、押し寄せる快感の波。
 ──何もかもが、今までの私に感じたことがない、その「愛撫」と呼ばれるものは確実に、体に刻み込まれていく。


 ひとりエッチとは違う……これが、エッチというもの……。


「あっ!」


 なんとも言いようのない、気持ちいい余韻に浸っていると、山下君の手が不意に脚を撫でる。


「すげー反応……」
そう呟いた山下君が、胸への愛撫をやめて、いったん体を退かして私の脚を折り曲げると、膝にひとつキスを落とした。


「あ……っ」


 くすぐったいようなそんな感覚のあと、山下君は足首からすーっと手を滑らせて何往復もしてみせる。
 それまで首や胸まで刺激されていたせいか、通常ならくすぐったいと感じるようなその行為が、やけに気持ちよく思えた。


「や……いやぁ……やだ、それ……っ──んんっ!」


 脚がビクンビクンとしきりに震える。
 それだけの行為にこんなに反応してしまうことが恥ずかしくて、口を両手で押さえるものの、山下君が未だにやめないので、声が溢れ出てしまう。
 そんな反応を楽しんでか、山下君は脚に跨ると、左脚をなおも撫でつつ、右脚にはいくつも、同じところに何度も口づけた。


「あっ! やっ、やだっ……やめ……! んんっっ」


 なんで……止まんないのぉ……。


 声も止まらない、痙攣も止まらない……完全に体は敏感になってしまい、制御できない……。


「そんなに気持ちいいんだ? これ。パンツにシミまで作って……ホント、淫乱なヤツ……」


 違う。
 違う違う違う違う違う。

 こんなはずない。

 こんなはずない……。


「や、だめ……だめえぇ……っっ」