「デートするぞ」 - 07
「よーし! 奏、準備するよ!」
朝食を済ませるや否や、相変わらずのハイテンションで声をかけてきた。
時刻は8時半。
改めて言うが、待ち合わせ時間は11時で、あと2時間半もある。
「えっ……早すぎない?」
「いいの、いいの! お姉ちゃんに任せなさーい」
「いや……余計に不安……」
「ほらほら、早く私の部屋に行くよ!」
これまた強い力で私の腕を引っ張る。
「ま、待って待って。行くから、引っ張らないでぇ……」
「朝から元気ねぇ〜」
「ホントだな」
姉に引っ張られるがまま、部屋へ向かった。
そして、鏡台の前に座らせられ、あれやこれやと準備する姉。
「じゃあ、早速! せっかくチュールにしたんだから、ゆるふわパーマで行こう!」
「う、うん……分かった」
私の髪は固まりにくいので、そのために早く準備する、とのことらしい。
ナチュラルメイクにし、ほんのりピンクのリップで、それに合わせたチークを乗せ、あとはワンピースを来て、姉からそれに似合うパンプスをもらった。
出かけると言われただけなので、あまり高くない水色のウェッジソールのパンプスだ。
「よしっ、いい感じ〜。あとはなんか、いいアクセサリーないかな〜?」
「ど、どんなのが似合うかな?」
「えっ? うーん、短いほうのネックレスがいいんじゃないかな? シンプルめの」
「じゃあ、あるかも」
自分の部屋に戻って、引き出しから小箱を取り出すと、1つのネックレスを持ち上げた。
実はこれも、最近になって買ったもので、小さなハートがついている。
「これなんてどうかな?」
「うん、いいと思う! さすが奏ー。センスいいねぇ」
「そうかな? ありがとう」
「じゃあ、これで完成ー。可愛いよ、奏〜」
鏡の前で立ってみると、姉のセンスのおかげでワンピースに合ってるように可愛くできていて、ドキドキしてしまう。
「かわいい……」
「うんうん、さすがは我が妹〜。これなら、絶対にびっくりしちゃうって!」
「そうだといいけど……」
「もう、自信持って!」
「うん……」