「デートするぞ」 - X2

「もしかして、可愛くなったのって、真宙のおかげか!?」

「は? 可愛い?」

「えっ? あっ、いや……結構、イケてるって思うんだけど……」

「俺も、あんな感じの坂下、タイプだわ」


 坂下が……可愛い?

 まあ、どことなく姉貴に似てるしな……。


「で? 坂下とセックスしたわけ?」

「は?」

「いやいや、はぐらかすなよ。どうせ真宙のことだから、ヤってんだろ? どんな感じ?」

「どんな感じって……」


 興味津々に俺を問いつめてくるものだから、しぶる。


 まあ、オモチャ好きとあって、感度はいい方だし、声もいいとは思うが……。


 しかし、どうもコイツらに言う気にはなれなかった。


「想像に任せるわ」

「うっわ、マジかぁ」

「坂下って、肌白いし、脚も細くて、柔らかそうだよなー」

「あー、すげー分かる気がする! スタイルはいいと思うわ」


 4人の間で坂下のことだけが話題に上がり、大盛り上がり。
 他は知らないが、坂下は結構、男ウケがいいらしい。


 あの芦屋もすぐ手ぇ出してきたし……。

 意外とアイツ、モテんじゃね?


 反対側の通路を歩く坂下をどこか複雑な心境で見つめた。


「でも、どうせ真宙のことだから、すぐ飽きんだろ?」

「は?」

「飽きたら、俺に紹介してくれよ!」


 飽きたらって……。


 俺は別にそんな固執するタイプではないし、そもそもこれは勢いで付き合っているフリをしているだけ。
 だが、何となく『飽きたら』の言葉に引っかかり、何も言えなかった。


「あー、坂下とヤりてぇなー」

「お前……。それ、公然で普通に言うなよな……」

「ホントだよなー!」


 ギャハハハ……一斉に笑っていたが、俺だけ、どうしてか笑えずにいた。


 どうしちまったんだ、俺……。

 ったく、コイツらが坂下のこと、可愛いとかほざくからだ……。


 ─真宙side 終─