「デートするぞ」 - X1

 ─真宙side─


「よっしゃ、ゲーセンで遊びまくるぞ!」

「お前、そればっかだな……」

「うわ、さすがイケメンだわー。ゲーセンじゃ満足しねぇのか!」


 家でのんびりしようかなと思っていた矢先に、普段よく遊ぶヤツらにしつこく誘われ、駅ビルへやってきた。


「真宙が家で何してんのとか、予想つかねぇわー」

「あ? まあ、ファッション誌のチェックとか、あとはお前らか誰かに誘われるかの二択じゃね?」

「人気者は暇なしかー!」


 お前らはホント、暇そうで羨ましいわ……。

 あとは……あれだ。

 前だったら、女に誘われるかも選択肢にあったか。


 ここのところ、他の女の誘いに全く流されることがなく、妙にムラムラすると、坂下のことを考える機会が増えた気がする。

 こんなこと、前にはなかったのに……。


「んっ? あれ、坂下のグループじゃね?」

「は?」


 つい坂下のことを考えていた俺が名前に反応すると、指差していた反対側のフロアに確かに坂下とよくいるグループの姿と、坂下の姉貴の姿があった。

 言えることは、目立つな、アイツの姉貴……。

 いつになく、気合いを入れているような気がする。


「つーか、あの綺麗な女の人、誰だ!?」

「あ? あれ、坂下の姉貴だよ」


 条件反射で答えると、4人一斉に俺を見て「マジで!?」と驚愕する。


「マジだよ。俺、アイツの姉貴の車に乗せてもらったし」

「マジか! 坂下の姉貴、すげー美人じゃん!」


 美人なのはいいが、かなりのシスコンだ。
 もし、日本に《同性愛の近親間の結婚を認める》なんて法律あったら、結婚しかねない勢いだ。


「すげー羨ましいわー」

「おっ、坂下いたじゃん。──へー、今日、結構よくね?」

「マジで? ──うわ、白シャツとか……」

「前の坂下って思えないよなー。すげー地味だったし……。──そういや、真宙って坂下と付き合ってんだっけ?」

「まあな……」


 つーか、あれは勢いでそうなったっつーか……。