「こんな展開ですか!?」 - 11

 まさか、山下君のグループもいたとは思ってもみなかったから、さすがにこれはヤバい……。


「ムカつくんだけど。やめてよね、芦屋君と帰んの」

「山下君に近づくな」


 まさか、少女マンガで見るような展開が今、まさに起きているなんて……誰も想像できない。


 ここで何を言っても無理だ……しかし、何かを言わなければさらに溝が深まる。


「あ、あの……芦屋君とはその……ただの友達で……山下君とは席が隣なだけで仲はよくないんです……」

「そんな嘘、誰が信じると思ってんのよ」

「生意気なのよ!」


 えぇ〜、やっぱりそうなっちゃうの?

 一体、どうしろと言うんだ。


「何、黙ってんのよ!」


 山下君側のリーダーの手が天に翳され、振り下ろされる。

 嘘……殴られ──


「何やってんだよ」

「え……?」


 パシッ──乾いた音のあと、突然腕を後ろへ引かれると、何かとぶつかった。
 見上げてみると、女子の手を掴む山下君がいた──。


 えっ、山下君!?


「山下君……!?」

「だから。何してんだっつってんの」


 手を離してやり、私に殴りかかろうとした女子を睨みつける。


「え……いや、その……っ」

「ま、大体は予想つくけど。──迷惑なんだよ。いつまでも付きまといやがって」

「ご、ごめんなさい……」

「山下君、なんで急に抱いてくれなくなったの? 私──」

「勘違いすんな。同じヤツとはヤんねぇ。ずっとそうしてきただろうが」

「でも……! なんで、その子とは仲いいのよ……」

「あ?」山下君がチラリ、と私を見下ろし、そして女子に言い放つ。


「仲なんてよくねぇよ。ただ……コイツと付き合ってんのは否定しねぇ」

「え……」

「ええぇぇぇぇええっ!?」


 私の驚きよりも取り巻きグループのほうが声が大きく、かき消されてしまった。
 確かにセフレになれとは言われたけれども、彼女のフリをしろだなんて言われた覚えはない。


「山下……んっ?」


 どうしてそんなことを言うのか──問おうとしたそのとき、山下君の端整な顔がドアップになったかと思えば、唇を押しつけられた。
 まさかの展開にもちろん追いつけるはずもなく、ただ、されるがままに受け止める他なく──