「こんな展開ですか!?」 - 10

 そして、迎えた昼休み。


「嫌がらせの要因って絶対、芦屋だよね……」

「それ絶対」


 お弁当をつつきながら、中休みの続きを話す。


「奏も災難だね。てか、芦屋ってあんなキャラだったっけ?」

「いや……もうちょっと爽やかなイメージあったよ。朝のそよ風ぐらい」

「だよねー。めっちゃキャラブレしてるよねー」


 キャラって……そんな、マンガのキャラクターじゃないんだから……。


「坂下さーん」

「はい?」


 お弁当箱を片付けたところで、扉にいた女子から声をかけられる。
 手をパタパタさせ、来てというジェスチャーを見せられた私は急いで出入口に向かう。


「なんですか?」

「坂下さんに用事あるんだってー」


 扉の向こうには、ゆるふわロングの子と、アシンメトリーのショートの女子が立っていた。
 明らかに知らない人だ。


「坂下……奏さん? だっけ」

「はい……」

「ちょっと一緒に来てくれる?」


 にこやかな表情はしてくれているものの、冷たい感情のようなものが入り交じった口調だ。
 これはもしかして……と思いはしたものの、断ったら何があるか分からない、とりあえずついて行くことにした。


 私の間どころか、二人の会話すらもない。
 もしかして、違うグループだったりするのか……。


 重たい空気を纏わせながら、到着したそこは裏庭にある奥の倉庫の近くだった。
 そうして、その場所には総勢20人──いや、それ以上はいるだろうかという女子のグループがいた。
 しかも、まるで本当にグループが違うのかと思ってしまうほどに二つのグループの間には分厚い壁があるかのように大きな隙間があった。
 もしかしてとは思うが……いや──


「坂下さん? だっけ。アンタ、何?」


 私をここまで連れてきた二人が一斉に振り返って、睨んでくる。
 思わず怯み「え?」と訊き返してしまう。


「何が……ですか?」

「とぼけないでよ。ちゃんと目撃してるんだから」

「アンタ、山下君どころか芦屋君とも仲がいいんでしょ?」

「なんで、芦屋君と一緒に帰ってんのよ」


 あ……芦屋君だけの取り巻きかと思ったら、山下君の取り巻きもいたんだ……。