「こんな展開ですか!?」 - 05
「あっ、山下君っ……」
呼び止めようと一歩踏み出したその瞬間、芦屋君に腕を掴まれる。
「あれ、山下の方に行くわけ?」
「え? だ、だって……」
「だって……何?」
続きを言おうと口を開いたが、きゅっと閉める。
確かに……私はなんて言おうとしたんだろう。
けれども、どうしてか、体が勝手に山下君を追いかけようとしていた。
しかし、追いかけたところで、なんて声をかければいいのか……。
「もしかして……山下が好きとか?」
「ち、違います……」
「そっか。だったらさ、俺と一緒に帰ろうよ。ね?」
「う……」
恋愛感情を抱いているかどうかを問われれば、すぐに違うと答えられる。
なのに、どうして山下君のことが頭から離れないのかが分からなくて……切ない。
「芦屋君って、ホント性格悪い……」
「ん? 何か言った?」
「何も言ってないです……」
「そ。好きって言ったのかなって思ったよ」
「それはないです」
「うわ、きっぱりだねぇ」
校門を抜け、不覚にも芦屋君と同じ帰路を辿る。
いつもなら呆れるほどにうるさい芦屋君が不気味なくらいに静かで、不意に相手を見ると、バチッと目が合った。
「どうかした?」
まさか見られていたとは露ほども考えていなく、慌てて顔を逸らす。
「な、なんでもないです……」
「そ」とだけ返し、再び沈黙がやってくる。
果たして、その沈黙は何を意味するのか……。
「今日はやけに静かですね……」
「ん? ああ……そうだね……」
「何か考えごとですか?」
「え? ──あれ、気にしてくれてる?」
「え? 違います……」
「そっかぁ。それは残念」
明らかにはぐらかされた。
「──あ。俺、用事あるんだ。先帰るね!」
「えっ? あ……はい……?」
「気をつけて帰ってね!」
なんの突拍子もなく芦屋君が声を上げたものだから、驚く。
かと思えば、芦屋君はすごい速さで走っていってしまった。
なんだったんだろう……あんなにしつこく誘っておきながら、急用って……変な人だ。
呼び止めようと一歩踏み出したその瞬間、芦屋君に腕を掴まれる。
「あれ、山下の方に行くわけ?」
「え? だ、だって……」
「だって……何?」
続きを言おうと口を開いたが、きゅっと閉める。
確かに……私はなんて言おうとしたんだろう。
けれども、どうしてか、体が勝手に山下君を追いかけようとしていた。
しかし、追いかけたところで、なんて声をかければいいのか……。
「もしかして……山下が好きとか?」
「ち、違います……」
「そっか。だったらさ、俺と一緒に帰ろうよ。ね?」
「う……」
恋愛感情を抱いているかどうかを問われれば、すぐに違うと答えられる。
なのに、どうして山下君のことが頭から離れないのかが分からなくて……切ない。
「芦屋君って、ホント性格悪い……」
「ん? 何か言った?」
「何も言ってないです……」
「そ。好きって言ったのかなって思ったよ」
「それはないです」
「うわ、きっぱりだねぇ」
校門を抜け、不覚にも芦屋君と同じ帰路を辿る。
いつもなら呆れるほどにうるさい芦屋君が不気味なくらいに静かで、不意に相手を見ると、バチッと目が合った。
「どうかした?」
まさか見られていたとは露ほども考えていなく、慌てて顔を逸らす。
「な、なんでもないです……」
「そ」とだけ返し、再び沈黙がやってくる。
果たして、その沈黙は何を意味するのか……。
「今日はやけに静かですね……」
「ん? ああ……そうだね……」
「何か考えごとですか?」
「え? ──あれ、気にしてくれてる?」
「え? 違います……」
「そっかぁ。それは残念」
明らかにはぐらかされた。
「──あ。俺、用事あるんだ。先帰るね!」
「えっ? あ……はい……?」
「気をつけて帰ってね!」
なんの突拍子もなく芦屋君が声を上げたものだから、驚く。
かと思えば、芦屋君はすごい速さで走っていってしまった。
なんだったんだろう……あんなにしつこく誘っておきながら、急用って……変な人だ。