「こんな展開ですか!?」 - 02
放課後、担任から体育館裏の掃除を押しつけられ、ようやくその仕事が完了した。
「やっと終わった……」
「──付き合ってください!」
え?
校舎と体育館を繋ぐ通路から聞こえてきたセリフに耳を疑った。
咄嗟にそちらに首を動かすと、その通路の間に佇む男女の姿があった。
知らない女子と……男子は芦屋君だった。
芦屋君の告白現場ともあって、私は反射的にその場の草むらに身を隠した。
「ダメ……ですか?」
「あー……」相手のダメ押しに芦屋君はどうしようかという意味で言っているのか、唸る。
なんて答えるんだろうか……。
自分が告白しているわけでもなく、告白されているわけでもないのに、心音がバクバクとうるさい。
しばらく沈黙が続いた中、芦屋君の口から「ごめん」と細い声が紡がれた。
「俺……マジに好きな子いるんだよね」
「そ、そうなの……」
「君、俺の噂を知って告白してる?」
「あ……遊びがちょっとってのは聞いたけど……」
「そっか……。俺、その子のために遊びやめたんだ。だから、君と付き合ってあげることはできないんだ……。マジにごめん」
芦屋君……。
それって、本当に私のことを言ってるの?
それとも、私のことじゃなくて、別の子のことを言ってるの……?
「でも……気持ちはすげーうれしい。ありがとう」
「ううん……。ありがとうございました」
たったったっ……軽い足取りから見て、きっと女子が走り去っていったのだろう……。
芦屋君……本気に言ってるのかな……。
「さて、と。──いるんだろ」
え?
えっ……気づかれてた!?
出ていこうかと思ったが、もしかしたらはったりかもしれない……息を潜めて、芦屋君の姿が消えることを祈る。
「なあ、いるんだろ? ──奏ちゃん?」
「きゃっ!?」
上から芦屋君の綺麗な顔が降ってきて、思わず悲鳴を上げてしまった。
「やっぱりそうだったんだ?」
「な、なんで知って……!?」
「いやぁ、たまたまこの辺りで掃除してる奏ちゃんいたから、もしかして──と思ってさ。っていうか、盗み聞きですか?」
「ちっ、違……! ただ、聞かれてたらまずいかなって……」
「へえ? そうなんだ? ──奏ちゃんのエッチ」