「私の秘密」 - 02
──もう、どうしよう〜!
いつもならば次の授業を確認して行動しているのだが、今日に限ってその日課を忘れ、挙句の果てには3時限は移動教室。
夢中になりすぎたことが仇となり、時間的余裕がない。
「きゃっ!」
「うわっ!?」
慌ててお手洗いの扉を勢いよく開けて飛び出したその瞬間、かなりの衝撃だったのだろう、誰かにぶつかった拍子に尻餅をつく。
「いったぁぁ……」
お尻が痛いよ……。
ヒリヒリと痛むそこに手を当てて撫でていると、私の方に屈み込む姿が目に入る。
「わ、悪ぃ。大丈夫だったか?」
「は、はい……」
痛がりながらも、相手の顔を見る。
そこには、ぶつかった人の後ろに友達2人、私と同じく腰の辺りを摩って痛がる素振りを見せる男の子がいた。
「あ……」
その男の子を見て、頬が少しばかり熱くなるのを感じた。
無理もない、彼はこの学校の中でもかなりのイケメンなのだから。
名前は、山下真宙君。
クラスメイトである。
口は悪いが、クールな性格が女子に受け、男子にはそのイケメンらしさを主張しない気さくな一面を評価されている、人気者だ。
「わ、わた、私の方こそ、ごめんなさい……」
「ん。悪いな」
なんともないことをアピールするためにすっと立ち上がってみせると、ほっとしたような表情を見せてその場を後にした。
去っていくその背中を見つめ、早鐘を打つ胸の中心を押さえる。
び、びっくりした……。
まさか、山下君にぶつかっちゃうなんて。
目立たない私が、あんな少女マンガから飛び出してきたヒーローみたいなまぶしい山下君と話す勇気なんてないし、何より女の子達からの目が怖い。
そんな人と少しでも話せただけでも、十分幸せだ……。
「あっ、早く移動しないと!」
いつもならば次の授業を確認して行動しているのだが、今日に限ってその日課を忘れ、挙句の果てには3時限は移動教室。
夢中になりすぎたことが仇となり、時間的余裕がない。
「きゃっ!」
「うわっ!?」
慌ててお手洗いの扉を勢いよく開けて飛び出したその瞬間、かなりの衝撃だったのだろう、誰かにぶつかった拍子に尻餅をつく。
「いったぁぁ……」
お尻が痛いよ……。
ヒリヒリと痛むそこに手を当てて撫でていると、私の方に屈み込む姿が目に入る。
「わ、悪ぃ。大丈夫だったか?」
「は、はい……」
痛がりながらも、相手の顔を見る。
そこには、ぶつかった人の後ろに友達2人、私と同じく腰の辺りを摩って痛がる素振りを見せる男の子がいた。
「あ……」
その男の子を見て、頬が少しばかり熱くなるのを感じた。
無理もない、彼はこの学校の中でもかなりのイケメンなのだから。
名前は、山下真宙君。
クラスメイトである。
口は悪いが、クールな性格が女子に受け、男子にはそのイケメンらしさを主張しない気さくな一面を評価されている、人気者だ。
「わ、わた、私の方こそ、ごめんなさい……」
「ん。悪いな」
なんともないことをアピールするためにすっと立ち上がってみせると、ほっとしたような表情を見せてその場を後にした。
去っていくその背中を見つめ、早鐘を打つ胸の中心を押さえる。
び、びっくりした……。
まさか、山下君にぶつかっちゃうなんて。
目立たない私が、あんな少女マンガから飛び出してきたヒーローみたいなまぶしい山下君と話す勇気なんてないし、何より女の子達からの目が怖い。
そんな人と少しでも話せただけでも、十分幸せだ……。
「あっ、早く移動しないと!」