「よろしくね」 - 02




 その後、なぜか芦屋君とともにカフェでプチパーティーを催された。


 なんで、こうなった……。


 催し物が終わり、カフェを出たところで友達がパンパンと手を打ち鳴らす。


「じゃ、ここで解散! うちら、電車組なんだよねー!」

「あ、そうなんだ……」

「芦屋って徒歩組?」

「そっ。俺、20分ぐらいだし」

「いいなぁ! 奏も徒歩組だったよね!」

「う、うん」

「じゃあ、帰りますか! じゃ、またね! 奏」

「うん、バイバイ。気をつけてね」

「ありがとー!」


 3人を見送り、ふと芦屋君を見れば向こうも私の顔をじっと見つめていた。
 何を考えているのか、悟らせないその黒い瞳に思わず怯む。


「な、なんですか……?」

「ん? 奏ちゃんって、可愛いなって思って」

「えっ?」


 何を言い出すのかと思えば……突拍子もないセリフが飛び出してきたものだから、赤面よりも驚きのほうが勝る。


「そんな、マジに引くなって……。奏ちゃんって、結構、好みなんだけど」

「は、はあ……」

「うわぁ、ドン引きじゃん……。まっ、いいや。とりあえず帰ろう。家、どこ?」

「翠山ですけど……」

「ああ、じゃあ行き先は俺と同じ方向なわけだ。てか、いいね。学校にすごい近いじゃん」

「そ、そうですね……」


 嫌な展開になってきちゃったなぁ……だからって、どう断ったらいいのか、分かんないし……。


 ここは警戒しつつも、言う通りにしておこう。

 全身に何かおもりをつけられたように、ひどく重く感じられた。


「まあ、そんな警戒しないでさ。ところ構わず襲ったりしないから」

「はあ……」


 なんで、こうなったんだろう……。
- ナノ -