「ウソでしょ!?」 - 07

「っあ……?」


 ──と思えば、やっぱりイク前にシャーペンが離れていってしまった。
 名残惜しくそのシャーペンを熱くなった目で見つめ、そのシャーペンが山下君の口元に移動すると、私の胸の先端をいじっていたノックの部分を意地悪く笑いながら舐めてみせる。
 かぁあああっと一気に顔が熱くなり、私は慌てて顔を背けた。


 恥ずかしい……!

 すっごい遊ばれてるし……。

 もう、何もしてこないよね……?

 ──もうっ、また奥が変……だよ。


 どうにかして紛らわしたい。
 けれども、リモコンは山下君の内ポケットに入っていて、取れるはずもない。
 残されている手段は、自分が触るしかない……。

 でも、そんなこと……できないよぉ……。


 しかし、もどかしさが止まらなくて、自然と内腿を擦り合わせて、何とかこの時間を乗り切ろうとしてしまう……。
 こんなところを見られたら、怪しまれてしまう──。


「っ……んん……」


 だが、脚を擦ることで不思議と高揚感と多幸感を感じることができ、安心している自分がいる……。
 このまま、気づかないで……。


「は、ぁ……んぅ……っ」


 自分でもどうしてそうしたのか分からない、ふと山下君を盗み見ようと思い、隣に視線を移す。
 そうしたら──山下君は教科書を立てて隠れるように、頬杖をついた状態で私の様子をじっと観察していた。
 思わぬできごとに、頬に一筋の冷や汗が流れる。


 うそっ、見られてる……!?


 しかし、気づいても私の体の熱は冷えるはずもなく、むしろどんどん高ぶっていった。

 や……っ、見ないでぇ……。


「ん……っ、んん……っ」


 視姦されているだけで、まさかイっちゃうの……私……?


 ──キーンコーンカーン……


「あ……っ」


 もう少しでイケる……しかし、やはりイクことはできずに、授業は終了を迎えた……。


 私はぐったり疲れたように、背もたれに重い背中を預けた。


 うそ……。


「残念だったな」

「っ……」

「ま、とりあえず……ありがとな」


 立てていた教科書を山下君はその本を閉じて私の机上に戻し、そして机を離した。
 それから少ししてから我に返り、恥ずかしさと処理するためにお手洗いへ逃走したのだった。